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「改革断行国会」の裏にあるバラマキは安倍首相からの見返りだという古賀氏
戦後70年談話の裏で自民党は改革ほったらかし!のバラマキ政策を復活させていた
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150827-00052677-playboyz-pol
週プレNEWS 8月27日(木)6時0分配信
『週刊プレイボーイ』でコラム「古賀政経塾!!」を連載中の経済産業省元幹部官僚・古賀茂明氏が、戦後70年談話の裏で行なわれていた自民党のバラマキに言及した!
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この夏のTPP(環太平洋連携協定)交渉妥結を見込み、自民党は新たな予算バラマキを画策していた。
農水省の試算によれば、TPPが成立すれば、日本の農業の生産額は3兆円も減るという。そのため、与党の農水族議員や農協などが農業への補助金を強く求めているのだ。
予算の概算要求は8月末に出そろう。もし今月中にTPP交渉がまとまっていれば、農業振興のための補助金などを盛り込める。年末の折衝を経て年明けの国会で予算案が成立すれば、来年4月から予算は執行される。同年夏には参院選が控えており、その直前に巨額の補助金を投入すれば、農協の大票田を確保でき、政権にとって何よりの追い風となるはずだった。
だが、TPP交渉は難航。このままでは補助金をバラまく大義名分を失う。そこで自民党は別の予算バラマキに乗り出した。
その主人公は二階俊博(にかいとしひろ)自民党総務会長だ。彼は8月14日、閣議決定された「国土形成計画」に、ある仕込みをした。
「国土形成計画」とは、今後10年間の国づくりの指針となるもので、人口減と高齢化が進む中、医療、福祉、商業などの都市機能を集積した中核地方都市「コンパクトシティ」を形成することで地方を活性化させる。いわば限られた地方の資源を“選択と集中”で有効利用しようとする戦略だ。
しかし、二階総務会長はその計画に「国土の均衡ある発展」という文言をねじ込んだ。
この文言は“選択と集中”とは正反対。「均衡ある発展」とは国土整備にあたり、インフラなどの公共事業を全国一律にバラまくことを意味するからだ。
実は今年5月に公表された当初案には、このフレーズはなかった。それどころか昨年9月の記者会見では、この計画を主管する太田昭宏(あきひろ)国交大臣が全国一律の開発計画は予算バラマキにつながるとして「均衡ある発展を目指したこれまでの国土開発計画は変えなくてはいけない」と明言さえしていたのだ。
二階総務会長はその国交省の方針をひっくり返す形で、このフレーズを押し込んでみせた。しかもそのタイミングが絶妙だ。「国土形成計画」が閣議決定された今月14日の国民の関心は、首相の戦後70年談話に集まっていた。このタイミングなら、時代錯誤的なバラマキを画策してもマスコミに叩かれる心配はないと踏んだのだろう。
残念なのは安倍首相の反応だ。「改革を断行する」と叫びながら、二階会長の動きに異論を挟まなかった。つまり、新たなバラマキを追認したのだ。
二階派は9月の自民総裁選に向けて、派閥の中で一番に安倍支持を表明している。安保法制に関する安倍首相の進め方に対してはやや批判的な言動もしていた二階氏の支持表明は、支持率低下に悩む首相にはよほど嬉しかったのだろう。自ら二階氏にお礼の電話をかけたと報じられている。
今回の国土形成計画の変更劇は、二階氏への露骨な見返りだったのだ。
かくして、首相が「改革断行国会」と名づけた今国会は表は安保法案一色、その裏は、改革はおざなり、バラマキには熱心という、いつもの自民党政治が繰り広げられただけで終わることになるのである。
●古賀茂明(こが・しげあき)
1955年生まれ、長崎県出身。経済産業省の元幹部官僚。霞が関の改革派のリーダーだったが、民主党政権と対立して2011年退官。著書『日本中枢の崩壊』(講談社)がベストセラーに。著著に『国家の暴走』(角川oneテーマ21)
(撮影/山形健司)
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