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2015年8月15日
敗戦から70年の時間が経過した。
しかし、8月15日は昭和天皇による「大東亜戦争終結ノ詔書」朗読音声が放送された(玉音放送)日であって戦争が終結した日ではない。
日本がポツダム宣言を受諾して降伏することを決定したことが公表されただけである。
日本が降伏文書に署名したのは9月2日であり、戦争終結は9月2日とするのが正しい。
敗戦の日は9月2日とするのが正しい。
重要な歴史期日が粉飾されることは望ましいことではない。
敗戦70年に際して、安倍首相が談話を発表した。
閣議決定せず、首相談話として発表することが検討されたが、閣内不一致の批判を受ける可能性が高いことから、閣議決定する道が選ばれた。
「侵略」、「植民地支配」、「反省」、「おわび」
の言葉が盛り込まれたが、安倍首相の言葉として表出されるものにならなかった。
日本の過去の歴史を直視し、事実を認め、その事実に対する態度を示すものでなかった。
この意味での談話はすでに20年前に、村山富市首相にが発表している。
村山談話では、日本の過去の行為として
侵略
植民地支配
を認め、
このことについて、
痛切な反省
と
心からのお詫び
を述べたものである。
この村山談話によって、日本の戦争責任についての言及は総括されたのである。
安倍首相は村山談話を否定するために70年のこの年に談話を発表する意向を示したのだと考えられる。
村山富市元首相は
「村山談話を継承する」なら、基本的な事項を省くことはおかしいが、安倍氏は本音では、「侵略」や「反省」、「おわび」を認めたくないという心理をもっているのではないか」
との疑念を示していた。
ところが、安倍政権が戦争法案を推進するなどの暴走を繰り広げるなかで内閣支持率が急落し、いよいよ赤信号が灯る20%台に突入する様相が示されている。
安倍首相は当初の意向を撤回さざるを得ないところに追い込まれた。
安倍政権を支えているのは公明党である。
公明党は村山談話を継承する表現を盛り込まなければ談話を了承しない方針を明示した。
安倍首相は閣議決定ではなく首相個人の談話発表で意向を貫くことを検討したが、談話発表後に閣内不一致を追及されることは必定である。
公明党の連立離脱という事態さえ想定しなければならなくなる。
それは、安倍政権崩壊を意味することだ。
結局、追い込まれた安倍政権が、村山談話の四つのキーワードをそのまま用いるところにまで追い込まれたのである。
しかし、安倍談話は四つのキーワードを盛り込んだとはいえ、その言葉は安倍首相の認識、心を表現するものになっていない。
第三者が心も込めず、状況を記述するだけのもので、まったく意味のない談話になったと言える。
大山鳴動してネズミ一匹も出ず、ということになった。
安倍談話の最大の問題は、
「二度と戦争の惨禍を繰り返してはならない。
事変、侵略、戦争。いかなる武力の威嚇や行使も、国際紛争を解決する手段としては、もう二度と用いてはならない。」
と述べておきながら、国際紛争を解決する手段として武力を行使する集団的自衛権の行使を容認する戦争法案を推進していることである。
こうした二枚舌、二律背反、言行不一致が、国民の不信感を増幅させているのである。
敗戦から70年を迎えるいま、日本がまずやるべきことは、戦争推進の戦争法案を完全廃案に追い込むことである。
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