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会見では、武藤敏郎事務総長の無責任ぶりと危機管理能力のなさが露呈(YouTube「ANNnewsCH」より)
白紙撤回会見の五輪組織委・武藤事務総長の“無責任”は昔から! あのノーパンしゃぶしゃぶ事件でも…
http://lite-ra.com/2015/09/post-1444.html
2015.09.02. リテラ
すったもんだの大騒動を繰り広げた五輪エンブレム問題だが、遂に9月1日、大会組織委員会が会見を開き、エンブレムの使用中止を表明した。
しかし、その内容は国民の不信感と怒りを増幅するものでしかなかった。「デザイン界の理解では模倣ではないが、一般国民には受け入れられない」などという意味不明な説明に加えて、佐野研二郎氏の「私や家族に誹謗中傷が続いている」といったまるで被害者のような言い分、責任の所在を一切明らかにせずにひたすらごまかそうとする姿勢……。
とくに、火に油を注いだのが、会見で説明を行った武藤敏郎事務総長の当事者意識のない姿勢だ。「審査委員の先生方が」「我々はデザインの専門知識をもっているわけではないので」などと逃げをうちながら、「土日で局面が変わった」などと、まるで他人事のように解説したのだ。
さらに驚いたのは、今回のエンブレム制作について「審査会場のレンタル費と、審査委員の方の日当」「税金でまかなわれているものは一切ありません。スポンサー料でまかなわれております」と、まるで経済的損失がないかのように答えたことだ。
たしかに、エンブレムのポスター制作などはスポンサー収入でまかなわれるが、この男は組織委員会の運営に税金が投入されているということをまったくネグっていたのである。
しかも、エンブレムはスポンサー収入でまかなわれるというが、今回の白紙撤回でスポンサー企業から損害賠償の訴えを出されることが必至の情勢なのだ。会見の翌日には組織委員会の副事務総長である布村幸彦氏が国会で「法的には損害賠償の問題が出ると受け止めている」との認識を示したし、その損害額は100億円超とも言われている。
それをいけしゃあしゃあと「損害はない」と言うのだから、いったいどんなリスクマネジメントをしているのか、と、心配になる。
だが、考えてみればこういう対応は当然かもしれない。実はこの武藤氏、官僚時代も無責任ぶりと危機管理能力のなさをさんざん露呈してきた人物なのだ。
武藤氏は東大法学部を卒業し、1966年に旧大蔵省に入省。将来を嘱望されたキャリア官僚だった。花形の主計局畑を進み、97年には大臣官房長にまで昇り詰める。しかしここで起こったのが、大蔵省接待汚職事件、通称「ノーパンしゃぶしゃぶ」事件だった。
これは大蔵省官僚が大手銀行や証券会社から、一席6万円以上もする歌舞伎町の会員制ノーパンしゃぶしゃぶ店「桜蘭」などで接待を受け、その見返りに便宜を図ったとして、大蔵省官僚4名と大蔵省出身の証券取引委員会委員、日銀職員、公団理事の計7名が逮捕起訴され、当時の三塚博大蔵大臣と松下康雄日銀総裁が引責辞任をしたという大型汚職事件だ。
この際、官房長の武藤氏は省内の綱紀担当責任者で、省内調査の陣頭指揮をとっていたのだが、その対応はお粗末きわまりないものだった。
事件は98年1月に東京地検特捜部が大蔵省の検査官2名を逮捕したことが始まりだが、武藤氏はこの後に国会の予算委員会で調査報告し、「もうこれ以上の不祥事はない」と答弁していた。当時、マスコミはさまざまな接待疑惑を報道したが、これに対しても、「汚職ではない」「問題はない」と完全否定していた。
ところが、その後にキャリア官僚2名が新たに逮捕され、さらに、杉井孝銀行局審議官、長野庬士証券局長、墳崎敏之近畿財務局長、窪野鎮治大臣官房参事官など、幹部クラスのキャリア官僚も数年に渡って、数百万円規模の接待を金融機関から受けていたことが発覚。武藤氏は国会で「調査が不十分だった」と謝罪する事態に追い込まれた。
そして、大蔵省は省内調査をやり直し。接待官僚を処分するという条件で東京地検特捜部と手打ちを進め、計112人に処分を行ったのだが、その後も、武藤氏の無責任な対応は続く。なんと、調査の際、職員に提出させた接待の自己申告書を役所に残さず、本人に返却してしまったのである。
後手後手に回った対応、国会での虚偽答弁、そして証拠隠し……この手口は、まさに今回の国立競技場問題やエンブレム盗用疑惑を彷彿とさせるものだろう。しかもさらに衝撃的なのが、この大蔵省接待汚職事件をめぐっては、調査する側の武藤官房長にも接待疑惑が浮上していたという事実だ。
この問題を報道した「週刊現代」(講談社/1998年4月4日号)によると、武藤氏が接待を受けた舞台はノーパンしゃぶしゃぶではなく、東京港区にあった画廊の女性オーナーがスポンサーをつとめる「博美の会」なる勉強会。この女性オーナーは当時のサラ金大手「武富士」との癒着で有名だった大蔵省大物OB・徳田博美氏から同社の未公開株を斡旋されたことで話題になった人物だが、「博美の会」は、徳田氏と武富士による現役官僚接待の場で、年に数回、銀座、赤坂の料亭で芸者をあげてどんちゃん騒ぎを繰り広げていたという。
そして、当時の大蔵省官房長だった武藤氏は書記の頃からこの「博美の会」の中心メンバーで、タダ飯、タダ酒をたかっていたと「週刊現代」が報じたのだ。同誌にはこんな証言も載っていた。
「参加者たちは芸者の着物の裾に手を入れたりして、鼻の下を伸ばしていた。なかに裸踊りが好きな人物がいて、そのまま芸者に抱きついたりしていたというぐらい“勉強会”は乱れていたそうです」
ところが、武藤氏自身はこうした疑惑を一切否定し、内部調査の対象にもせずに完全に逃げ切った。そして、接待汚職事件に関しても、監督不行き届きで一時、大臣官房総務審議官に格下げされたものの、事実上はなんの処分も受けなかった。
そしてしばらくすると、出世レースのライバルたちがその汚職事件で次々辞任したこともあり、復活。99年にはエリートコースである主計局長に昇格し、2000年には、森政権下で事務方ナンバーワンの事務次官に抜擢された。
また、財務省に組織変更になって初の事務次官をつとめた後も、小泉政権下で日銀副総裁に登用されたのである。
ちなみに、大蔵省接待汚職事件の際、橋本龍太郎首相の秘書官だった現維新の党の江田憲司議員は、後に、自分のブログで、この事件の際の武藤氏の姿勢をこう厳しく批判している。
「今の世の中は、政治家も官僚も責任をとらないという、ゆゆしき風潮が醸成されている。それを絵に描いたように実践してきたのが武藤氏なのである。これでは、大人の背中をみて育つ子供の教育にも良いわけがない」
たしかに、この無責任な姿勢は今回の東京五輪でも十分に発揮されているといえるだろう。
しかも、タチの悪いことに、武藤氏はすべての元凶ともいえる組織委員会会長の森喜朗氏と一体の関係にある。
「武藤さんは森さんに引き立てられてここまできたようなものですからね。事務次官抜擢も森政権下ですし、日銀副総裁も森さんの意向が大きかった。五輪組織委の事務総長にしたものもちろん森さんです。だから、国立競技場にしても、エンブレムにしても、武藤さんはとにかく森さんのほうしか向いていないんです。森さんに恥をかかせたくないということで、間違いを認めずになんとか乗り切ろうとして傷口を広げる、その繰り返しです」(政界関係者)
森会長と武藤事務総長、このコンビが組織委を牛耳っている限り、今後も同様のトラブルに見舞われる可能性はかなり高い。そもそも本当に東京五輪が開催されるのかさえ、あやしくなってきた今日このごろである。
(伊勢崎馨)
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