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自民党の武藤貴也衆院議員(滋賀4区)が、安全保障関連法案の反対デモをしている学生団体「SEALDs(シールズ)」について、自分中心で利己的とツイッターで批判した問題が、国会の安保関連法案審議で新たな火種になっている。野党は批判を強め、政府は火消しに追われた。止まらぬ自民議員の放言に、党内からも批判の声があがる。
5日の参院特別委員会。民主の藤末健三氏は「政府は『集団的自衛権の行使は戦争ではない』と言うのに、武藤氏は、自衛隊の活動を戦争前提に発言している」と攻め立てた。
中谷元・防衛相は「政府としては国民のご理解を得るべく説明に努めている」と釈明、発言の評価には踏み込まないままだった。
武藤氏は4日、「(発言を)撤回することはない」と強調。発言の趣旨を説明する意向だったが、同日夕に「国会で法案が審議されている最中で、党からコメントは控えた方が良いとアドバイスされた。私の見解はブログやフェイスブックにある」と説明を拒否した。
6月には安倍晋三首相に近い自民議員の勉強会で、沖縄の地元紙2紙をはじめ報道機関を威圧する発言が問題になった。さらに首相側近で安保法制を担当する礒崎陽輔首相補佐官が「法的安定性は関係ない」と発言、参考人として国会で謝罪に追い込まれた。
追い打ちをかけるように武藤氏の問題が起きた。自民のベテラン議員は「戦争に行く覚悟が無いのは戦後教育がダメだから、とも読める悪質な発言。法案が戦争法案だと認めるようなもので、議員辞職ものだ」と批判。公明幹部も「おごりたかぶりだ。自民党はどうしてしまったんだ」と憤る。
野党は攻勢を強める。民主は武藤氏の発言を安倍首相の問題として攻める。枝野幸男幹事長は5日の記者会見で「安倍内閣が取り戻そうとしている日本は昭和10年代の日本だということがはっきりした」と指摘。安住淳国会対策委員長代理も「安倍チルドレンが、安倍氏が内心そうだと思うような発言をしたら、喜んでくれると思って書いているのではないか」と批判した。
■武藤貴氏のツイッター全文
SEALDsという学生集団が自由と民主主義のために行動すると言って、国会前でマイクを持ち演説をしてるが、彼ら彼女らの主張は「だって戦争に行きたくないじゃん」という自分中心、極端な利己的考えに基づく。利己的個人主義がここまで蔓延(まんえん)したのは戦後教育のせいだろうと思うが、非常に残念だ。
7月6日 朝日新聞朝刊より
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