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安倍再選に物言いをつけた野田聖子の男気
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2015年9月5日 藤本順一が「政治を読み解く」
自民党総裁選が週明け8日に告示される。
「平成24年に総裁に就任し、『日本を取り戻す』とのスローガンのもとにデフレから脱却し、力強く経済を成長させていくための政策を打ち出してきた。まだ道半ばであり、景気回復の実感を全国隅々まで届けるための地方創生や少子化対策など課題は山積している。継続は力であり、しっかりとその責任を果たしていく」
安倍晋三首相は1日、記者団を前にこう述べ、総裁再選に自信を見せた。
周知のとおり、すでに党内主要各派の支持を取り付けた安倍首相の再選は動かない。それでも安倍首相の対抗馬としてその去就が注目されている野田聖子元総務会長は同じ日、主催したパーティーのあいさつで「安倍政治を検証するための総裁選。絶好の機会が訪れているのに、自由闊達(かったつ)な議論をするはずの先輩方が手を挙げていない。今の私の心は『義を見てせざるは勇なきなり』この言葉に尽きる」と述べ、負けを覚悟で出馬に強い意欲を見せた。安倍首相の暴走に物言わぬ党内へのいら立ちにも似た思いがヒシヒシと伝わってこよう。
安倍首相の無投票再選を前提とした総裁選であり、出馬に必要な20人の推薦人を確保するのは容易なことではないが、事実上の首相を決める総裁選であれば、野田氏の出馬は多くの国民が望むところだ。
安倍首相は冒頭の出馬表明で「経済政策優先」と述べているが、足元の国会を見ればさにあらず。安保法案の扱いをめぐり大揉めの参院審議の最中、まずもって総裁選で問われるのは安倍首相の政治手法であろう。
安保法案を審議する参院特別委員会の鴻池祥肇委員長は1日、「衆院側が11日と言い出してから(審議が)動かなくなった。(与党)単独強行(の採決)ではなく、賛否を明らかにした参院らしい着陸をみせたい」と述べ、政府案を無傷で採決することには否定的である。
これに対し安倍首相は予定していた11日の参院採決は見送ったものの14日以降、早い時期の参院採決を求めている。参院採決の目途が立たなければ18日にも「60日ルール」を使い政府案を無傷のまま衆院で再可決成立させる意向だ。
野田氏がこうした安倍首相の強引な政権運営に異を唱え、安保法案の継続審議を主張すれば、推薦人確保にも道が開けよう。時間はまだある。
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