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安倍総理は「マイルドヤンキー」かもしれない 地元が大好き・お友達とつるむ・論理より気分…
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/45161
2015年09月08日(火) 週刊現代 :現代ビジネス
思ったことをすぐ口に出す。何をやっても悪びれない。批判されても「別にいいじゃん」と気にしない。フラつきながらも、決して墜落しない安倍総理——これが「一億総ヤンキー」時代の政治家だ。
■大切なのは気合と勢い
「たくさんの仲間と出会って、友情の絆を強めてください!」
夏の夕暮れに赤く照らされる、日焼けした少年少女たちの顔。「魂」や「和」と書かれたTシャツに身を包み、歓声を上げる。壇上には、笑顔で手を振る安倍総理の姿があった。EXILEのヒット曲『Rising Sun』が大音量で響き渡る。
8月2日、総理の地元・山口県で開催されたボーイスカウトの世界大会「世界スカウトジャンボリー」アリーナショーでの一幕だ。
この式典に参加するためだけに、安倍総理は安保国会の多忙をぬって日帰りで山口へ飛んだ。7月以降、都合3回も山口へ帰省した総理の行動を、番記者の間では「何かよほど理由があったのか」と訝る声すら出ている。
しかし、あるキーワードを当てはめれば、総理の行動、考え方に関する謎は氷解する。
「マイルドヤンキー」。
昨年の流行語大賞にもノミネートされたこの言葉。読者にもおなじみのいわゆる「ヤンキー」とは、実はまったく別の人々のことを指している。
昔のヤンキーといえば、リーゼントに短ランにボンタン。木刀を携えて改造バイクを乗り回し、ウンコ座りでたむろする。親が大嫌いで、矢沢永吉のごとく「いつか東京でビッグになる」が口癖。だが、こんな若者はいまやすっかり姿を消した。
典型的なマイルドヤンキーの若者は、あらゆる面で彼らと正反対だ。バイクではなくミニバンに乗り、休日はスマホでゲームをしたり、ショッピングモールで過ごす。「マジメ」だと思われたくなくて、ちょっと「ワルい」こともしてみたいけれど、平穏な暮らしを失うのはイヤ。家族・恋人・地元の友達が何より大切で、生まれ育った町を離れるなんて考えられない。
憧れの存在は、前出のEXILE。本よりもテレビが、パソコンよりもスマホが好き。知識よりも経験が、将来の可能性よりも今の幸せが、理屈よりも気分が大事——。
安倍総理とマイルドヤンキーの共通点にいち早く着目していた精神科医の斎藤環氏は、彼らの特徴を〈うっすらと不良性をまとい、地元と仲間の『絆』が大好き〉〈気合や勢いを大事にするため、なんとなく現状肯定的〉と要約する。
そして、それゆえに〈このままでいいんじゃね(いいんじゃない?)〉と考えるマイルドヤンキーこそが、安倍政権のゆるやかな支持基盤になっているのではないか、と分析している。
奇しくも、安倍総理の肝煎りで'12年に自民党が作った「憲法改正草案」の前文には、今の日本国憲法にはない、こんな文言が記されている。
〈日本国民は、国と郷土を誇りと気概を持って自ら守り、基本的人権を尊重するとともに、和を尊び、家族や社会全体が互いに助け合って国家を形成する〉
マイルドヤンキーの人生哲学と、自民党が理想として掲げる日本人の姿は、実は驚くほど似通っている。そして安倍総理自身もまた、この「マイルドヤンキー的」人生哲学に沿って生きる日本人の代表なのである。安倍政権は、マイルドヤンキーの美学を国家規模でそのままなぞっているのだ。
前出の斎藤氏が言う。
「安倍総理は8月21日の参議院特別委員会で、中谷元防衛相の答弁ミスを追及する民主党の蓮舫議員に、『まあいいじゃん、そんなこと』と言って問題になりました。こうした、他の総理大臣なら考えられなかったような感情的なヤジを、安倍総理は勢いにまかせて口にしている。
心の中にヤンキーへの共感や憧れを秘めているからこそ、『ちょっと強面ぶろう』と、思わず乱暴な言葉が出てくるのではないでしょうか」
■おじいちゃんを「リスペクト」
安倍総理は、今どきの政治家には珍しく、はっきりした目標を抱いて政界に入った。憲法を改正し、日本を普通の国—軍隊をもち、いざとなったら米軍と一緒に闘える国にする。これは、総理が敬愛する祖父・岸信介元総理の悲願でもあった。
むしろ、安倍総理は自分がそう思うからというよりも、「尊敬するおじいちゃんがそう言っていたから」こそ、これを実現するのが自分の使命だと考えている節がある。家族愛、郷土愛、自己愛が渾然一体となっているところが、前述したマイルドヤンキーの特徴にぴたりと合致している。
問題は、目標を実現するための「手段」である。マイルドヤンキーにとって、小賢しい理屈やまどろっこしい手続きは邪魔なだけ。仲間と一緒に、気合と勢いで突き進む—総理はこれを「言論の府」たる国会でやろうというのだから、大混乱を招くのは当たり前だ。
先に挙げた「まあいいじゃん」以外に、5月の衆議院特別委員会でも、安倍総理は民主党の辻元清美衆院議員に「早く質問しろよ」とヤジを飛ばした。優等生ぶった野党議員が理詰めで刃向かってくると、思わず、
「ウダウダ言ってるけど、理屈じゃなくて気分なんだよ。小難しい話はどうでもいいんだよ」
という内心の本音が、口を突いて出てしまうのだ。事実、総理はオフレコの場で、「もう議論は出尽くしたのに」と何度も苛立ちを露にしている。
また今年5月に、共産党の志位和夫委員長との党首討論で、安保法制を含めた戦後日本の前提であるポツダム宣言を「つまびらかに読んでいない」と失言した際にも、安倍総理は「そんなの、誰も読んでないんだから構わないでしょ?」と言わんばかりに、素知らぬ顔を決め込んだ。
■インテリって胡散臭いしぃ
ヤンキー文化に詳しいライターの松谷創一郎氏は、「安倍総理が『知らないこと』や『論理的でないこと』を恥じないどころかむしろ誇るのは、今に始まったことではない」と指摘する。
「第一次政権発足直前の'06年に刊行された著書『美しい国へ』で、安倍総理は『成蹊高校時代、日米安保に批判的な教師を言い負かした』という話を披露しています。
しかしよく読んでみると、驚くべきことに総理は『わたしは、安保について詳しくは知らなかったが、この場で反論できるのは、わたししかいない(と思った)』と書いている。『知識のないオレでも、ハッタリをかましたら先生に勝てた』と喜んでいるわけで、ヤンキーそのものです」
無知が知を打ち破る。心の赴くままに行動し、思ったことを素直に口に出せる者にこそ、頭でっかちで胡散臭いインテリの「ウソ」を暴く力が秘められている。これが、マイルドヤンキーの価値観の根っこを形作るものだ。
こうした考え方は、安倍総理が「郷里の英雄」として尊敬してやまない、吉田松陰の哲学にもどこか似ている。
「『知と行は二つにして一つ』。何よりも実践を重んじ、明治維新の原動力となる志士たちを育てた、吉田松陰先生の言葉であります。(中略)要は、やるか、やらないか。この国会に求められていることは、単なる批判の応酬ではありません。『行動』です」(今年2月の安倍総理の施政方針演説より)
本来ならば「手続き」が最も重んじられるはずの国会で、安倍総理がこれだけ多くの法案を強行採決するのは、「結果のためには手段を問わない」という強い信念があるからなのだろう。
自民党の「安倍チルドレン」には、「ヤンキー先生」こと義家弘介衆議院議員や、学生時代に女性教師をトイレに閉じ込める「やんちゃ」をしたと告白し、顰蹙を買った熊田裕通衆議院議員など、「元ヤンキー」を売りにする議員が少なくない。
また、安倍総理は東大卒の政治家をあまりそばにおかないことで知られている。菅義偉官房長官や、側近としてしばしば名前が上がる萩生田光一総裁特別補佐、世耕弘成官房副長官らは私大卒。東大法学部卒の谷垣禎一幹事長や、同じく東大法学部卒で、大学生時代に総理の家庭教師を務めていた平沢勝栄衆議院議員などは、むしろ警戒されている。
こうした事実から分かるのは、総理が学歴や教養といった点では人を評価しないこと、その一方で高学歴の堅物を「内心では、成蹊大卒のオレをバカにしてるんじゃないか」と疑い、嫌っているということである。
もちろん、田中角栄元総理の例を引くまでもなく、政治家としての資質は学歴とは無関係だ。それに東大出の政治家は、何かにつけて理屈や正論を振りかざそうとすることも確か。
今まさに「やるか、やらないか」の瀬戸際を「気合と勢い」で突破しようとしている安倍総理にとっては、彼らに水を差されるのは嫌なのだろう。
「安倍総理本人が明確にヤンキーに憧れているとは思いません。しかし、総理がよしとする物事や、価値観の総体が『ヤンキー的』であることは否定できないと思います。
実は任侠映画が好きで『自分も撮ってみたい』と発言していることからも、安倍総理の性格はヤンキーの世界と親和性が高いはず。最近の自民党若手議員の失言や暴言は『親分の考えを周囲の子分が忖度して暴発している』わけで、まさにヤンキー的だという印象を抱きます」(前出・斎藤氏)
■株価も「アゲアゲ」で行こうぜ
ここまで見てきたような、マイルドヤンキー的なものの見方や考え方は、それが安倍総理個人の信念である限りは、必ずしも悪というわけではない。
しかし、それが「国の舵取り」を左右するとなると、国民に災いをもたらしかねない。「やるか、やらないかだ」「議論をしても始まらない」と強弁する指導者に従った結果、日本人は一度、国を滅ぼした過去があるのだ。
太平洋戦争開戦前夜の'41年夏、霞が関のエリート中のエリートが集まり、「模擬内閣」を結成して日米戦争の徹底的なシミュレーションを行った。結果は完敗。しかし、時の陸軍大臣でのちに総理となる東条英機は、彼らの報告をこう言って一蹴した。
「これはあくまで机上の演習でありまして、実際の戦争というものは、君達が考えているようなものではないのであります。日露戦争で、わが大日本帝国は勝てると思わなかった。しかし、勝ったのであります」
論理が気分に敗れた瞬間だった。有名な「総力戦研究所」の逸話である。
「安倍政権が高い支持率を維持してきたのは、アベノミクスで『アゲアゲ』『イケイケ』を演出し、景気のいい話だけしていれば、誰も反論できないという空気があったからこそです。
原発についても、それこそ『事故が起きても気合で何とかなる』という程度の考えで、勢いで再稼働してしまった。これらは『今、この瞬間が全て』というヤンキー精神の表れではないでしょうか」(前出・斎藤氏)
テストの点数のいい人間ばかりが偉くなる世の中は、きっとつまらないだろう。何でもかんでも「絆」や「気分」で乗り切るマイルドヤンキーには、エリートにはない思い切りのよさや打たれ強さもある。だが、総理がマイルドヤンキーかもしれないとなると、話は別だ。この国の行く末がますます心配になってくる。
「週刊現代」2015年9月12日号より
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