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米諜報機関に盗聴されても「NO」と言えない日本 憲法9条の拡大解釈はもう限界だ!
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/44532
2015年08月06日(木) 小林 雅一 現代ビジネス
■安保問題、手順を間違えた安倍政権
ウィキリークスは先日、「米国のNSA(国家安全保障局)が日本政府や日銀、日本企業を盗聴していた」と公表した。日本の新聞各紙によれば、この問題について(NSAの上部組織に当たる)米国務省は、「日本政府からは抗議を受けていない」と述べたという。
おそらく、本当にそうだったのだろう。現在、参院で審議中の安全保障法案は事実上、自衛隊が米軍と一体化の度合いを深めるための法案だ。言わば、日本が今後、米国と一蓮托生の道を歩むことを決意する中、日本の政府・企業が米諜報機関から盗聴されたくらいなら目をつぶるしかない。そういうことなのだろう。
日本近海やその上空などで日本との一触即発の事態が目立ち始めた中国や、明らかに常軌を逸した首領が核兵器の開発を進める北朝鮮などの脅威が増す中、日本は米国との同盟関係を強化するしかない。確かに米国のNSAやCIAだって世界中で悪いことをやっているが、それ以上の制度的矛盾や危険性を抱えた国々が近隣にある以上、日本は米国の方を選ばざるを得ない。政府関係者はそう考えているに違いない。それはそれで仕方がないことだと思う。
が、問題はそこへと至る手順だ。集団的自衛権の行使をはじめ、急を要する安保法案をとりあえず通した後で、じっくり時間をかけて現行憲法を改訂する。いや、あわよくば日本人の手による自主憲法を成立させる---安倍政権はこんな夢を描いていたのかもしれない(私も含め日本人の多くは、憲法改訂で十分と考えていると思うが)。
だとすれば、それは順番を間違えていた。まずは憲法を改訂する、ないしは自主憲法を成立させた後で、新たな安全保障法を成立させる。これが本来の手順であって、この順番を逆にすると、新憲法は生まれた時点で形骸化してしまう。これが日本の将来に、どれほどの禍根を残すかを以下、順に説明していきたい。
■現行憲法をぞんざいに扱えば、新憲法にも泥を塗る
まず今、議論されている集団的自衛権の問題以前に、「国の交戦権は認めない」をはじめとする現行の憲法9条には最初から無理があった。
これは誰もが内心、感じていることだと思う。他国から攻撃されたら、どんな国だって防戦せざるを得ない。子どもだって分かる理屈だ。今までは、それを同じく無理な憲法解釈で何とか乗り切ってきたが、前述の日本を取り巻く環境変化により、それも今や限界だ。今後の改訂憲法、ないしは自主憲法では、この条文は削除せざるを得ないはずだ。
当然だが、これに代わって「日本は侵略戦争はしない」という新たな条文は必須だろう。もちろん、実際、どういう条文にすれば近隣諸国からの誤解を招かず、また逆に足元を掬われたりもしないのか、それは法律の専門家が考える仕事かもしれない。が、いずれにせよ「日本は侵略戦争は決してしない」という実質的メッセージを新憲法に入れることは必須の要件だろう。
ここで先程の手順、つまり法律を定める順番が重要になってくる。日本はこれまで憲法9条に何とか無理な解釈を施して、事実上の強大な軍事力を培ってきた。が、たとえ無理な解釈でも、それはある意味で許容せざるをえなかった。法律を運用するためには、何等かの解釈が必要であるからだ。
それよりも重要なのは、法律の解釈は時代がどれほど変わっても一つだけしか許されないということだ。時代が変わり、その解釈では持ちこたえられなくなってきたときには、今度は解釈ではなく法律(この場合、憲法)を変えなければらない。そうでなければ、つまり度重なる解釈変更が許されるとすれば、法律に全く拘束力がなくなってしまうからだ。拘束力を失った法律は、法律の姿をしていても最早法律ではない。
今の安倍政権は現行憲法に対して、それをやろうとしている。結果、「日本の憲法とは単なる美辞麗句を並べた理念に過ぎず、新たな解釈次第でどうにでも運用でき、実質的な拘束力を持たない」という国際的評価が確立してしまえば、今後、いくら新憲法で「日本は侵略戦争はしません」と訴えたところで、諸外国の人たちは決して信じてくれないだろう。
従って新憲法から安全保障法へと至る本来の手順は、非常に重要なのである。その順番を逆にすると、つまり目先の安保問題を乗り切るために、現行の憲法を「解釈変更」などという形でぞんざいに扱うと、新憲法にも最初から泥を塗ることになってしまう。
逆に北東アジアや東南アジア諸国からの非難が押し寄せることは覚悟の上で、まずは新憲法を定め、そこから米国との新たな関係を構築していく。つまり本来あるべき手順に従って、国際社会に毅然とした日本の態度を示せば、少なくとも「米国から盗聴されても抗議できない」という情けない現状からは脱却できるだろう。
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