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HUNTER(ハンター)
首相独演会 右寄り番組「そこまで言って委員会」の暴走
民意を愚弄する読売と安倍
http://hunter-investigate.jp/news/2015/09/post-756.html
2015年9月 8日 10:35
今年4月、自民党がNHKとテレビ朝日の幹部を呼んで、放送された番組の内容について異例の事情聴取を行った。NHKは“やらせ”、テレ朝は「報道ステーション」のコメンテーターが菅義偉官房長官を名指しで糾弾したことが問題視されてのこと。だが、狙いは政権に批判的な報ステへの制裁にあったと見られている。
気に入らない放送局に圧力をかける一方、安倍首相は安全保障関連法案審議中の4日、わざわざ大阪に出向き、読売グループの放送局が制作している二つの番組に出演。安全保障などに関する持論を、一方的に展開した。とくに、右派の論客を集めて首相の太鼓持ちに徹した討論番組は、「偏向」が際立つ内容。これは放送法に違反していないのか?
右派集め民意批判
問題の番組は、読売テレビ(大阪)の「そこまで言って委員会NP」。首都圏などの一部を除き、日本テレビ系列の地方局で流されている討論番組だ。ひな壇に右派の論客(?)をずらりと並べ、彼らの意見に反する声を徹底的にこき下ろすという趣向。集団的自衛権や安保法案、沖縄の基地問題といったその時々の政治課題に関しては、常に自民党寄りの姿勢をとるパネリストたちが、敵意剥き出しに少数意見やリベラル派を攻撃する。
安倍首相は4日、大阪を訪れ同局制作の「情報ライブ ミヤネ屋」に生出演、さらに「そこまで言って委員会NP」(6日放送)の収録に参加していた。安全保障関連法案について「国民への説明を果たすため」(番組内での首相発言)だったというが、参院の特別委員会は法案審議の真っ最中。国会よりテレビ出演を優先したことに、批判の声が上がったのは言うまでもない。
肝心の番組だが、これはもう愚劣と言うしかない。ミヤネ屋では、首相が安保法案について持論を展開し、はしゃいだ司会の宮根誠司氏が首相と食事の約束をする始末。バラエティ番組とはいえ、政治的中立性を欠く内容となっていた。
6日に放送された「そこまで言って委員会NP」は、さらに酷い内容だった。冒頭、同番組がよく使うキャラクター「左翼(ひだり つばさ)くん」を登場させ、このキャラクターが言う“安全保障関連法案は憲法違反ではないか”などといった国民から出ている疑問を「左目線」と断定。安倍首相が登場するや司会の辛坊治郎氏が、『戦争法案』への批判が高まっている状況について「なんでここまで誤解が広がったのか」と問いかけた。番組の方向性は、この段階でハッキリ示されている。(下は放送当日のテレビ画面)
政権批判を「左目線」と断定
集団的自衛権の行使によって高まる戦争の危険性、安倍の政治手法、沖縄の米軍基地問題など多くの国民が感じている疑問や批判はすべて「左目線」――つまり左翼的思想だと決めつけている。また、戦争への懸念を「誤解」だとする辛坊氏の前振りは、安倍自民党の主張を容認する立場であることを明らかにしたものだ。これは、番組が政権政党と同じ目線で作られているということを示しており、政治的意図を持った番組と言うべきだろう。
案の定、番組は連続する質問に首相が答える形で進行したため、討論というより権力者の独演会。以下、首相の言いたい放題が続き、右寄りパネリストたちが頷くだけのヨイショ番組となった。問題視された国会での“ヤジ”についても、首相は反省を口にしながら「心の言葉が思わず言葉に……」――スタジオが笑いに包まれ、番組あげて国会や国民を卑下する格好となった。まるで安倍政権のプロパガンダ。不偏不党とは程遠く、公共の電波を使って垂れ流す内容とは思えない。
安倍と番組に共通する沖縄蔑視
政権と番組の沖縄を軽んじる姿勢が色濃く出たのが、普天間飛行場の名護市辺野古への移転問題を取り上げた場面だった。沖縄の声を代弁するパネリストがいない中で、首相は辺野古移設を改めて表明。下はその時の画面だが、≪普天間基地移設先は辺野古以外にない≫と文字で落とし、視聴者への印象付けを行っている。だが、沖縄県側と政府の基地移設をめぐる協議に最終結論が出たのは7日。4日の時点、しかもバラエティ番組で結論を示すなど、沖縄を愚弄するにも程があろう。
この番組の偏向は、今に始まったことではない。さんざん持ち上げてきた政治家は、安倍首相と橋下徹大阪市長。安保や原発といった国民の大多数が懸念を示す政治課題については、権力側に立った放送内容が常となっている。登場するのは、反対意見を口汚くののしるパネリストばかり。冷静な議論などあったためしがない。その上、露骨な政権擁護……。放送法違反で事情聴取されるべきは、読売テレビではないのだろうか。
首相独演会 右寄り番組「そこまで言って委員会」の暴走
民意を愚弄する読売と安倍
http://hunter-investigate.jp/news/2015/09/post-756.html
2015年9月 8日 10:35
今年4月、自民党がNHKとテレビ朝日の幹部を呼んで、放送された番組の内容について異例の事情聴取を行った。NHKは“やらせ”、テレ朝は「報道ステーション」のコメンテーターが菅義偉官房長官を名指しで糾弾したことが問題視されてのこと。だが、狙いは政権に批判的な報ステへの制裁にあったと見られている。
気に入らない放送局に圧力をかける一方、安倍首相は安全保障関連法案審議中の4日、わざわざ大阪に出向き、読売グループの放送局が制作している二つの番組に出演。安全保障などに関する持論を、一方的に展開した。とくに、右派の論客を集めて首相の太鼓持ちに徹した討論番組は、「偏向」が際立つ内容。これは放送法に違反していないのか?
右派集め民意批判
問題の番組は、読売テレビ(大阪)の「そこまで言って委員会NP」。首都圏などの一部を除き、日本テレビ系列の地方局で流されている討論番組だ。ひな壇に右派の論客(?)をずらりと並べ、彼らの意見に反する声を徹底的にこき下ろすという趣向。集団的自衛権や安保法案、沖縄の基地問題といったその時々の政治課題に関しては、常に自民党寄りの姿勢をとるパネリストたちが、敵意剥き出しに少数意見やリベラル派を攻撃する。
安倍首相は4日、大阪を訪れ同局制作の「情報ライブ ミヤネ屋」に生出演、さらに「そこまで言って委員会NP」(6日放送)の収録に参加していた。安全保障関連法案について「国民への説明を果たすため」(番組内での首相発言)だったというが、参院の特別委員会は法案審議の真っ最中。国会よりテレビ出演を優先したことに、批判の声が上がったのは言うまでもない。
肝心の番組だが、これはもう愚劣と言うしかない。ミヤネ屋では、首相が安保法案について持論を展開し、はしゃいだ司会の宮根誠司氏が首相と食事の約束をする始末。バラエティ番組とはいえ、政治的中立性を欠く内容となっていた。
6日に放送された「そこまで言って委員会NP」は、さらに酷い内容だった。冒頭、同番組がよく使うキャラクター「左翼(ひだり つばさ)くん」を登場させ、このキャラクターが言う“安全保障関連法案は憲法違反ではないか”などといった国民から出ている疑問を「左目線」と断定。安倍首相が登場するや司会の辛坊治郎氏が、『戦争法案』への批判が高まっている状況について「なんでここまで誤解が広がったのか」と問いかけた。番組の方向性は、この段階でハッキリ示されている。(下は放送当日のテレビ画面)
政権批判を「左目線」と断定
集団的自衛権の行使によって高まる戦争の危険性、安倍の政治手法、沖縄の米軍基地問題など多くの国民が感じている疑問や批判はすべて「左目線」――つまり左翼的思想だと決めつけている。また、戦争への懸念を「誤解」だとする辛坊氏の前振りは、安倍自民党の主張を容認する立場であることを明らかにしたものだ。これは、番組が政権政党と同じ目線で作られているということを示しており、政治的意図を持った番組と言うべきだろう。
案の定、番組は連続する質問に首相が答える形で進行したため、討論というより権力者の独演会。以下、首相の言いたい放題が続き、右寄りパネリストたちが頷くだけのヨイショ番組となった。問題視された国会での“ヤジ”についても、首相は反省を口にしながら「心の言葉が思わず言葉に……」――スタジオが笑いに包まれ、番組あげて国会や国民を卑下する格好となった。まるで安倍政権のプロパガンダ。不偏不党とは程遠く、公共の電波を使って垂れ流す内容とは思えない。
安倍と番組に共通する沖縄蔑視
政権と番組の沖縄を軽んじる姿勢が色濃く出たのが、普天間飛行場の名護市辺野古への移転問題を取り上げた場面だった。沖縄の声を代弁するパネリストがいない中で、首相は辺野古移設を改めて表明。下はその時の画面だが、≪普天間基地移設先は辺野古以外にない≫と文字で落とし、視聴者への印象付けを行っている。だが、沖縄県側と政府の基地移設をめぐる協議に最終結論が出たのは7日。4日の時点、しかもバラエティ番組で結論を示すなど、沖縄を愚弄するにも程があろう。
この番組の偏向は、今に始まったことではない。さんざん持ち上げてきた政治家は、安倍首相と橋下徹大阪市長。安保や原発といった国民の大多数が懸念を示す政治課題については、権力側に立った放送内容が常となっている。登場するのは、反対意見を口汚くののしるパネリストばかり。冷静な議論などあったためしがない。その上、露骨な政権擁護……。放送法違反で事情聴取されるべきは、読売テレビではないのだろうか。
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