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安保法案の欠陥を衝く/倉持麟太郎 <第7回>法律の世界で自分でルールを作るのは許されない
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/162855
2015年8月19日 日刊ゲンダイ
野球選手が、自分で「ルール=基準」を作ってプレーできてしまえば、もはや何でもアリである。前回、自衛隊の後方支援が武力行使になるかの判断基準は「武力行使と一体化」しているか否かであると論じた。次に、「一体化」しているかの判断基準の要素が何かと言えば、大森政輔元内閣法制局長官が定立した、いわゆる「大森4要素」である。
それは、(1)戦闘活動が行われている、または行われようとしている地点と当該行動がなされる場所との地理的関係(2)当該行動の具体的内容(3)他国の武力の行使に当たる者との関係の密接性(4)協力しようとする相手の活動の現況等諸般の事情――を総合的に勘案するというものだ。この判断「要素」を基に、「一体化」判断の際の「要件」を定立したのが今年6月26日の平安特別委員会での安倍総理答弁である。
前回から問題にしている「発艦直前の戦闘機に給油・弾薬の提供をすることが、武力行使との一体化にあたらないか」という点につき、(1)地理的関係については、実際に戦闘行為が行われる場所とは一線を画する場所で行うものであること(2)支援活動の具体的内容としては、補給や整備であり、戦闘行為とは異質の活動であること(3)自衛隊は他国の軍隊の指揮命令を受けるものではなく、我が国の法令に従い、自らの判断で活動するものであること(4)協力しようとする相手の活動の現況については、あくまでも発進に向けた準備中であり、現に戦闘を行っているものではないこと、を要件として基準化した。
しかし、(1)戦闘行為が行われる場所とは一線を画する場所と法文上の「現に戦闘が行われている現場(ではないところ)」との関係が不明かつ曖昧・漠然(2)一体化の判断は全体として「評価」するのであり、行為そのものが戦闘行為と異質であれば許容されるなら、武力攻撃以外のあらゆる行為は許容される。前回論じたとおり、発艦直前の戦闘機への給油・弾薬提供は、日本がされた場合、個別的自衛権の対象となりうる武力行使的行為である(3)本法案での軍事行動において、政府は、自衛隊が外国軍隊の指揮命令下で行動することは想定していない。想定していないことをやらないというのは基準ではない(4)発艦直前の戦闘機は、発射直前のミサイルと同じで、これへの給油・弾薬提供は武力行使の着手かそれに極めて密接した行為だ。
つまり、安倍首相が答弁した4要件は「一体化」について合憲性の基準になっておらず、その判断結果は合憲性を担保していない。当該基準に依拠して後方支援にゴーサインを出せば、シームレスの(継ぎ目のない)違憲領域に踏み入る危険性を除去できない。安倍首相は、自身が基準であり、「審判は私」とでもいうのだろうが、本来縛られるべき「憲法」というルールを守らなければ、立憲政治というグラウンドからは「退場」である。
▽くらもち・りんたろう 1983年生まれ。慶大法を経て中大法科大学院卒。安保法案に反対する若手の論客として知られ、衆院特別委にも参考人として呼ばれた。
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