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来年2月施行で防衛省「武器使用拡大」 安保法制が自衛隊員を殺す〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150820-00000003-sasahi-pol
週刊朝日 2015年8月28日号より抜粋
参院の安保法制特別委員会で8月11日、共産党の小池晃議員が暴露した自衛隊の内部資料のタイトルは、「『日米防衛協力のための指針』(ガイドライン)及び平和安全法制関連法案について」。自衛隊統合幕僚監部が作成したものだ。今年4月に18年ぶりの改定が合意された日米防衛協力の新ガイドラインと、参院で審議中の安保法案の成立を前提に、今後、自衛隊が海外でどのようなミッションをするかを詳細に検討したものだ。
今後のスケジュールとして安保法案成立は8月中、施行は来年2月とされ、平時から自衛隊を事実上、米軍の指揮下に組み込むことが前提となる。さらに来年3月から安保法制を反映させ、陸上自衛隊は南スーダンでの国連平和維持活動(PKO)で「駆けつけ警護」を実施することも検討されている。駆けつけ警護とは、PKOで活動中の自衛隊が、他国軍や民間人が危険にさらされた場所に駆けつけ、武器を使って助けることで、今のPKO法では認められない。しかし、資料では「駆けつけ警護は『任務遂行型』の武器使用となります」と記されていた(任務遂行型とは、自己防衛を越える武器使用)。他にも米軍が南シナ海で展開している監視活動への関与も検討されていた。
「この文書について防衛省は箝口令をしいていますが、内部資料は統幕で作成したパワーポイントの一部のようです。統幕は寄り合い世帯なので様々な意見があり、安保法制反対派が小池議員にリークしたのでしょう。安保法制の施行を2月と想定すると、自衛隊員を海外派遣する前に必要となる訓練には半年ほどかかる。『駆けつけ警護』を実施するなら、武器、物資の調達、隊員選抜などをもう始めないと間に合わないのです」(自衛隊関係者)
安倍首相はインターネット番組で、自衛隊の武器使用権限が拡大されることで「リスクは減る」との認識を示しているが、資料で検討事項に入っている南スーダンでの駆けつけ警護は、安全な任務とはいえない。国連職員として紛争処理に関わった伊勢崎賢治・東京外国語大教授は言う。
「国連は、コンゴでも武装勢力による虐殺を止められなかったことで批判を浴び、2013年に中立・軽武装のPKOから戦闘部隊の導入に方針を転換しました。実は、コンゴと南スーダンのミッションは連動していて、自衛隊が送られている南スーダンのPKOも、戦闘部隊になる可能性がある。すると、住民保護のために、自衛隊は武装勢力と交戦しないといけない。その時点で憲法違反になります」
戦後、一人も殺していない自衛隊が、この法案に拒否反応を示すのも当然かもしれない。現役の自衛隊員も、不安や不満を隠そうとしない。陸上自衛隊でイラク・サマワに派遣された経験のある隊員は言う。
「『全面的に米軍が守ってくれる』と上官に言われ、手当もよかったので、家族に反対されたけど、イラクに行った。しかし、現地でウソだとわかった。米軍は交戦して死者、負傷者がバンバン出ていた。米軍兵士と現地で話すと、『イラクすべてが戦場、日本も参加しているんだ』と言われた。憲法9条があるから自衛隊に入ったという人は、かなりいます。私もそう。基本的には戦場に行くことはないだろうと思っていたが、安倍首相は変えようとしている。内心ではみんなブーイングです。政治家はいいよ、戦場に行かないからね」
(本誌・西岡千史、長倉克枝/今西憲之、横田一)
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