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安保法制後の「日米軍事一体化」計画を暴く〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150827-00000003-sasahi-pol
週刊朝日 2015年9月4日号より抜粋
盆明けに再開された参院の安保国会で、“爆弾”が炸裂した。自衛隊がひそかに作成した内部資料が暴露され、安倍政権の本音が次々と明らかになったのだ。さらに8月には沖縄で事故を起こした米特殊部隊ヘリに自衛隊員が同乗。そのヘリは事故前に本州でも目撃されていた。
米国のエリート特殊部隊が、わざわざ来日して訓練を行った目的はなんだったのだろうか。
「本州でも沖縄と同じように自衛隊員への“教育”が目的の一つだったとも考えられ、防衛省に問い合わせています。今回は事故でたまたま露見したが、米軍からのノウハウの伝授は以前から行われているはず。それが安保法制に合わせ、より踏み込んだ形で行われるようになっているのではないか。法案が成立したら、低空飛行を多用するような特殊部隊の危険な訓練が常態化してしまうのではないかと危惧しています」(米軍の動向を監視する市民団体・神奈川県平和委員会のメンバー)
実際、今回明らかになった自衛隊の内部資料の中でも、こうした説とリンクするような記述が散見される。
例えば<船舶検査活動法(改正)>という項目では、経済制裁対象国の商船の積み荷などを調べる「船舶検査」について、
<今回の改正により、外国領域であっても当該外国の同意に基づき活動が可能となります>
と、活動範囲の拡大に言及。その際の武器使用権限の範囲も拡大されると書かれていた。また、平時からの<情報収集、警戒監視及び偵察>(ISR)の範囲については<東シナ海等における共同ISRのより一層の推進><南シナ海に対する関与のあり方について検討>と、政府が活動範囲と明言していない南シナ海の地名まで挙げていた。
こうした方針に基づいた訓練が、急ピッチで行われているとも考えられる。
自衛隊の活動の範囲は、陸上でも拡大する。内部資料では、南スーダンでの国連PKOに参加する自衛隊員が、安保法制で新たに認められる「駆けつけ警護」を行う可能性が示唆されていたのだ。軍事ジャーナリストの田岡俊次氏が語る。
「『駆けつけ警護』を行えば戦闘に巻き込まれるのは避けられず、自衛隊員に犠牲が出る可能性が高い。ただ、もっと危ういのは日本の特殊作戦群が米軍の特殊部隊と連携をして秘密活動をすること。米特殊部隊の行動は要人の殺害や反政府勢力の支援など、非合法なものが多い。もしそれが露見すれば、日本政府は窮地に立つことになる」
自衛隊の内部資料の記述に共通するのは、大国同士の全面戦争のような事態より、警戒監視や駆けつけ警護など「平時」の活動の検討に重きが置かれていることだ。共産党の小池晃参院議員がこう語った。
「(武力行使の)『新3要件』を満たす『存立危機事態』のようなことが実際に起きる可能性は限りなく低い。安保法制が成立した後で実際に起きるのは、中東やアフリカでの駆けつけ警護のようなシチュエーションで、自衛隊員が犠牲になったり、誰かを殺害してしまう事態でしょう。集団的自衛権の行使を認めることが突破口になり、海外での武力行使に歯止めが利かなくなってしまうのです」
隠されていた安保法制の真の目的がようやく国民の目に見え始めた。
折しも北朝鮮の金正恩第1書記が8月21日、各前線部隊が完全武装する「準戦時状態」を宣言する命令を出したとされ、朝鮮半島の緊張が高まっている。安保法制成立後、自衛隊は米軍とともにどこへ行くのだろうか。
(本誌・小泉耕平)
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