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安全保障関連法案をめぐる国会審議で、平時から自衛隊が米軍の艦船などを守る「武器等防護」が議論になっている。武力行使の新3要件や国会承認といった手続きを経ずに、自衛隊が米艦を守るための武器使用ができるようになるため、野党は「集団的自衛権の裏口入学だ」と批判を強めている。
■防衛相「平時に対応」
政府は今回の安保法案で、集団的自衛権の行使を可能にしたことに加え、平時でも自衛隊が米国など他国の艦船を守ることができるように自衛隊法95条の改正案を出している。この条文はもともと自衛隊の武器等を防護するため武器の使用を認める規定だったが、防護できる対象に外国軍の武器等を加えた。
政府が具体的に想定しているのは、北朝鮮からの弾道ミサイルへの警戒監視や、南シナ海での中国軍の動きをめぐる情報収集に日米で協力して当たる場合。さらに日米共同訓練の際にも、自衛隊が米国艦船などを防護できるようにする。
ただ、自衛隊が米軍など他国軍を守るという意味では、集団的自衛権の行使と「武器等防護」は変わらない。集団的自衛権の行使には「日本の存立が脅かされる明白な危険」など武力行使の新3要件を満たした上で、原則として事前の国会承認が必要となる。
一方で武器等防護は、他国からの要請があれば防衛大臣の判断で出動できる。野党が問題視するのは、より簡単な手続きで、集団的自衛権と同じようなことができるのではないかという点だ。
民主党の水岡俊一氏が8月25日の参院特別委員会の質疑で、「『武器等防護』では(武力行使の)新3要件も国会承認もいらないが、自衛隊はミサイル迎撃という(集団的自衛権と)全く同じことができる。集団的自衛権の抜け道であり、裏口入学は絶対にいけない」と指摘した。
これに対し中谷元・防衛相は、武器等防護は、平時と武力攻撃に至らないグレーゾーン事態に対応するもので、存立危機事態と認定して武力を行使できる集団的自衛権とは違うとして、「両者は明確に異なる」と強調した。
そのうえで中谷氏は、武器等防護について、現に戦闘行為が行われている現場では行わない▽武器の使用は正当防衛、緊急避難に当たる場合に限る――などと、集団的自衛権の行使との違いを示した。
一方、野党は「(武器等防護は)地球上どこでも例外規定なく武器を守れる。相手から見れば集団的自衛権の行使だ」(民主・蓮舫氏)と批判を強めている。
■米同時テロきっかけ
政府が、他国軍を守る武器等防護を法案に盛り込むきっかけになったのは、2001年の米同時多発テロ事件だった。
テロの直後、米海軍の横須賀基地から空母が出港する際、政府は海上自衛隊の護衛艦による警護を米軍から求められた。作戦行動中の米軍を自衛隊が警護する行為は、集団的自衛権の行使に当たる恐れがあった。当時防衛庁長官だった中谷氏は「防衛省設置法で定められた『調査・研究』に基づく」と説明し、現行法を拡大解釈して適用した。
中谷氏は国会審議でこうした警護の必要性を訴え、自衛隊幹部も「平時から米軍や豪軍と共同で活動する場面が増え、ニーズが高まっている」と主張した。
ただ審議を通じても、どういう状況で何ができるのかははっきりしない。
衆院審議では、平時に米艦がミサイル攻撃を受けた場合、自衛隊は武器等防護の規定で迎撃することが可能かが問われ、防衛省の担当者は「(自衛隊による迎撃を)適用する可能性はある」と答弁。中谷氏も「その通りだ」と述べ、一般論として聞かれたときは、可能と認めた。
ところが、8月26日の参院特別委で民主党の小川勝也氏が、「米国の船が潜水艦から魚雷攻撃を受けたら、自衛隊の艦艇は対潜ミサイルを発射して米艦を防護するのか」と質問。より具体的な状況を問われた中谷氏は「武器等防護は武力攻撃に対応するものではない。あくまでも法律の範囲内で米国等を防護する」と述べるなど、具体的なケースに立ち入って聞かれると、どの場合に可能なのか、はっきり答えない。
(石松恒、三輪さち子)
9月1日 朝日新聞 朝刊より
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