18. 2015年9月08日 13:24:21
: LY52bYZiZQ
Business | 2015年 09月 8日 13:07 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス焦点:再選で強化された安倍首相の基盤、成長・株高で真価問われる http://s4.reutersmedia.net/resources/r/?m=02&d=20150908&t=2&i=1077676346&w=644&fh=&fw=&ll=&pl=&sq=&r=LYNXNPEB8703X 9月8日、安倍晋三首相(写真)が同日告示の自民党総裁選で、無投票再選を果たした。他を寄せ付けない圧倒的な党内基盤が、今後の政策運営で積極的な手が打たれるとの期待感を高めている。(2015年 ロイター/Yoshikazu Tsuno/Pool) [東京 8日 ロイター] - 安倍晋三首相が8日告示の自民党総裁選で、無投票再選を果たした。他を寄せ付けない圧倒的な党内基盤が、今後の政策運営で積極的な手が打たれるとの期待感を高めている。 ただ、市場の目を引く目玉政策が見当たらず、経済成長と株高を持続できるのか、安倍首相の真価が問われる3年間となりそうだ。 「『3本の矢』の経済政策に全力投入」──。安倍首相は総裁選立候補にあたって安倍政権の経済政策(アベノミクス)の継続を強調。デフレから完全に脱却し強い経済を創るため「経済最優先で取り組む」と宣言した。 今国会最大の懸案である安全保障関連法案を成立させた後、2016年夏の参院選に向け、再び経済再生にカジを切る考えを鮮明に打ち出した。 首相側近のひとりは再選後に取り組む政策課題について「絶対、経済だ」と強調。「安保や歴史認識といった問題は今国会で節目を付けて、秋以降は成長戦略に取り組む。さらには、貧困家庭の子供の教育問題など、成長戦略の果実を具体的に社会保障に回す姿を国民に示せるかだ」と述べ、来年の参院選をにらみアベノミクスの果実の配分にも気を配る。 安倍政権の総仕上げと位置づけられる「憲法改正」は、政策所見に「時代が求める憲法への改正をめざし、国民的な議論を深める」と明記された。しかし、「参院選のアジェンダではない」(政府筋)とみられ、当面は経済政策に重点を置くことになりそうだ。 ただ、目玉になる具体的な政策の候補が、手薄になっている面も否めない。1つは、自民党の「お家芸」である公共投資の増額による景気浮揚策が、人手不足によって制約を受ける状況がある。公共事業費を補正予算で大規模に付けても、人手不足で消化率が低いままになれば、実効性が薄いことを露呈することになりかねない。 もう1つは、アベノミクスの大きな推進力となってきた円安に対し、その副作用を指摘する声が、与党内から挙がっているという環境変化だ。ある与党関係者は「急激な円安の負の側面も見つつ、きちんと財政再建と景気対策の両方を見極めていく時だと思う」と述べ、決定的な有効打がないことをにじませている。 <消費税10%へ、2回の消費税引き上げ実現する歴史的役割も> 2017年4月には、消費税率10%への引き上げが予定される。リーマンショックのような経済の激変がない限り、「予定通り行う考えだ」と、安倍首相も4日のテレビ番組で述べた。 政府・与党はそのための環境整備を進め、増税の反動減をならす意味での15カ月予算も視野に入れている。 他方、2018年度は「経済・財政一体改革の中間点」として、財政健全化進ちょく状況を点検する時期にもあたる。2020年度の基礎的財政収支(PB)均衡に向け、政府は向こう3年間の歳出改革の目安を設定しているが、必要な場合は「歳出・歳入の追加措置などを検討」することを約束した。 消費税10%超の議論が次の3年間に着手できるかは不透明だが、政権にとって鬼門と言われてきた「消費税率引き上げ」を2回実行することができるのか、ここでも手腕が問われる。 <安倍・黒田任期の2018年問題> 他方、市場では「2018年問題」が早くも意識されている。安倍首相の自民党総裁任期と、黒田日銀総裁の任期がともに2018年に到来するからだ。 党則では総裁任期は「2期6年まで」で、安倍首相の総裁任期は2018年9月まで。党内では一時、党則を変え、「3期9年」まで総裁任期を延長する案も浮上したが、今はほとんど聞かれなくなった。 他方、黒田総裁の任期も、国会で再任されない限り、2018年4月まで。 リフレ派の側近からは、日銀法改正に傾斜する考えも浮上してきた。 首相の経済アドバイザーを務める本田悦朗・内閣官房参与は8月4日のロイターのインタビューで、再選後の政策課題について日銀法改正を第一に挙げ「2度とデフレにしないためには、日銀法改正(が不可欠)」とした。ポスト黒田総裁を念頭に「来年の通常国会か臨時国会に法案を出したい」と、早急な議論着手に意欲を示した。 もっとも、別の政府筋は、日銀法改正には否定的で「世界から笑われる」と指摘。首相周辺でも、賛否両論混在している。 このほか、環太平洋連携協定(TPP)交渉は、米大統領選を控えタイムリミットが迫っている。来年はサミット議長国としての手腕も問われる。人口減少問題への対応は避けて通れない。次の3年の政権運営によって潜在成長率が高まり、日本が世界経済のけん引役となるのか、それとも少子高齢化の進展で、市場規模が年々縮小する基調が鮮明化するのか。 安倍首相のかじ取りによって、日本の針路は大きく変わることになりそうだ。 (吉川裕子 取材協力:梅川崇 編集:田巻一彦) http://jp.reuters.com/article/2015/09/08/angle-ldp-idJPKCN0R809620150908?sp=true |