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14年8月、集団的自衛権について政策説明をする安倍首相(C)日刊ゲンダイ
安保法案の欠陥を衝く/倉持麟太郎 <第16回>昨年7月の閣議決定は明確な「自衛隊法違反」だ
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/163258
2015年9月1日 日刊ゲンダイ
今回の安保法制のエンジンとなって法制を走らせているのは、いわゆる「限定的集団的自衛権の行使」を認めた昨年7月1日の閣議決定である。従来の憲法9条解釈の心臓であった47年政府見解は、集団的自衛権を否定しているが、その「基本的論理」は変更せずに、「安全保障環境の変化」を理由に、集団的自衛権の限定的行使が許されるという強弁は、あらゆる観点から完全にアウトのむちゃくちゃな論理である。
47年見解は、個別的自衛権を前提として、我が国が必要最小限度の自衛の措置をとりうるのは「外国からの武力攻撃」に対してであり、「そうだとすれば」集団的自衛権は認められない、としている。政府はこの「外国からの武力攻撃」に「我が国に対する」と書いていない点に狙いをつけた。つまり、47年見解で自衛権発動条件として予定していたのは「外国からの武力」だけであって、「我が国に対する」とは書いていないから、ここに「我が国と密接な関係にある他国に対する」武力攻撃も「含んでいた」と読み替え、限定的集団的自衛権を無理やり生み出した。
国会では、当時の内閣法制局長官を含め47年見解作成当事者たちが「我が国に対する」外国の武力攻撃を認識して起案したという点につき議論がされているが、「認識」論以前に、自衛権発動が「我が国に対する」攻撃を前提としていたことを圧倒的明示的に立証するものがある。自衛隊法(昭和29年成立)だ。我が国の防衛法制の法体系を支える自衛隊法76条1項(防衛出動)の要件たる「武力攻撃」が「我が国に対する外部からの武力攻撃(以下「武力攻撃」という)」と定義されているのだ。
一般名詞たる「武力攻撃」をわざわざ「我が国に対する」武力攻撃と定義するのは、立法論・法律論としてもかなり奇妙かつクドいが、自衛権発動要件たる外国からの武力攻撃を「我が国に対する」ものという装置を法律に埋め込まなければ自衛隊法は憲法9条違反になるからだ。9条にとって自衛隊法がジャストサイズ合憲となるための立法技術である。法の効力論からいっても、憲法を頂点に頂く日本法体系のピラミッドから言えば、憲法→法律→政府見解であって、憲法に反する法律はもちろん、法律に反する政府見解は違法無効だ。
つまり、47年見解は当然に自衛隊法の枠内にあり、「我が国に対する」武力攻撃を前提としているのはまさに論じるまでもない。すると、「我が国と密接な関係にある他国」への武力攻撃も自衛権行使要件とした昨年の閣議決定は、自衛隊法違反の違法無効な閣議決定である。この国の「法の支配」は瀕死状態である。
▽くらもち・りんたろう 1983年生まれ。慶大法を経て中大法科大学院卒。安保法案に反対する若手の論客として知られ、衆院特別委にも参考人として呼ばれた。
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