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米議会で演説する安倍首相(C)AP
安保法案の欠陥を衝く/倉持麟太郎 <第8回>「弾薬」はいつの間に「武器」に含まれなくなったのか
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/162900
2015年8月20日 日刊ゲンダイ
昔、ドイツ語の試験で「持ち込み可」という条件でドイツ人の友人を持ち込んだという話を聞いて驚愕した覚えがある。ルールには国語的な意味だけでなく、ルールが制定された目的や規範としての限界があるはずだ。しかし、現在、安保法制国会で「言い切れば何でもアリ」状態の答弁が続出している。
後方支援を基礎づける本改正法で、後方支援の内容に「弾薬」の提供が含まれることになった。改正前の周辺事態法では、「武器」は提供できないこととされており、この「武器」には「(弾薬も含む)」と明記されていた。つまり、改正法でも「武器」の提供はできないが、「弾薬」の提供は可能であるというのが政府答弁で、明らかに「武器」の定義が変わっている。そして、この「武器」から解き放たれた「弾薬」には、ドラえもんのポケットよろしく何でも入ることになってしまった。
安倍首相及び中谷防衛大臣は、手りゅう弾、ミサイル、さらには核兵器も「核弾頭がついている」から「弾薬」に含まれると驚愕の答弁をしている。これは法律論であり、弾薬という語感からどこまで入るのかを競うゲームをしているのではない。後方支援で「武器(弾薬も含む)の提供はできない」としていたのは、武器・弾薬を提供することが、憲法9条が禁止している「武力行使」にあたるからだ。国語的な話ではない。日本人が選択した価値・精神の枠組みがNOと言ってきたのである。
それを、安倍政権は、口先の言葉遊びにおとしめ、揚げ句は「武器」の提供も「米国のニーズがないから」やらないと答弁した。「ニーズ」があればやるのか。
そもそも改正前に「武器=弾薬」とされていたものが、法文で切り出しただけで、「武器」性を脱ぎ捨て、憲法上の武力行使には触れることのない“清廉”な概念となり得るわけがない。
日本近海という地理的限定も脱ぎ捨て、世界中に展開し、核兵器も運搬できる「自衛隊」は、もはや憲法9条2項の下で許容された「我が国防衛のための最小限度の実力」をも逸脱するのではないか。
しかも首相の国会答弁を聞いていると、政権の判断に極めて重大な影響を与えているのが、「米国のニーズ」だということがわかる。「米国のニーズ」を「主権者国民の総意」よりも優先させ、今年4月にアメリカで本法案の成立を“先約”してきた安倍首相。現行憲法を「押し付け」として、「我が国固有の歴史と伝統」を軸に憲法を改正して「日本を取り戻す」と意気込む首相が最も依存するのが「米国のニーズ」では、なんとも聞いて悲しい。権力に近づくほど、その行動を縛りつけ、規定する磁力を持つのは、「米国」ではなく「憲法」である。
▽くらもち・りんたろう 1983年生まれ。慶大法を経て中大法科大学院卒。安保法案に反対する若手の論客として知られ、衆院特別委にも参考人として呼ばれた。
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