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安保法案の欠陥を衝く/倉持麟太郎 <第13回>この法案はルービックキューブでつじつまが合わない
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/163119
2015年8月27日 日刊ゲンダイ
間違いであると思っていたら、実は「あえてそうしていた」ということがある。狡猾でしたたかな話だ。「逆オオカミ少年」とでもいおうか。
自衛隊法で、「武器等(航空機、艦船も含む)防護」の条文における「武器使用」の主語は、「自衛官」であることは、すでに見た。「自衛隊」を主語にしてしまうと、組織的な武力行使となり憲法9条1項に違反してしまうから、そうしているのだろう。
さらに本改正自衛隊法案では、122条の2という条文が新設された。これは、従前、雑駁にいえば上官の命令に違反した場合や、また、これらを共謀したり、唆したり、扇動した者に、それぞれ3年以下の懲役が科される、という罰則を日本国外で犯した者にも適用するものだ。これにより、自衛官は憲法違反の海外派兵をされても命令にも違反できず、罰則を科せられてしまうという強固な管理体制が構築されたわけである。
ところが、不思議なことに「武器の不正使用」の条文には、この国外犯処罰規定がない。「武器の不正使用」とは正当防衛など、武器を使用することが許容されていないのに、武器を使用することである。自衛隊の海外活動では危険が伴う。武器使用を前提とするのであれば、あって当然の規定がないのは一見、法の欠陥に見える。
しかし、これぞ逆オオカミ少年で、あえて意図的に規定しなかったのではないか。そんな疑念を持っている。
自衛官による武器使用は、実態は上官の命令で部隊として行われる(8月21日中谷答弁)。しかし、テロとの戦いの場合、正当防衛か否か、民間人か否かを確認できないまま撃たざるを得ない武器の不正使用も想定される。命令によってした武器使用が不当であった場合、国外犯処罰規定で処罰されると考えるのが普通だ。それがないのはこのとき、武器使用の命令に基づいて行動した当該自衛官を未確認を理由に武器不正使用で罰していたら、武器使用の目的を達成できないという判断が働いたのだろう。
米軍等の武器等防護の主語を自衛官にして、自衛官個人の責任で武器使用をするという建て付けはかくも矛盾をはらむ。そうした矛盾をガス抜きする立法技術として、海外における自衛官の武器の“不正使用の罰則”をあえて置かなかったのだとすると、本当に武器を不正に使用したものが野放しになってしまう。憲法改正を経ずに無理やり立法しているため、終わりのないルービックキューブのように、どこかをいじればどこかに不備が生じてしまう。この法案は決してつじつまが合うことがない。
▽くらもち・りんたろう 1983年生まれ。慶大法を経て中大法科大学院卒。安保法案に反対する若手の論客として知られ、衆院特別委にも参考人として呼ばれた。
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