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安全保障関連法案を与党の賛成多数で可決した衆院本会議(C)日刊ゲンダイ
安保法案の欠陥を衝く/倉持麟太郎 <第20回>政治家の良心とは何か、矜持はないのか、胸は痛まないのか
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/163401
2015年9月5日 日刊ゲンダイ
冷戦期、ソ連が芸術的優位性誇示のため威信をかけて開催した第1回チャイコフスキー国際ピアノコンクール。もちろんソ連政府はソ連人の優勝を予定していた。しかし、審査員だったスビャトスラフ・リヒテルは、西側からきたアメリカ人ピアニスト、クライバーンに満点を、他の者すべてに0点の点数をつけ、クライバーンが優勝した。リヒテルは政治には屈しなかった、それは、彼が“芸術家”だったからだ。
前稿まで見てきたとおり、集団的自衛権、後方支援、自衛官の武器使用を中心として、10本を1本にしたこの法案には不可分・不可避的に“違憲性”や“法の欠缺”という爆弾がちりばめられている。
本法案は、今後、自衛隊員等が訴訟提起をして、違憲判決が下された場合、アメリカとの約束は結果的に果たせなくなるというリスクを抱え続ける。真に日米同盟を大切であると考えるならば、このような爆弾を抱えた法案を成立させることで、「約束に応えた」とするのは、パートナーシップとしてあまりに不誠実ではないか。「希望の同盟」を支える法案やそのために出動する自衛隊の基盤が、ここまで不透明かつ薄弱で本当にいいのか。与党議員の胸は痛まないのか。
政治家の良心とは何か、「最終的な憲法解釈権者は最高裁」といって合憲性判断を放棄する姿勢に、「国権の最高機関」の構成員の矜持はあるのか。「立法府」がリーガルマインドを脱ぎ捨てることに胸は痛まないのか。
与党議員は、本当に皆真摯にこの法案を読んだか。国家が主権を維持し、我々国民を守るということは党派的イデオロギーや専門分野は関係ないはずだ。安全保障環境の変化等の「必要性」以上にこの法案の合憲性や法理的妥当性・整合性を国民一人一人に説明できるくらい法案を読んだのか、胸に手を当てて考えたときに、その胸は痛まないか。
クライバーンを優勝させたリヒテルは、音楽以外の何物にも仕えてはいなかった。だからこそ、政治的圧力には屈せず、彼の音楽的良心のみに基づいて、優勝者を選んだ。政治家や公権力担当者が仕えるのは、我々国民であり、権力の源泉たる憲法である。政権与党の自民党議員も、本来多様であるはずで、「大きな流れ」にあらがうことなく、“政治家”として真に尊重し死守すべき価値から目を背けていないか。わずかに湧き出る泉も下流ではもうあらがえない濁流となる。
私は日本の政治、そして日本の政治家を信じている。“正義”や“立憲主義”への奉仕者として、この濁流に逆らう勇気を持たれんことを。私は信じている。(おわり)
▽くらもち・りんたろう 1983年生まれ。慶大法を経て中大法科大学院卒。安保法案に反対する若手の論客として知られ、衆院特別委にも参考人として呼ばれた。
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