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2015年08月18日 板垣 英憲(いたがき えいけん)「マスコミに出ない政治経済の裏話」
◆米軍と韓国軍は8月17日から28日までの日程で、朝鮮半島の有事に備えた毎年恒例の「合同軍事演習」(参加兵力=米軍将兵3万人、韓国軍将兵5万人、計将兵8万人)を韓国で開始した。今回は、北朝鮮からの攻撃を想定し、駐韓米軍と韓国軍の指揮命令系統の確認などを主目的にして行われている。韓国の非武装地帯(DMZ)内で8月4日に爆発が起き、韓国軍の将兵2人が大けがを負った事故が起き、韓国国防部が10日、「爆発物の残骸が北朝鮮の対人地雷と一致した」と調査結果を発表し、南北の緊張が高まっているなかでの「合同軍事演習」だ。
◆韓国は朝鮮戦争中にダグラス・マッカーサー率いる国連軍(実態は、米軍中心の多国籍軍)に、韓国軍の「戦時作戦統制(指揮)権」を渡し、その指揮下で戦った。平時の「作戦統制(指揮)権」は韓国軍が単独行使するが、有事の際の「戦時作戦統制(指揮)権」は米韓連合司令部が掌握していて、事実上、米軍が掌握している。
しかし、韓国民のなかでは、反米意識が強く、駐韓米軍の撤退を求める声が根強い。このため、韓国政府は、韓国軍への「戦時作戦統制(指揮)権」返還を求めた。これに対して、米国は当初、相当に悩んだ末、結局、2006年9月16日の米韓首脳会談で返還に基本合意した。
米軍将兵の間では、「韓国民を守るために朝鮮半島で犬死にするのは、御免だ」という厭戦意識がある。米国オバマ大統領は、連邦政府の財政難に伴う兵力削減を進めており、本音では、駐韓米軍を撤退させたい。休戦中の朝鮮戦争が再開する有事の場合、韓国軍が前面に立って戦争するように仕向けてきた。そのために米軍が持っている「戦時作戦統制(指揮)権」を韓国軍に移管しようとしてきた。
しかし、北朝鮮が核開発し、弾道ミサイル開発など軍事力を強化していることを憂慮している韓国政府は、複数回にわたり米国に要請して、返還時期の延期を繰り返してきた。だが、米国のヘーゲル国防長官と韓国の韓民求(ハンミング)国防相が2014年10月23日、ワシントン郊外の国防総省で「定例安保協議(SCM)」し、予定していた2015年12月から延期、韓国軍が北朝鮮の脅威に十分対応できる能力をつけるまでとし、移管の目標を20年代半ばとする」と合意している。
◆ところで、安倍晋三首相、中谷元防衛相、岸田文雄外相、菅義偉官房長官らは、「仮想的国第1位=中国、第2位=北朝鮮」とする「安全保障法制整備関連法案」を今延長国会で可決成立させようと血道を上げている。それだけに、今回の朝鮮半島の有事に備えた「米韓合同軍事演習」に、相当関心を持っているはずである。
だが、日本版NSC、防衛省・陸海空3自衛隊から緊張感がまったく伝わってこない。韓国では、「米韓合同軍事演習」に合わせて自治体や企業でも避難訓練などが行われることになっているというのに、安倍晋三首相、中谷元防衛相、岸田文雄外相、菅義偉官房長官らは、在韓日本人の救出訓練はもとより、在韓日本人を米艦艇にどうやって救出してもらうかについて、具体的な検討もしていない。それどころか、安倍晋三首相は8月15日午後、山梨県鳴沢村の別荘を訪れ、静養に入った。20日まで滞在。ゴルフ三昧の生活を楽しんでいる。
日本は、韓国との政治的、軍事的関係について、「関心持たず・関わらず・介入せず」の姿勢で臨むべきだが、在韓法人の救出は、真剣に取り組まなくてはならない。そうでなければ、何のために「安全保障法制整備関連法案」を今延長国会で可決成立させようとしているのか、訳がわからなくなってくる。本当に在韓法人を救出する気はあるのか?
【参考引用】
NHKNEWSwebは8月17日午前11時41分、「米韓合同軍事演習 韓国で始まる」というタイトルをつけて、以下のように配信した。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150817/k10010192821000.html
アメリカ軍と韓国軍は朝鮮半島の有事に備えた合同軍事演習を17日から韓国で開始し、今月、南北の間の非武装地帯で北朝鮮が埋めた地雷が爆発して韓国軍の兵士らが大けがをするという緊張が高まったなかでの訓練となりました。この合同軍事演習はアメリカ軍と韓国軍が毎年、韓国で行っているもので、ことしは17日から28日までの日程で始まりました。演習にはアメリカ軍からおよそ3万人、韓国軍からおよそ5万人が参加し、北朝鮮からの攻撃を想定して指揮命令系統の確認などが行われます。また、これに合わせて自治体や企業でも避難訓練などが行われることになっています。
今回の訓練について、北朝鮮は15日、国防委員会の声明を発表し、「侵略的な軍事演習を直ちに中止すべきだ」としたうえで、「訓練が行われれば、われわれの軍事的対応も最大限に激しくなる」と警告しています。南北を巡っては今月4日、北朝鮮が非武装地帯に埋めた地雷が爆発して韓国軍の兵士2人が大けがをし、これを受けて韓国軍は先週、北朝鮮に向け、大音量のスピーカーを使って体制を非難する放送を11年ぶりに再開しました。緊張が高まったなかでの訓練開始となり、北朝鮮の反発は必至とみられます。
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