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2015.08.18 平和が戦争を圧倒した70年目の夏(リベラル21)
坂井定雄 (龍谷大学名誉教授)
http://lib21.blog96.fc2.com/blog-entry-3279.html
8月15日全国戦没者追悼式のTV中継のスイッチを切ると、連れがいきなり言ったー「今年は平和、平和の声の盛り上がりがすごい!戦争はしてはいけないって、みんなが言っている!」
わたしも、そう感じていた。70年目の夏、平和の声、戦争拒否の声が例年よりはるかに強く,広く、日本を世界中で戦争ができる国にしようとする安倍政権の、嘘とごまかしのお喋りを、圧倒した。
カウントしたわけではないが、NHKの報道で見ると、ニュースでも、その他の報道番組でも、被爆者、それ以外の戦争犠牲者の家族から、普通の学生、子供たちまで、「平和の大切さ」「いつまでも平和でありたい」「戦争は絶対してはいけない」といった言葉が、間違いなく、とても多かった。こんな人まで、と思うような人々が、平和と戦争について話した。安倍首相から送り込まれたNHK会長が、あからさまに、さらに局内のラインを使って、安倍政権と安保法制の批判的報道を抑えたが、その代わり、平和を尊び、戦争に反対する全国の人々の声が、かってなく豊富に伝えられた。NHKの職員たちが、安倍政権と会長とまともに衝突するのではなく、平和、戦争反対の声を積極的に報道することに、職場でも、個人でも意識的に取り組んだ、と思う。平和の声、戦争を否定する声の報道を、抑圧することはできない。
新聞は、産経、読売を除く在京大手紙も、大部分の地方紙も、安倍政権の憲法蹂躙と安保法制の危険性を、かなりしっかり伝えてきたのではないだろうか。5月に本欄で書いたが、朝日新聞は、バッシングから立ち直ったことを示した。
だが、安倍政権への国民の批判、不安を高め、政権支持率を大幅に低下させた原動力は、マス・コミの報道はとても不十分だったが、おそらく60年安保改定反対の巨大な運動以来の、幅広い、根強い、戦争法制反対、憲法を守る運動だと思う。国会を連日取り巻くデモ、広い分野での「9条の会」はじめ実に多様なさまざまな団体、組織の行動だ。わたし自身も、いくつかの組織、グループに加わり、呼びかけ人や賛同者となって、ささやかな行動をしたが、その最新のものは、8月10日に発表した『「安保法制」に反対する中東研究者のアピール』だった。呼びかけ人は100人余りだったが、このような小さな集まりを含めた大きな運動が、国民世論を変えていった。
▽そして、終戦70年の8月15日。
全国戦没者追悼式。天皇陛下と安倍首相のお言葉と式辞の違いは決定的だった。
天皇は「おことば」の中段で「平和の存続を切望する国民の意識に支えられ」と国民の平和を切望する意識に触れ、「ここに過去を顧み、さきの大戦に対する深い反省と共に、今後、戦争の惨禍が再び繰り返されぬことを切に願い、全国民と共に、戦陣に倒れた人々に対し、こころからなる追悼の意を表し、世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります。」と結んだ。天皇は、安倍政権の安保法制(戦争法制)強行に反対する、あるいは強い疑問や不安を持つ国民の意識をしっかり受け止め、「大戦に対する深い反省」を持ち続けることが、日本とアジアの平和のために不可欠であると思っておられる、と感じた。
安倍首相も平和については「平和を重んじ、戦争を憎んで、堅く身を持してまいりました。」「戦争の惨禍を決して繰り返さない、そして・・・」と述べた。しかし、そこには、戦争に対する「反省」の言葉はなく、アジア諸国民への加害者としての責任やお詫びの言葉もなく、「戦争の惨禍を決して繰り返さない」という言葉も、日本国民に惨禍が及ばなければ戦争をするのか、という疑いが残る。
安倍首相は、6日の広島の原爆慰霊祭でのあいさつで、核軍縮に対する日本政府の政策の柱である非核3原則―核兵器を「持たない」「作らない」「持ち込ませない」を入れなかった。歴代の首相が必ず入れた3原則を外したのである。このことに“うっかり”はあり得ず、意識的、政策的に外したのである。しかし、世論の厳しい批判を受け、9日の長崎原爆慰霊祭でのあいさつでは入れた。
8月14日発表した戦後70年の首相談話では、戦後50年の村山談話、60年の小泉談話で明記された「植民地支配」「侵略」「痛切な反省」「心からのお詫び」のキーワードは盛り込まれたが、その「反省」と「お詫び」は安倍首相自身の意思を示す言葉ではなく、「こうした歴代内閣の立場は、今後もゆるぎないものである」とよそごとのような間接的表現だった。
終戦70年目の夏、平和の永続を願い、戦争を否定する国民世論の大勢と、世界どこでも戦争を出来る国にしようとする安倍政権とのせめぎ合いの夏だった。これから安倍政権は、戦争法制の国会議決を強行し、次は憲法改悪へと動いていく。だが、このような、“口先三寸”の政権が、平和を求める国民の大勢を、“積極的平和主義”などという言葉で、騙し続けられるはずがない。安倍政権の崩壊は遠くないと思う。(8月16日記)
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