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「金を出すだけでは評価されない」の大嘘を検証した東京新聞
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天木直人のブログ 新党憲法9条
今度の安保法案の狙いの中心は、建前では「日本の安全保障を強化す
る」、とか「日米同盟を対等にする」とか言っているが、本当のところ
は自衛隊の海外派遣の合法化である。
もっとわかりやすく言えば、自衛隊組織の権限拡大、つまり利権だ。
そして、その絶好の口実こそ、湾岸戦争で130億ドルもの資金協力
をしたにもかかわらず、クウェートの感謝広告の中に日本の国名が入っ
ていなかった事だ。
やはり、汗だけでなく血も出してこその国際貢献だ、というものであ
る。
あの時の屈辱がトラウマとなって、やはり自衛隊の海外派遣を恒常化
させる必要がある、という枕ことばだ。
今度の安保法案の議論の過程でも何度も繰り返された。
ところが、これが大嘘であることは、当時から断片的に報じられ、担
当していた当時の外務官僚ですらそれを認めていた。
しかし、それらの報道はあくまでも断片的であり、そのことをまとめ
て検証し、記事にしたメディアはこれまでなかった。
ところが、きょう9月10日の東京新聞がそれを初めて行った。
そしてその検証記事を一面全紙を使って大々的に報じた。
ここまで関係者の証言を網羅して検証した記事は初めてだ。
「感謝されないどころか、日本の資金がなければ作戦は破たんしてい
た」(シュワルツコフ米軍総司令官)のであり、「日本の貢献は感謝さ
れなかった論は誰もが認めることとして定着してしまったが正しくな
い」(恩田宗在サウジアラビア)のである。
しかも、あの資金は「ほとんど米軍の朝飯代になったわけです(つま
り有志連合国の財政支援に流用された)」(黒川剛クウェート大使)の
だ。
しかし、東京新聞がこの驚愕の検証記事を書いても、この記事によっ
て安保法制案の強行採決を阻止することはできないだろう。
タイミングが遅すぎたということもある。
しかし、私が毎日メルマガで書いてきたことの全般に共通して言える
のだが、どんなに本当のことを書き続けても、そのことに気づき、反応
する国民はきわめて少数であるからだ。
一般国民はあまりにも知らなすぎる。
たとえ知ったところであまりにも反応は鈍い。
きょうの東京新聞の検証記事は極めて重要な記事であるが、国会もメ
ディアも、そして世論も、まったく反応を示さないだろう。
あるいはそんなことがあったのか、しかし、だからどうなんだ、と言
い、あるいは、そんなことは百も承知だ、だからどうした、と言って、
やり過ごされるだろう。
私が無力感を覚えるのは、そんなときである(了)
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