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米軍等の「武器等」を守る主体は「自衛隊」ではなく「自衛官」…(C)日刊ゲンダイ
安保法案の欠陥を衝く/倉持麟太郎 <第11回>子分に責任押し付ける親分の下で国防は機能しない
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/163036
2015年8月25日 日刊ゲンダイ
任侠映画で、抗争相手の組長を仕留めると、出頭するのは主人公演じる下っ端で、「組ぐるみでやったんだろぉ!」という刑事の取り調べにも、親分を守るため、かたくなに「俺が一人でやったんです」と繰り返す姿に、観客は胸を熱くする、というのがある。観客は、組ぐるみでやっていることは、もちろん、わかっている。
今回の安保法制において、自衛隊法に95条の2という条文が新設された。「米軍等の武器等防護」という規定だ。これが、集団的自衛権行使の違憲性、後方支援の違憲性と並んで、いや、それ以上に大問題な規定なのである。規定の趣旨から順を追いたい。
既存の自衛隊法95条は、自衛隊自身の武器等防護の規定で、自衛隊の武器等が狙われた時には、自衛官が自分の身を守る、自己保存的な権利の延長線上で自隊の武器等も守ることができる、という規定であった。これが今回、さらに武器等防護の射程を広げ、「米軍等」の「武器等」まで守れることとなった。自衛官自身の身を守る「自然的権利」から、その武器等を守れるというのでも苦しいが、さらに、自衛官自身の自己保存の文脈で「米軍等」の「武器等」を守れることになった。
ここで2点確認したい。(1)米軍等の「武器等」には法文で「航空機」や「艦船」が含まれることが明記されており、(2)この武器等を守る主体は「自衛隊」ではなく、「自衛官」と明記されている。すなわち、米軍の戦闘機やイージス艦を「自衛官」個人が守ることになっているのだ。これは、防衛出動している場合以外で、主語を「自衛隊」としてしまうと、組織的な武力行使となり、憲法9条に違反してしまうためにとられている高度(?)な立法技術である。しかし、米軍艦船を守るためのミサイル迎撃もできる(衆院7月8日黒江政府参考人答弁)のならば、実態は明らかな「武力行使」であり憲法9条1項に反する。
実態は、上官の命令で「自衛隊の部隊として」組織的に行う(参院8月21日中谷大臣答弁)行為であり、武力行使だが、法文の主体が「自衛官」であれば9条の禁止する「武力行使」にはあたらず、違憲性を免れるなどということはありえない。いわんや、もし、集団的自衛権行使と同じ状況が、95条の2に基づく武器等防護で行われていたとしても、「自衛官」が行っている限りは、9条に触れないというのは、国民及び国際社会には説明不能であろう。
憲法改正を回避したまま本法制を強行しているがゆえの歪みのツケを払わされるのは、法文上、責任主体となった「自衛官」である。任侠映画では、親分も人格者という設定も多いが、本質から逃げた結果、現場に判断と責任を押し付ける親分の下では、国防は機能しないし、観客である我々もこれに気づかなければならない。
▽くらもち・りんたろう 1983年生まれ。慶大法を経て中大法科大学院卒。安保法案に反対する若手の論客として知られ、衆院特別委にも参考人として呼ばれた。
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