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「民主主義ってなんだ」「これだ!」猛暑の国会前で安保法制反対抗議 参加した米国人男性「米国が自衛隊を自分の軍事力にしたいのは明らかだ」
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/256782
2015.08.07 IWJ Independent Web Journal
「民主主義ってなんだ」「これだ!」——。30℃を超す暑気に包まれた国会前で、憲法違反の安保法制に反対する国民がコールを響かせた。2015年8月7日に10回目をむかえたSEALDs主催の抗議では、7月31日に自民党の武藤貴也衆議院議員がTwitter上で「利己的個人主義だ」とSEALDsを名指しで批判したことに、多くの怒りの声があがった。
▲夏休み中の出国ラッシュ時期にも関わらず、抗議には6000人が集まった
SEALDsメンバーの奥田愛基さんは、「戦争行きたくないのが利己的な発言だなんて、まるで戦争中、戦前の発想じゃないですか」と反論。この武藤議員の発言によって、「戦争法案ではない」と安倍総理が強調し続けているこの法案が、まぎれもない「戦争法案」だとばれてしまったと指摘した。
同じくSEALDsメンバーの山本雅昭(どっきょ)さんも、「家族や友人の、恋人の、自分の将来の子どもたちの命や生活が心配だから、より良いものにしていきたいから、いまの当たり前の日常を大事にしたいから、だから私たちはおかしいことはおかしいというんです。これがわがままでしょうか。利己的個人主義でしょうか」と訴えた。
抗議には若者だけでなく、大人や老人、さらに外国人の姿も目立った。米国から、この国会前抗議を見るためにやってきたという30代の米国人は、「日本の外交を主導しているのは米国」だと断言した。
「米国は自衛隊の戦力(Power)を自分の軍事力にしたいのは明らかです。米国は日米同盟で東半球を支配したいのでしょう。日本の自衛隊、経済力、人材や命を米国主導の戦争に巻き込みたいのは明確です」
記事目次
・自民党議員の「利己的」発言「自民党が許容する発言なのか」
・渋谷デモを主催した高校生「利己的なんて言う政治家に僕らの将来はまかせられない」
・共産党・小池晃氏「武藤議員はお国のために死ぬのが正しい考えだと言っているようなもの」
・「安保法制『合憲』の根拠は崩れている!」民主党・小西博之氏が「昭和47年見解」のインチキを指摘
・大学3年生の女子「先制攻撃を可能にするこの法案が、日本国民の死のリスクを増大させる」
・「学者の会」呼びかけ人・市野川東大教授「独立とは米国の顔色をうかがうことなく、私たちの憲法を守ること」
・「日本の安全保障のために多少の犠牲やリスクはやむをえない」という日本語のおかしさ
・元レンジャー隊員「安倍は、国会議員は本当に勉強しろよ、戦争のリアリティを」
・参加した米国人男性「日本の自衛隊、経済力、人材や命を米国主導の戦争に巻き込みたいのは明確」
【ハイライト動画(8分30秒)】
「民主主義ってなんだ」「これだ!」猛暑の国会前で安保法制反対抗議
■自民党議員の「利己的」発言「自民党が許容する発言なのか」
自民党議員や安倍総理の支持者、いわゆる「ネット右翼」を中心に今、国会前抗議に対する誹謗中傷、デマが噴出している。そんななか、7月31日には自民党の武藤貴也衆議院議員が、自身のTwitterでSEALDsを「利己的個人主義」などと批判し、波紋を呼んでいる。
SEALDsという学生集団が自由と民主主義のために行動すると言って、国会前でマイクを持ち演説をしてるが、彼ら彼女らの主張は「だって戦争に行きたくないじゃん」という自分中心、極端な利己的考えに基づく。利己的個人主義がここまで蔓延したのは戦後教育のせいだろうと思うが、非常に残念だ。
— 武藤貴也 (@takaya_mutou) 2015, 7月 30
抗議の冒頭、SEALDsメンバーの奥田さんはこの武藤議員の発言に触れ、「これは自民党として許容される発言なのか」と批判した。
▲声を張りあげて抗議する奥田愛基さん
「だいたい『戦争法案じゃない』とか、『戦争をしなくなる法案です』とか言っておきながら、そんなこと言ったら、『(やっぱり)戦争法案だ』ってバレるじゃないですかね。バレるっていうか、そういう法案なんですけど。そういうふうに自爆したってことなんで、思い切って『戦争法案廃案』と声出していきたいと思います」
【スピーチ全文文字起こしと動画はこちら】
・【スピーチ動画掲載】自民党議員の「利己的個人主義」発言で「戦争法案だとバレた」SEALDs奥田愛基さんスピーチ(前編) 〜「安保法制反対」国会前抗議で
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/256899
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■渋谷デモを主催した高校生「利己的なんて言う政治家に僕らの将来はまかせられない」
8月2日に約5000人を集めた高校生デモを主催した、「T-ns SOWL」(ティーンズソウル)のメンバーで高校3年生の龍紀(りゅうき)さんも「『利己的』とか『自己中心的』とか意味わかんないことを言っている、“政治家”っていう肩書きをつけただけで、ただ椅子に座っている、そんな人におれらの将来は任せられません!」と訴えた。
そのうえで、「今、全員で立ち上がるときなんです」と強い口調で訴えた。
▲「T-ns SOWL」(ティーンズソウル)のメンバーで高校3年生の龍紀(りゅうき)さん
■共産党・小池晃氏「武藤議員はお国のために死ぬのが正しい考えだと言っているようなもの」
抗議では、国会議員もマイクを握った。
共産党の小池晃議員は、武藤議員の発言は「とんでもないことだ」と声を荒げた。
▲若者に訴えかける共産党の小池晃議員
「国会議員がこんなこと言うというのは、お国のために死ぬのが正しい考えだと言っているようなものではないか。何でみなが声を上げているか。殺されたくないからだけじゃない、殺したくないからなんです。そして自分の仲間が殺されたくないんです。どこが利己的なんですか」
安倍政権はビビってます。この闘いにビビっているから、あんな発言が出てくるんです。戦争法案の反対の声、みんなの闘いが安倍政権を追い詰めている。あと一押しです」
■「安保法制『合憲』の根拠は崩れている!」民主党・小西博之氏が「昭和47年見解」のインチキを指摘
民主党の小西洋之議員は、安倍政権が集団的自衛権の行使容認を「合憲だ」とする根拠として主張している「昭和47年見解」のインチキについて指摘した。
▲「昭和47年見解」のインチキの糾弾を呼びかける民主党・小西洋之議員
【関連記事】
・【スクープ!】「集団的自衛権行使容認の閣議決定」が覆る決定的根拠! 「昭和47年政府見解」の知られざる真実を小西洋之議員が暴露!!
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/246547
・2015/05/21 「狂信的な官僚集団」が支える安倍政権の「戦争法案」 解釈改憲、専守防衛、日米安保…「嘘」と「デタラメ」の数々を暴く 〜福島瑞穂×小西洋之×岩上安身による戦争法案特別鼎談
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/246885
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■大学3年生の女子「先制攻撃を可能にするこの法案が、日本国民の死のリスクを増大させる」
日本大学藝術学部3年の今村幸子さんは、安保法制に反対する理由として、「憲法に違反しているから」「民主主義に反しているから」「人が死ぬリスクが上がるから」の3つをあげた。
▲法案廃案を訴える今村さん、スピーチでは自身の辛い過去も赤裸々に明かした
そして、「海岸沿いに50基近くもある原発を、いつどのくらい攻撃してくるかも分からないテロから、どうやって守りますか。原発だけじゃないです。いつ、どこを攻撃されるかなんて、分かりません」と警鐘を鳴らした。そのうえで、安保法制では「日本を攻撃する意志のない国」に対しても先に攻撃することが可能との安倍総理の答弁の危険性を指摘した。
「先制攻撃をすれば国際社会から非難されるということが分かっているのでしょうか。普通、国のトップは、国益を損ねるような政策をしません。仮定の話ですが、日本を攻撃したいな、と思ったとしても、先制攻撃をすれば、侵略をすれば、今の国際社会では非難され、経済制裁を受けます。そのことを考慮し、攻撃をしないという選択をする可能性は大いにあります。
しかし、日本が先制攻撃をしたなら、相手国には日本を攻撃する正当な口実を与えることになります。つまり、日本が先制攻撃をしなければ生まれなかったかもしれない戦争が起こってしまうということです。それでどうして、平和安全法制などと言えるのでしょうか」
【今村さんの出演したIWJの定期番組の記事はこちら】
・2015/07/02 IWJ「題名のまだない新番組」第01号(仮)〜ゲストトーク SEALDsメンバー(動画)
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/251610
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■「学者の会」呼びかけ人・市野川東大教授「独立とは米国の顔色をうかがうことなく、私たちの憲法を守ること」
「安保関連法案に反対する学者の会」の呼びかけ人である東京大学の市野川容孝教授は、黒人差別の撤廃運動に関わった米国のジャズ演奏者、チャールズ・ミンガスを紹介。「ミンガスにとって独立とは、白人の黒人に対する搾取や差別、そこから解放されるというのが彼にとっての独立だった」と語った。
▲ミンガスの「ハイチ人の戦闘の歌」に独立のメッセージが込められていると語る市野川教授
自民党が「今の憲法は米国の占領と支配によって作られたものだから駄目なんだ」として、解釈改憲や日米同盟を無理矢理強化することについて「一体これのどこが自主独立なのでしょうか?」と批判。「私が考える今の状況下での独立というのは、米国の顔色をうかがうことなく、私たちの憲法を守る、もしこれを変えるにしても、憲法によって憲法を変える。そして70年間培ってきた、まだ完全ではないけれども、平和主義を守り抜く。これが私は独立だと思う」と語った。
そして、「独立を求めているのは、安倍政権なのか、それともこっちにいる私たちなのか。ミンガスは米国人だったけれども、おそらく私たちの方を指さしてくれると思うんです」と締めくくった。
■「日本の安全保障のために多少の犠牲やリスクはやむをえない」という日本語のおかしさ
今、SEALDsに対し主にネット上などでは、「戦争って大げさでしょう」「さわぎすぎ」「冷静になれ」「友だち(米国)を見捨てるのか」「国民が(安倍総理を)選んだんだろ」「お前が政治家になって日本を変えろよ」などの批判が日々、渦巻いている。続いてマイクを握ったSEALDsメンバーの山本雅昭(どっきょ)さんは、SEALDsに対する様々な批判に対し、一つ一つ反論していった。
▲現在は米国に暮らしているという山本さん、スピーチ後にはIWJのインタビューに応えた
「友だちを見捨てるのかというが、その友だちに僕らは沖縄を筆頭に多くの都市と住民を犠牲にして基地を提供しているんですよ。それにアメリカは世界で一番の軍事国家、ぼくらの助けなんか必要ないんです。必要のない助けをして自衛隊が私たちが犠牲になる、こんな馬鹿なこと僕は許さない」
さらに山本さんは、「日本の安全保障のために多少の犠牲やリスクはやむをえないっていう日本語のおかしさがわかりますか?」と問いかけ、続けた。
「国がすることは誰一人も死なせないし誰一人も人を殺させないことでしょう。それが国のさせることでしょう。誰一人として犠牲になっちゃいけないんですよ。国を守るんじゃなくて国民を守るんですよ」
■元レンジャー隊員「安倍は、国会議員は本当に勉強しろよ、戦争のリアリティを」
陸上自衛隊の元レンジャー隊員だった井筒高雄さんは、「安倍晋三は真実を語れ」と怒りを口にした。
▲「誹謗中傷を受けてもここに立ち続ける」という井筒さん、聴衆からは歓声が湧き起こった
「みなさん、防衛費って一年間に5兆円使うんですけど、これ、専守防衛のための5兆円なんですよ。これから、恒久法で自衛隊が海外に行くようになったら5兆円じゃ収まらないんです税金は。みなさんの税金のどこかを端折ってサービスをどこかで削ったのが自衛隊の予算に回るんです。ちなみに、来年、消費税10%は社会保障に回すために10%に上げるって安倍さん言ってますよね。
10%の消費税は防衛予算に回さなかったら自衛隊を海外なんかに出せませんよ。その金は誰の金かって、俺たちの血税なんだよ。血税は平和のために使えよってことです」
そして井筒氏は、世界最強の軍備を持つ米国ですらボストンマラソンでテロが起き、イラク戦争に参加したフランスや、ロンドンやマドリードでもテロが発生したことをあげ、こう続けた。
「今度、自衛隊を海外に出せば、間違いなく日本に(テロが)来るんですよ。テロの最初の犠牲者は市民と警察ですよ。警察のことを考えてるのかって。自衛隊や警察の構成要員のことを把握しているのか。本当に安倍は、国会議員は本当に勉強しろよ、戦争のリアリティを。
どうしても戦争したかったら、法案に賛成の国会議員はせめて予備自衛官に登録して、ちゃんと訓練を受けろ。俺は自衛隊をやめたけど、お前たちが作った法案が通ったら、予備自衛官に招集されるんだよ。戦地に回されるんだよ。そういうリスクの覚悟をお前たちも負ってから、この法案に取り組めっていうことです」
■参加した米国人男性「日本の自衛隊、経済力、人材や命を米国主導の戦争に巻き込みたいのは明確」
抗議参加者には、老若男女、外国人も姿も目立った。
夏休みを利用して日本に長期滞在しているという30代の米国人マーティンさんは、「私はアメリカから来ました!戦争反対、私は皆さんをサポートします。NO WAR」」というプラカードを掲げていた。
▲マーティンさんの掲げていたプラカード
マーティンさんは、米国の独立メディア「DEMOCRACY NOW」でこの国会前抗議が取り上げられているのを観て参加したという。
「この抗議については、米国でも全く報道されてないので、個人的にここで撮った写真を共有、拡散しています。それでもできることは限られてるので、それなら、ここへ来て応援していることを伝えたいと思って」
「とても礼儀正しく、誰にも迷惑をかけまいとする日本人が、こうして大きな声をあげる姿を見るのは驚くべきことだ」と語るマーティンさんは、この法案から見える日米関係についてどう思うか? というIWJの質問に対し率直に語った。
「米国は自衛隊の戦力(Power)を自分の軍事力にしたいのは明らかです。米国は日米同盟で東半球を支配したいのでしょう。日本の自衛隊、経済力、人材や命を米国主導の戦争に巻き込みたいのは明確です。
首相に着任後、必ず初めに訪問するのが米国です。事実上、日本の外交を主導しているのは米国です。日米政府は一緒になってこの法案の成立を狙っています。
権力者が間違った方向に進む時、私たちは、左とか右とか民主党か共和党とかではなく、世界中で連帯する必要があります。そして、それは非暴力で民主主義にのっとった方法で行なわれるべきなのです」
金曜日の国会前抗議は、いよいよ「安倍談話」が発表される来週も行われる。
(取材:原佑介・ぎぎまき・阿部洋地・城石裕幸・平山茂樹・遠田哲也、写真:原佑介、記事構成:佐々木隼也)
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