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2015-08-10 09:20:11
安倍首相は昨日8月9日、長崎での平和祈念式典で、「本年秋の国連総会に核兵器廃絶決議案を提出する」と約束しました。日本の核廃絶運動(反核運動)は戦後どんな歩みをたどり、これから何をすればいいのか、70年を振り返り考えてみました。
日本での反核運動が組織的に立ち上がったのは、戦後10年ほど経ってからでした。ヒロシマ、ナガサキでの原水爆投下と大惨事を受けて、反核運動がすぐ立ち上がったものではありません。アメリカは、民間人を無差別に大量虐殺しましたが、戦後直後の日本人は、マッカーサー進駐軍に媚びを売り、子どもたちは「ギブミー、チューインガム」「ギブミー、チョコレート」と、群がり、手を伸ばしていました。
1954年に漁船の第五福竜丸がアメリカ水爆実験で被ばくし、日本人に犠牲者が出たことから、東京・杉並区の主婦らが立ち上がったのが組織的運動の最初でした。
翌年の1955年、原水爆禁止を求める第一回原水禁世界大会が開かれ、暫くの間は大きく盛り上がりました。ところが、ソ連(当時)が水爆実験をしたことに対する評価が割れ、日本共産党系は「ソ連の核実験は正義のものだ」と主張、社会党系の「あらゆる核実験委反対」という立場とに別れ、運動は分裂。世界大会も別々に開くというセクト主義がまかり通ってきました。共産党の「ソ連の核実験は正義の核実験」という主張が、運動に混乱を招いたのであり、その罪は万死に値するほどといえます。
それでも世界的な反核のうねりのなかで、核実験は表向きやめさせることができました。
いまは、核ミサイルなどの廃絶をどう進めさせるかです。安倍首相は、今秋の国連総会で「核兵器廃絶決議案」を共同提出します。しかし、本気で廃絶しようなどと考えているわけではありません。それは、アメリカの「核の傘の下」から離脱することなど毛頭考えていないことからも明らかです。本気で核廃絶の先頭に立つ気なら、アメリカの核の傘から出て主張しなければ、筋が通りません。安倍氏の提案は、国内外に向けた単なるパフォーマンスに過ぎないのです。
昨日の平和宣言で、田上一実・長崎市長は、「北東アジア非核兵器地帯を設け、核の傘から非核の傘への転換を」と、目の前の安倍首相に求めました。しかし、安倍首相は都合の悪いことはまるで聞こえないかのようにやり過ごす態度に終始しました。
朝日新聞は本日の社説で、「『核兵器のない世界』への決意が本気なら、必要なのは行動だ」と、安倍首相の行動を求めました。しかし、安倍首相は、耳触りのいい言葉を吐き散らすだけで実行がともないません。パフォーマンスだけです。
朝日の社説は、「中南米、南太平洋、東南アジア、アフリカ、中央アジアの5地域ではすでに非核兵器地帯条約が発効している」と、指摘しました。田上市長が主張する「北東アジア非核兵器地帯」創設に向け、安倍首相には国連総会でこの提案も行い、被爆国としての真摯な願い、そして矜持を示してほしいものです。
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