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本音は議決に表れる
<当たり前だけど>私たちの給料が企業の利益から出てるわけないじゃん
http://blog.livedoor.jp/trecca/archives/39392217.html
2015/08/08
安倍首相の決めゼリフの一つ(だった)「経済の好循環」。半ば忘れられた言葉になりつつありますが、「企業収益が向上すれば、賃金や雇用が増え、消費も拡大し、それが更なる企業収益の向上につながる」と、そんな話でしたね。
■誰が仕掛け人なんだろう、この詭弁
国会会議録で検索してみると、安倍さんが「経済の好循環」という言葉を、国会発言で使い出したのは第二次安倍政権になってからで、それ以前は、少なくとも国会会議録の上では、一度も使っていません。
さらにいえば、政府自民党関係者がこの言葉を、上のような、企業収益を始点とした文脈で、国会答弁の中で使うようになったのは、1998年の春ごろからです。
98年といえば、7月の参院選で自民党が議席を減らしたという口実で、人気が地に落ちた橋本首相を切って小渕首相にすげ替えた年ですが、その時にちゃっかり「経済戦略会議」という首相諮問機関が作られ、森ビル社長やトヨタ自動車社長らと共に、竹中平蔵氏が委員に取り立てられたのも見逃せません。
で、2006年に小泉首相から安倍首相に代わるタイミングで政界引退した竹中さんが、第二次安倍政権で「産業競争力会議」に迎え入れられ、安倍さんが急に「経済の好循環」という言葉を多用し始めた、と。
■この話のどこが胡散臭いか
好循環の始点が実質GDPなら、まだ少しは話もわかります。が、その始点が「企業収益」となるとどうでしょう?
この「企業収益」という言葉の選び方がまた狡猾で、収入(売上高)なのか、利益なのか、その両方なのか、解釈の余地に幅があります。一般的にはこの言葉、収入から費用を引いた利益の意味で使われることが多いようですが、その解釈でいくと「経済の好循環」はヘンな話になってきます。
つまり「企業の利益が増えれば、労働者への分配(人件費)も増える」と。
……人件費って、株主配当みたいに、企業の利益から出るものでしたっけ?
いや、人件費を減らして企業は利益を確保するんでしょ
株主配当なら企業の利益が原資となりますが、人件費は企業にとってそもそもコスト。利益を増やすために企業が減らさなきゃならない対象のはずです。
もちろん売上高が大きく増えれば、営業利益も労働分配も同時に増えるでしょう。
でも安倍政権の経済政策って、売上高を増やすような実のあるものでしょうか?
いえ、そもそも、企業の売上高を、政治の力で短期間に増やすなんて可能なんでしょうか? 政治の力で操作可能な為替レートが売上高に直結する輸出企業や、防衛政策・原発政策が売上高に影響する重工・重電企業はともかくとして。
■法人企業統計の解説ページにもこんなふうに書いてある
後述する法人企業統計の解説ページ(売上高人件費比率の説明)にも、
「売上高人件費比率が高い場合は、人件費が企業の収益を圧迫していると言えます。」
「人件費比率の上昇は営業利益率の低下につながりますが、その影響は製造業においてより強くなっています。」
と、しっかり書いてあります。経営指標を改善したけりゃ人件費を安易に増やすなよ、と暗にクギを刺しているようなものでしょう。財務省が企業に。
法人企業統計でも、利益は上向き、従業員への分配は下向き
財務省の法人企業統計には、四半期別と年次別の調査がありますが、今回見ていく四半期別調査では、資本金1000万円以上の営利法人等を対象としています。資本金10億円以上の法人は全数抽出、10億円未満は確率比例抽出による標本調査(標本法人の調査結果に基づき母集団法人の推計値を算出したもの)だそうです。
また、金融業・保険業は他の業種と会計基準が少し違うせいか、他の業種とは別扱いとなっており、しかも調査開始は2008年度からと、あまり古くまで遡れません。今回は2000年以降の推移を見ていきたいので、金融業・保険業のデータは含めていません。
今回使った時系列データは、こちらのページの [四半期]>[1.金融業、保険業以外の業種(原数値)]から取得できます。
■2000年代好況期にまるで及ばない売上高
上の図で見たように、売上高は(売上原価+販管費+営業利益)の合計と一致するので、ここでは、その3つの積み上げグラフとして売上高の推移を表してみます。
「名目GDPはこの2年半でプラス5.4%」と安倍首相は言いますが、企業の売上高は、2000年代のピークには遠く及ばないのはもちろん、民主党政権時の2010年ごろと比べても微妙な水準です。どうやら安倍さんの言う「好循環」の「企業収益」とは、売上高のことではなさそうですね。
■売上高は伸び悩む一方で、営業利益は順調に回復
上の図では営業利益の趨勢がわかりにくいので、これだけ取り出してみると、
売上高が伸び悩んでいる一方、こちらは第二次安倍政権になってからの回復ぶりが鮮明で、2000年代の好況期と肩を並べるところまで回復しています。でもそれは同時に、人件費を含むコストがその分圧縮されている、ということにもなりますよね。
■営業利益とは対照的な従業員給与・賞与
法人企業統計では、人件費は、[従業員給与]+[従業員賞与]+[役員給与]+[役員賞与]+[福利厚生費]の合計として表されますが、ここでは[従業員給与]と[従業員賞与]に絞って見ていきます。
[従業員給与]は、このページの用語解説を見ると、常用者だけでなく臨時従業員の分も含み、また販管費に計上される従業員給与だけでなく、売上原価中の労務費に計上される給与も含むようです。
臨時従業員といってもたぶん直接雇用のみで、派遣会社や業務委託先への支払いは含んでいないと思いますが、たとえば派遣社員への給料は、派遣会社(→サービス業)の売上原価中の労務費として、全業種合計で見れば[従業員給与]に入っていると思います。
なお[従業員賞与]は、2006年度までは[従業員給与]と一体で計上されているので、ここでは(給与+賞与)の合計ベースで見てみます。
当然ながら、第二次安倍政権になってからの趨勢は、営業利益とは対照的です。
そして「賃上げ率は過去15年間で最高」とか「有効求人倍率は23年ぶりの高い数字」といった大本営広報とも、かなりの温度差を感じます。労働分配全体の分け前が大きくならないのに、雇用者数だけ増えたって…。
■まとめると
- 安倍政権は、企業の利益を増やすことには熱心だけど、売上高を増やすことには(一部業種を除いて)あまり関心なさそう。
- 売上高が増えないのに営業利益を増やそうとするので、人件費が犠牲になっている。
- くどいようですが賃金はコストであり、営業利益とは相反関係です。
- もちろんボーナスもコストであり、利益圧迫要因です。
- 売上高が増えないのに利益だけ増えた場合、CEOの報酬は上がるかもしれませんが、一般社員のボーナスは上がるでしょうか?
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