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「「今回の安保法制は、TPPの一環です」山田元農水相、内田PARC事務局長インタビュー:岩上安身氏」
http://sun.ap.teacup.com/souun/18099.html
2015/8/15 晴耕雨読
https://twitter.com/iwakamiyasumi
8月11日(火)「岩上安身による山田正彦元農水相、内田聖子PARC事務局長インタビュー」の内容を実況します。
先日閉会したハワイでのTPP閣僚会合の内容について、現地入りしたお二方にお話をうかがいます。
岩上「TPP関係閣僚会合がハワイで行われ、最終妥結には至りませんでした」
内田氏「今回の会合はまったくうまくいきませんでした。最終日の会見では、USTRのフロマン代表が非常に苦々しい表情をしていましたね」
山田氏「今回、ハワイにまで来た業界団体に対する日本政府側からの説明は、たった30分しかありませんでした。西川公也元農水相ら自民党の議員も来ていましたが、ヒアリングなどに参加することなく、ハワイの農家を見て回っていましたね」
山田氏「閣僚会合が終わった日、自民党と業界団体が集会をしました。そこでは、『TPPを頑張ろう』『甘利明は第2の白洲次郎だ』という声が聞かれました」
岩上「私もJAの前で講演したのですが、自民党がどんどん進むものだから、弛緩してしまっていますね」
内田氏「7月27日、米国商工会議所の主催で、知的財産権に特化した会合とレセプションが開かれました。今回の会合の争点は知財分野。米国の企業はこれに関してとても力を入れています。取りたいものがはっきりしている、ということです」
岩上「甘利大臣は8月4日、『譲歩しないのでは、何のために交渉に入ってきたのかという話になる』と述べ、聖域でも譲歩を容認する意向を示しました。しかし自民党からは、TPPを反対して党を割るような人は出てきません」
岩上「JAは自民党ならなんとかしてくれる、と思っているようです」
山田氏「昨日、秋田で講演したのですが、ある農民の方が、自民党から『TPPを妥結しても10年は発効しない』と言われた、とおっしゃっていました。自民党はとんでもない嘘を言っています」
岩上「ウィキリークスがTPPの国有企業分野に関する文書をリークしました」
山田氏「米国では、この文書は非公開公式文書と位置づけています。ケルシー教授は、この国有企業に関して注意を促し続けてきました」
岩上「山田さんは、このリーク文書に関して分析をされていますね。この国有企業とは、国民健保、共済健保、県立病院、畜産振興事業団エーリックなどの野菜、砂糖、畜産物の価格安定資金の事業もすべて含まれる、ということですが」
内田氏「実際にTPP交渉で議論されている国有企業は、途上国のものだけでなく、純粋に出資比率で見ているので、私達にとって関係のない話ではありません」
岩上「また、国民が安心して利用可能な安価で公平な医療制度が壊されることになるのではないか、と指摘されていますね」
山田氏「医薬品が米国と同様にとてつもなく高くなってしまうでしょう。タミフル1本で7万円という世界に突入する可能性がある」
岩上「TPP最大のターゲットは、米国におけるTPP推進のロビー活動日を見れば一目瞭然。医療・製薬の分野で5300億円のロビー費が投入されています。米国にとって医療は超巨大な産業であり、将来の成長産業です」
内田氏「マレーシアやベトナムは、これまで数多くの除外リストを出しています。しかし、日本には自分たちに何が起こるかという認識と想像力が欠如しています」
山田氏「各国は分かってきている。分かっていないのは日本だけです」
岩上「地方自治体の公共事業も国有事業に準じ、工事の限度額がTPP協定で明記されない限り、日本の中小企業と米国のゼネコンによる英語と自国語の競争入札になる、ということですが」
山田氏「設計と工事が分離され、設計の段階から競争入札が入ります」
山田氏「地方自治体の公共事業は、英語と自国語で行われるようになります」
岩上「だからこそ文科省は、大学の授業を英語で行うとか、国公立大学の人文社会系の学問を排除するとか言っているわけですね」
岩上「農業、医療、国立大学に出される補助金も日本政府は自由に決められることができなくなる、と」
山田氏「米国の企業の都合で決められていくことになります。企業に不都合な内容だと、ISD条項で訴えられることになります」
岩上「今、話した内容はすでに合意済みの可能性があるということですね」
山田氏「憲法13条と25条に明らかに反しています。ですから、まずは司法に問うていくことが必要だと感じています」
岩上「自民党が聖域とした農産品の分野でも日本は譲歩し続けています」
山田氏「地方の養豚業者の方と話す機会がありましたが、TPPに入ったら廃業するしかない、とおっしゃっていました」
山田氏「今、国会で審議されている安保法制は、政権が変わって法律を変えればなんとかなりますけれど、TPPは国内法の上位に来るものですから、どうしようもなくなってしまいます」
岩上「自民党は、『ウソつかない。TPP断固反対。ブレない』というポスターを掲げて2012年末の衆院選を戦いました。それが、わずか3ヶ月で手のひら返しですよ」
山田氏「これは、国を売る行為ですよ。幕末に次ぐ、第2の国難であると思っています」
岩上「自民党の大西英男議員は、2013年5月に私のインタビューに応えて、TPPについて『すぐではなく、いずれ関税撤廃ということ。自民党の議員の多くも同じ考えだ』と暴露しました」
山田氏「私も、自民党の他の議員から聞いたことがあります」
内田氏「この2年間はTPP交渉の漂流プロセスでした。TPPを妥結しようと言いながら、一方で日米並行協議が進んでいます。米国は、TPPという晴れ舞台を用意しつつ、実利が取れる並行協議をしっかりと仕掛けておいたのだと思います」
内田氏「知的財産については、医薬品データの保存期間をめぐり対立が続いています。米国とオーストラリアが激しく対立しています。米国は12年、マレーシア・ベトナム・オーストラリアは5年を主張しています。日本は8年」
内田氏「TPP交渉はすでに、二国間協議の集合体に過ぎません。4日間の閣僚会合のうち、2日間は二国間協議でした。報道で、ニュージーランドがこれほど悪玉にされていることに驚きました」
岩上「甘利大臣は『本当にまとめる気があるのか』などと発言しました」
内田氏「ニュージーランドは最初から加盟国だったから、プライドがあります。いつもながらの米国のダブルスタンダードに怒っているのです。しかしよくよく考えれば、国益をしっかり守ろうとしているニュージーランドを、国益を売り渡した日本が責める資格はない」
内田氏「自動車に関して、メキシコによる原産地規則問題というものがありました。メキシコは3日目の全体会合で、NAFTAと同じ62.5%を主張しました。メキシコとしては、国益に関わることを日米で勝手に決めていることを批判したいのです」
岩上「TPPというのは、勃興するユーラシアの経済協力体に対して、日本を入らせないようにするブロック化ではないでしょうか」
内田氏「今回の閣僚会合が表したのは、米国の勝手な戦略上に集められたことの矛盾が吹き出した、というものです」
内田氏「そもそも、閣僚会合での大筋合意は無理でした。未完成なTPA法など、米国内は課題が山積状態でした。他にも、マレーシアの人権問題というものがあります。マレーシアと交渉できるように、マレーシアの評価を引き上げました」
山田氏「今回は最終合意と政府は言ってきましたが、そんな段階には全然来ていませんでした。中国やASEANと交渉したほうがいいじゃないか、ということをよく言われます。しかし日本政府は、中国の脅威があるから、安全保障上の問題で米国と一緒にやるんだ、と」
岩上「日本は今、チャイナ・フォビアに陥っているのではないでしょうか。明日にでも尖閣を取られてしまうのではないか、という恐怖心にとらわれてしまっている。しかし、日本が頼りにする米国は、日本を守ってはくれませんよ」
内田氏「米国は4つの失敗を犯しました。まず、自由貿易では人々は豊かになれないし、雇用も生み出されません。また、TPPのような秘密交渉は国際市民社会からの批判に答えられません。EUはTTIPに対して厳しく批判しています」
山田氏「米国の多国籍企業600社に、米国の議会も引きずられてしまっています。米国の国民は正常で、TPPに真剣に反対しています。市民社会は非常に健全です。しかし日本は、メディアがNGOや市民の声を報じていません」
岩上「ジェーン・ケルシー教授は『TPPは、米国の軍事力の再強化を意図している』と指摘しています。安倍総理も、米国議会演説で、『TPPは安全保障上の問題だ』と明言しています」
山田氏「今回の安保法制は、TPPの一環です」
岩上「私は、日本農業新聞にコラムを掲載拒否されてしまいました。モンサント社のラウンドアップやネオニコチノイド系農薬の危険性を指摘したのですが、農薬の安全性や環境評価のテーマが『センシティブな問題』だとして拒否されたのです」
岩上「日本農業新聞は、『弊社の経営基盤を揺るがしかねない』と商売の話をしている」
山田氏「日本農業新聞は、JAの機関紙みたいなところがありますからね」
以上で「岩上安身による山田正彦元農水相、内田聖子PARC事務局長インタビュー」の実況を終了します。
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