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「必要最小限度」は基準にならない(写真は礒崎首相補佐官)/(C)日刊ゲンダイ
安保法案の欠陥を衝く/倉持麟太郎 <第1回>「必要最小限度に…」の礒崎補佐官の弁明は口先だけだ
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/162592
2015年8月11日 日刊ゲンダイ
「法的安定性は関係ない」と言い放った礒崎陽輔首相補佐官は、3年前から、「立憲主義」は「意味不明」であるといった反知性的“放言”を繰り返してきた。とはいえ、国会に参考人招致された礒崎氏は問題発言を取り消し、晴れて「法的安定性を大切にする礒崎さん」として生まれ変わった。
では、彼(及び政府)が大切にする法的安定性を担保する基準とは何か。礒崎氏はツイッターで「自衛権は『必要最小限度』の枠内にとどまるべき、という基準により法的安定性は保たれています」と書いている。つまり、「必要最小限度」という概念が「法的安定性」を担保するという。
限定的な個別的自衛権を認めた47年見解における旧3要件にも、昨年7月の閣議決定で認められた限定的集団的自衛権の行使を認めた新3要件にも、武力行使のための「第三要件」として、「必要最小限度」という概念が措定されている。つまり、日本は、自衛のための措置をとる場合、その措置は、必要最小限度の武力行使でなければならないのだが、実は新・旧3要件における「必要最小限度」は意味合いが違う。
個別的自衛権の場合、我が国に対する外国の武力攻撃があるわけで、目の前の火の粉を払うための「必要最小限度」は、ある程度明確である。火の粉を払いさえすればよく、しかも、この場合の自衛の措置は、自国で判断しコントロールできる。
一方、日本を守る米艦船に他国がミサイルを撃ち、日本は、存立危機事態を認定し、その存立危機事態を「終結させる」ために、集団的自衛権で攻撃国に対して「必要最小限度」の武力攻撃をする場合はどうか。
米軍はもちろん、米艦船を狙ったミサイル基地を即座に破壊するだろうが、絶対にそれだけでは終わらない。当該事態を終結させるために攻撃国の全てのミサイル基地を破壊することになるだろう。すると、日本にとって、存立危機事態を排除するための必要最小限度の武力行使とは、攻撃国の全ミサイル基地を破壊することになるのだろうか?
これは、ほぼ敵国の殲滅と同義であり、明らかに憲法9条の枠内で認められるべき「必要最小限度」を超えてしまう。重要なのは、個別的自衛権の場合は、自国で判断できるが、集団的自衛権を行使し、他国の防衛と協働した場合、我が国だけでは判断もコントロールもできないという点だ。もし、戦闘の最中、日本だけが「必要最小限度を超えるから引き返す」と言えば、それこそ安倍首相の言う「世界の平和への貢献」など画餅になる。米国とともに他国の全ミサイル基地を叩くのであれば、政府自身が行使不可能と述べる、いわゆる「フルスペック」の集団的自衛権になってしまう。
このような可変的な基準を「法的安定性」の中核に据え、あたかも本法案に「歯止め」があるように振る舞う礒崎氏(及び政府)は、「法的安定性を大切にしている礒崎さん」とは程遠い。このような磯崎氏を首相補佐官として本法制の中核に据え、3年間も「放言」を許してきたのは、礒崎発言が安倍政権そのものだからである。建前と中身が矛盾しながら、嘘と欺瞞を押し通す政権が言う「必要最小限度」には最大限の警戒が必要だ。
▽くらもち・りんたろう 1983年生まれ。慶大法を経て中大法科大学院卒。安保法案に反対する若手の論客として知られ、衆院特別委にも参考人として呼ばれた。
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