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エンブレム撤回は佐野研二郎氏だけの責任ではない!(左・森喜朗公式サイトより/右・YouTube「ANNnewsCH」より)
東京五輪エンブレムも森喜朗が戦犯だった! 佐野研二郎の修正案にダメ出し独断でパクリ疑惑の最終案を採用
http://lite-ra.com/2015/09/post-1462.html
2015.09.07. リテラ
東京五輪のエンブレム撤回問題以降も、佐野研二郎氏へのバッシングはまったくやむことはない。たしかに、次から次へと浮上する疑惑を見ていると、佐野氏にパクリ癖があるのは事実のようだし、デザイナーとしての倫理を問われてもしようがないとは思う。
しかし、こと東京五輪のエンブレムにかぎっては、佐野氏と同等か、もしくはそれ以上の責任を追うべき人物がいるのではないか。
それは他でもない、東京五輪組織委員会会長・森喜朗だ。ここにきて、森会長がベルギー・リエージュ劇場のロゴの盗用だと指摘された最終案デザインに深く関わっていたことが明らかになったのだ。
どういうことか。組織委の発表によれば、エンブレムのデザインは2回、修正されている。まず、審査委員会では例のヤン・チヒョルトのパクリではないかと指摘された原案が選ばれたのだが、海外で商標登録されているという理由で組織委が修正を指示。これを受けて、佐野氏は原案とはまったくちがう、最初の修正案を上げた。
この最初の修正案ではセリフ(ハネ)の内側が曲線になっていて、赤い小さな丸は右上に上げられている。リエージュのロゴと考え方は近くなっているが、左下にもセリフがついているため「L」には見えない、形としてはまったくちがうものだった。
ところが、組織委はこの最初の修正案に対してさらに修正指示を出す。しかも、組織委の発表によると、2回目の修正の理由は商標登録の問題ではなく「デザインに躍動感がない」ためだった。
そして、この指示に応じて、佐野氏は例のパクリ疑惑の最終案を出すことになった。「L」には見えない最初の修正案を修正せずそのまま採用していれば、おそらくリエージュのデザイナーから盗用だと告発されることはなかっただろう。言ってみれば、組織委が2回目の修正指示を出したことで、騒動は起きたと言ってもいい。
では、いったい誰が2回目の修正指示を出したのか。デザイン業界では、審査委員長でグラフックデザイン界の重鎮・永井一正氏ではないかという見方が広がっていた。実は本サイトも指示が事務的なものではなく、デザイン上の問題だったため、永井氏しかありえないだろうと考えていた。
しかし今回、永井一正がテレビに出演してそれを全否定したのだ。9月3日放送の『クローズアップ現代』(NHK)からの取材に応じた永井氏は修正の経緯について「エンブレム公表の1週間前までデザインの変更内容は知らされていなかった」という。
「途中経過は僕たちは全く知らなかったんですね。なかなか発表にならないので組織委員会に問い合わせると、今、国際商標上で多少の引っかかりがあるというので、微修正しながら直しています、ということだったんですね」
さらに番組では、修正の過程を検証していたのだが、その中で驚愕の事実が明らかにされた。第2案に対し文句をつけたのが森喜朗組織委員会会長と、エンブレム撤回会見を行った武藤敏郎事務総長だったというのだ。
「今年2月、最初の修正案が組織委員会の森喜朗会長と武藤敏郎事務総長に示されました。この時、両者ともに『躍動感がなくなった』と指摘し再び修正されることになりました」(『クローズアップ現代』より)
グラフィック界の重鎮でもなければ専門家でもない。どう見てもデザインセンスがあるとは思えないあの森喜朗会長と、元ノーパンしゃぶしゃぶ官僚の武藤敏郎事務総長が、サノケンの案に「躍動感がなくなったねえ」などとダメ出しをしていたのである。信じがたい話だが、これは事実のようだ。
「これはおそらく、永井さんがオフレコで証言したのでしょう。それでNHKも報道することができたんじゃないでしょうか」(全国紙社会部記者)
実際、森会長は第2案→最終案のプロセスだけでなく、最初からエンブレムデザインにかなり口を出していたらしい。
「原案が修正することになった主原因はもちろん、海外で似たようなデザインが商標登録されていたからですが、森さんはその修正の時にも、日の丸が下にあるというのはケシカランと文句を言っていたらしい。そのためデザインを大幅に変えるしかなかったようです」(デザイン関係者)
しかも、審査員会で選考された案を修正する必要があるなら、佐野氏ではなく、次点のデザイナーの案にするか、あるいは審査委員会を開き直して、差し戻すのが筋。ところが、森会長と武藤事務局長はデザインの修正指示も、審査委員に一切相談なしに2人で進め、佐野氏が出してきた例のパクリ疑惑のある最終案を勝手に採用決定してしまったのだ。
永井氏は読売新聞の取材で、最終案について「(発表の)1週間くらい前に知らされ、国際商標を取ったというので、いまさら何を言ってもしょうがないと思って了承した」とも言っている。
「うがった見方をすると、組織委が原案を出してきたのは、自分たちの責任逃れのためだったのかもしれません。佐野氏は後ろ暗いところがあったのか、もともと原案を出すのに抵抗していた。ところが、このままだと、森会長と武藤事務総長が勝手に最終案を選んだといって責任を追及されかねない。それで先回りして原案をもちだしたんじゃないでしょうか」(前出・全国紙政治部記者)
ようするに、国立競技場に続いて、エンブレムも森会長が戦犯だったというわけだ。ところが、こうした経緯があったにもかかわらず、森会長はエンブレム撤回公表直後に「何が残念なんだ」と不快感を露にし、その後も「だいぶ、えらい目に遭った」などとまるで自分には一切の責任がないかのように嘯いているのだから、開いた口がふさがらない。
いや、それどころか、自らの責任を追及されることを恐れた森会長は、マスコミ、特にテレビ局に対し圧力をかけているという話まで流れている。
「エンブレム撤回問題を報じる番組に対し、五輪関係者はさかんに森会長に対する批判をしないよう働き掛けています。実際、森会長の『躍動感がない』発言を紹介した『クローズアップ現代』でも、結局は森会長に対する責任論にはまったく触れていませんでしたし、コメントを求めた識者や専門家にも『森さんの批判はしないで欲しい』と条件をつけ、そのため何人もの関係者に断られたと聞いています。また、いくつかの民放でも森会長の批判や責任論をNGにするだけではなく『森喜朗という名前を出すな』という自粛がなされている」
新国立競技場、そしてエンブレムにまで口を出し、かき回すだけかき回して責任を取らない“ド素人老害”の森会長。こんな人物が会長をやっているかぎり、まだまだトラブルは起き続けるだろう。
(時田章広)
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