34. 2015年8月06日 12:25:34
: OWStmsqDN6
東シナ海でも中国が軍事拠点!?この眼前の脅威をなぜ適切に報じない 朝日新聞が導く「戦争への道」に惑わされるなかれ知らぬ間に中国が東シナ海で急加速させていた海洋開発スクープした筆者が問う! 林立する海洋プラットホーム いま世界中が、中国の国際秩序への横暴な挑戦に警戒心を強めている。中国の侵略的行動が加速したきっかけは、アメリカのオバマ大統領が2013年9月10日、シリアへの軍事介入を否定した演説で「アメリカは世界の警察ではない」と宣言したことだった。その後、世界情勢は混沌とし始めた。半年後の2014年3月、ロシアはクリミア半島を奪ったが、この時のアメリカの第一声は「軍事力は使わない」だった。アメリカの消極的反応を待っていたかのように、中国も南シナ海で、岩礁の埋め立てを急加速させ始めた。 2015年7月現在、中国はスプラトリー諸島で7つの島(環礁)の「埋め立ては完了した」とうそぶき、人工島上で軍事施設の建設を続けている。火砲を搬入し、ファイアリークロス礁では3000b級の滑走路の建設も進行中だ。 中国は、オバマ大統領の「世界の警察官の役割を果たすつもりはない」という宣言が本音であると確信し、「埋め立て」という名の侵略、力による現状変更に及んだと見てよいだろう。 だが、アメリカも南シナ海の事態を座視できず、国防総省は2015年5月に入ると、人工島から12カイリ以内への米軍機・艦船の派遣を検討すると発表した。同月20日には、最新の対潜哨戒機P8AポセイドンにCNNの取材クルーを同乗させてスプラトリー諸島海域の上空を飛び、埋め立て工事の様子や、中国海軍機から「出ていけ!」と警告を受ける緊迫した状況を、映像で全世界に流した。 「退去せよ」中国軍から警告 南シナ海飛ぶ米偵察機に同乗 2015.05.21 Thu posted at 11:02 JST http://www.cnn.co.jp/usa/35064802.html CNNが米偵察機に搭乗取材 2015.05.21 Thu posted at 10:57 JST 中国海軍は南シナ海上空を飛行する米軍の偵察機に対し、20日だけで8回にわたって警告を発した。CNN取材班はこの偵察機「P8Aポセイドン」に初めて搭乗を許可され、独占取材を行った(動画) http://www.cnn.co.jp/video/14431.html アメリカの情報公開は、南シナ海への国際社会の注目を一気に高め、中国の侵略行動に対する国際社会の抗議を促した。日本でも、南シナ海問題の日本への影響と、日本は一体何をすべきかの議論が始まった。海上自衛隊のP3C哨戒機がフィリピン軍との共同訓練で初めて南シナ海を飛行したのも、中国へのメッセージである。 ところが、実は南シナ海と同時に、私たちの眼前の東シナ海でも中国がほぼ同様の侵略行動に及んでいたことが、2015年7月に入って明らかになった。東シナ海の日中中間線からほんの少し、申し訳程度中国側に入ったところで、新たなガス田開発を急速に拡大させ、関連施設(海洋プラットホーム)を次々と建造していたのだ。 中国による日中中間線付近のガス田開発は、20世紀末から続けられ、両国の係争の種となってきた。1998年11月までに、中国は白樺(中国名・春暁)、樫(天外天)、平湖、八角亭の4カ所でガス田の開発に着手し、各々数十bのプラットホームを建設してしまった。それが2013年に新たに3カ所のガス田が開発され、2014年にはさらに5カ所、2015年はまたもや4カ所で開発された。この3年間で雨後の竹の子のように12カ所が開発されてしまっていた。それ以前の4カ所と、合計で16カ所で中国は建造物を完成させたわけだ。 それぞれのガス田には、海面から高さ数十bの海洋プラットホームが建造されている。各プラットホームには精製工場のほかに3階建ての作業員の宿泊所、ヘリポートなどがある。これらは容易に軍事拠点に転用可能だ。 これらのガス田のほとんどは、北緯30度、東経125度の半径60`圏内に集中している。そこにガス田が広がっているという理由も勿論あるだろう。この海域には中東に匹敵するほどの資源が眠っているという指摘があり、中国の積極的攻勢は、同海域の資源の有望性を示すものと考えられる。 ガス田はいずれも日中中間線近くにある。中国が白樺の開発を本格化させたのを契機に共同開発が両国間で検討された時、中国は、日中中間線から中国側の排他的経済水域(EEZ)では中国が単独で開発し、共同開発は日本側のEEZ内に限ると、驚くべき一方的主張を展開した。彼らの理屈は以下のようなものだった。 《日本は日中中間線までの日本側の海しか領有権を主張していない。対して、中国は大陸棚が伸びている日本の海岸に近い沖縄トラフまでを中国の海だと主張している。したがって係争の海は、日中中間線から日本側のみであり、そこでは中国は共同開発に応ずるが、中国側の海は、そもそも日本が権利を主張していないのであるから、中国の単独開発だ》という言い分だ。 あまりに身勝手な中国の言い分に立ち向かったのが、故・中川昭一氏だった。経済産業大臣だった氏は当時の私のインタビューで「中国の理屈は、俺のものは俺のもの、お前のものも俺のものということだ」と述べて憤慨した。中川氏は日本も試掘すべきだと決意したが、海洋大国であるにもかかわらず、当時の日本政府は海底調査船すら保有していなかった。そこでノルウェーから調査船を借り、数億円の経費を使って調査を行い、白樺及び樫は、海底で日本側のガス田とつながっていることを突き止めた。中国が計画中だった翌檜(龍井)も楠(断橋)も同様である。これでは、採掘地点が中国側であっても、ストロー効果で日本側の資源もチューチューと吸い取られる。 このため、中川氏は2005年7月14日、帝国石油に試掘権を認めた。帝国石油はそれまで幾度も試掘を認めるよう政府に要請してきたが、この時は簡単には首を縦に振ろうとはしなかった。当時、周辺海域にはすでに海洋開発をしていた中国の軍艦や調査船が展開していたからである。日本の民間船が単独で出て行って無事で済むとは思えない、海上自衛隊や海上保安庁の護衛が必要だというのが帝国石油の考えであり、それは十分に理解できる要請だった。中川氏は、その護衛も検討しつつ、試掘の決断をした。 ところが、時の首相、小泉純一郎氏は、同年10月、内閣改造を断行し、中川氏を農水大臣にポスト替えした。中川氏の後任、二階俊博氏は「私は試掘の道はとらない」と断言し、試掘は止められた。以来、日本のガス田開発の動きは止まったままだ。ただ海上自衛隊は同海域の哨戒活動を続け、この間にも中国はガスを取り続けてきたこと、この3年間、猛然と開発を加速させていることを見てきた。 気になる情報がある。中国が傾斜採掘という手法をとっているのではないかという情報である。これは日中中間線より中国側に掘った井戸から、採掘パイプを海底の地形に沿うように這わせながら日本海域に伸ばし、ガス田に到達させて吸い上げる手法だという。このような技術が使われているとしたら、中国側とはつながっていない日本のガス田からも資源が盗まれることになる。これは侵略そのものであろう。 東シナ海が中国の海に 中国によるガス田開発のもう1つの深刻な問題が、軍事的側面である。中国が2013年11月、尖閣諸島上空を含む東シナ海で一方的に防空識別圏(ADIZ)を設定し、国際社会の批判を浴びたことは記憶に新しい。ただ、大陸にある彼らのレーダー基地からは日中中間線あたりまでしか監視できず、彼らの防空識別圏は実際には機能してこなかった。 だが、日中中間線付近のガス田の海洋プラットホームを軍事利用すれば、防空識別圏の航空管制が現実に可能になる。さらには沖縄本島も含め南西諸島すべてが中国の監視下に置かれ、沖縄や東シナ海の米軍、自衛隊の動きが丸裸にされる。 ヘリポートは、軍用ヘリのみならず無人機(ドローン)の基地にもなる。参議院議員の佐藤正久氏は、固定式の対空ミサイルを据え付けることも可能だという。その場合、自衛隊と米軍の空からの哨戒も容易ではなくなる。海底にソナーを置いて海中の動きを監視することもできるのであり、林立する海洋プラットホームは、中国が軍事利用を公言する南シナ海の人工島と同様、東シナ海全体を中国の海にするための拠点になりかねない。 私の疑問は、我が国にとって、これほど重大な脅威となりうる中国の海洋開発を知りながら、なぜ政府が情報をひた隠しにしてきたかという点である。 中国が急速に我が国の眼前で一方的に開発を進めてきた事実は、海上自衛隊の哨戒活動で日本は逐一把握している。 海自の情報は防衛省、外務省、経済産業省に上げられ、さらに国家安全保障会議(NSC)に報告される。このプロセスの中で東シナ海の情報は公開しないことが決定されたと情報筋は語る。複数の情報筋は非公開を決めた主体は外務省だと指摘する。 外務省の対中融和外交の影響だとすれば、それは、国際法を順守し、力による現状変更には断固反対するという安倍晋三首相の対中外交の基本とは相容れないはずだ。もう1つの見方は、外務省は防衛省から上がってくる情報に余り重きを置かず、十分にその意味を理解できなかったというものだ。有り体に言えば、東シナ海のことまで考えが及ばなかった、というのである。 いずれにしても、これが外務省の実態であれば、日本の外交を担う資格があるのかと、問わねばならない。 南シナ海では、CNNの映像が全世界に発信されたことで国際社会の批判が強まり、中国は「埋め立て完了」と言わざるを得なくなった。 「退去せよ」中国軍から警告 南シナ海飛ぶ米偵察機に同乗 2015.05.21 Thu posted at 11:02 JST http://www.cnn.co.jp/usa/35064802.html CNNが米偵察機に搭乗取材 2015.05.21 Thu posted at 10:57 JST 中国海軍は南シナ海上空を飛行する米軍の偵察機に対し、20日だけで8回にわたって警告を発した。CNN取材班はこの偵察機「P8Aポセイドン」に初めて搭乗を許可され、独占取材を行った(動画) http://www.cnn.co.jp/video/14431.html 日本も、同様の蛮行が東シナ海でも行われていることを、まず日本国民に、そして世界に知らせるべきである。中国の力に物を言わせる蛮行は、現在国会で行われている新たな安保法制の審議と密接に関係する。 安倍政権が集団的自衛権の行使を限定的ながら可能にしようとしている背景には、北朝鮮のミサイルや核開発の問題、そしてより大きな要因として覇権奪取の野心を剥き出しにする中国の脅威の増大がある。日本は日米同盟を重要な抑止力として恃むが、同盟国アメリカは、オバマ政権下で内向き思考を強め、財政難で国防費の大幅削減を迫られている。 新たな安保法制整備の意義は、この状況下で自衛隊の機能を弱めている、がんじがらめの規制を少し緩和し、米国との同盟関係をより緊密にして中国の脅威の増大に対処することである。今回明らかになったガス田開発の急拡大は、中国の帝国主義的脅威を目に見える形で私たちに示している。本来なら新安保法制の議論はこの危機的状況に基づいて行われるべきであろう。国民の理解を深めるためにも、このように私たちの眼前で進行している危機の情報こそ広く伝えられるべきだと思う。 官房長官会見と防衛相答弁をなぜ報じなかったのか 中国による急速なガス田開発を国民に知らせないという点では、メディアの責任も大きい。特に朝日新聞の報道には疑問を抱かざるを得ない。 私は2015年7月6日の産経新聞でこの東シナ海の新たなガス田開発問題を報じたのだが、同日、菅義偉官房長官は定例記者会見で、「一方的な開発を進めていることに対し、中国側に繰り返し抗議すると同時に、作業の中止を求めている」と語った。プラットホームの数など具体的情報は明らかにしなかったが、中国が一方的に新たな開発を進めていることを認めたものだ。 2015.7.6 11:00 【櫻井よしこ 美しき勁き国へ】 中国、東シナ海ガス田開発を急加速 机上の空論続ける政治家は猛省せよ http://www.sankei.com/premium/news/150706/prm1507060007-n1.html 2015.7.7 12:39 政府、中国のガス田開発に抗議 東シナ海に新拠点建設 http://www.sankei.com/politics/news/150707/plt1507070011-n1.html 2015年7月10日には、中谷元・防衛相が衆院平和安全特別委員会で、海洋プラットホームが軍事拠点化される可能性に関して、「プラットホームにレーダーを配備する可能性がある」「東シナ海における中国の監視、警戒能力が向上し、自衛隊の活動がこれまでより把握される可能性があると考えている」と述べた。国民の知らない内に中国が東シナ海を一方的に開発し、日本の安全保障に深刻な脅威を与える状況が生まれていたとの認識であろう。 2015.7.10 14:15 中谷防衛相、東シナ海のガス田開発 中国の「軍事拠点化」可能性に言及 【東シナ海 中国ガス田開発】 http://www.sankei.com/politics/news/150710/plt1507100024-n1.html 産経新聞と読売新聞は防衛相答弁を翌2015年7月11日付朝刊の1面トップで報じた。中谷氏の答弁は、中国の脅威増大と密接にからむ新安保法制の審議中というタイミングからいっても、大きく報じる価値があるはずである。 しかし、朝日新聞は、このいずれのタイミングでも中国の新たなガス田開発について報道しなかった。朝日新聞が報じたのは、2015年7月7日の自民党国防部会が、本年度の国防白書にガス田開発の記述がほとんどないとして了承を見送ったこと(2015年7月8日付朝刊)と、衆院平和安全法制特別委員会で安全保障関連法案を可決した2015年7月16日、自民党国防部会が改めてこの国防白書を了承したことだけである(同日付夕刊)。 2015年7月8日の記事では、「中国の東シナ海でのガス田開発についての記述がほとんどなく、安全保障法制に影響する」という部会長の佐藤正久議員のコメントはあるが、いつ、どんな開発がなされていたのか全く不明である。2015年7月16日になってようやく、中国は「2013年6月以降・・・新たな海洋プラットホームの建設作業などを進めている」と書いたが、中谷氏も「日本の安全保障にとって新たな脅威になる」と指摘したプラットホームが持つ危険性には触れていない。これでは、朝日新聞しか読まない人々は、東シナ海で起きていることやその脅威について全く知ることはできないのではないか。 安全保障関連法は2015年7月15日に衆院特別委で採決されたが、翌2015年7月16日付の朝日新聞は朝刊1面で、「安保採決 自公が強行」というトップの記事の下に立松朗・政治部長が、「熟議 置き去りにした政権」とコラムで書いた。 「熟議」は、あらゆる必要な情報が与野党双方に認識されていなければできないはずである。日本の安全、日本の空と海と陸をどう守るのか。国民の財産と安全をどう守るのか。日本国の安全保障を論じる時、隣国が係争の海である東シナ海で進めている蛮行を考慮せずに、如何にして、まともな形の議論が可能なのだろうか。 朝日新聞が熟議に必要な情報を報道したとは到底、言えないのだ。南シナ海の軍事拠点づくりで世界中を震撼させた中国の脅威が東シナ海でも急速に増大していることを報じようとしない朝日新聞は、メディアとして、報じるべきことを報じてから「熟議」を求めるべきではないのか。 大局面で判断を誤り続けたのは 立松氏のコラムはさらに、安倍首相が「日米安保条約改定や国連平和維持活動(PKO)協力法もメディアが批判し、反対の世論が強いなかで実現させ、今ではみんな賛成している」と主張したしたとして、「『どうせ理解されないし、時が解決する』と言わんばかりの態度は、政治の責任に無自覚だ」と批判している。 しかし、その時は国民の理解を得られなくても、本当に国家に必要なことを為し、その評価を歴史の審判に委ねる姿勢は政治家の崇高な義務感の表れでもある。 逆に、朝日新聞に問いたい。朝日新聞は日米安保条約改定やPKO協力法に反対してきた。それは歴史の審判に堪えられるものだったのか。答えは明らかに「ノー」であろう。日米安保も自衛隊のPKO活動も今は国民の大多数が必要だと考え、支持している。 それだけではない。サンフランシスコ講和条約締結時における「単独講和」反対論、自衛隊を白い眼でみる論調。国家の命運をかけた重要な選択や、国家の土台である安全保障について、朝日新聞はことごとく間違ってきた。自衛隊は、今や国民の9割が信頼を集めている。 重要課題でこれほど間違いを重ねてきた新聞は、世界でも珍しいのではないか。朝日新聞は安倍首相を批判するよりも、自らの不明を恥じ反省することが先ではないか。 わが国の眼前に迫り来る脅威は報じずに、日本の抑止力を高めるための法整備に、「戦争法案」「戦争への道」「徴兵制」「殺し殺される国」といった情緒的なレッテルを、デモ参加者や野党議員らのコメントを利用して書き立て、反対を煽る。こうした報道姿勢は、自分たちのイデオロギーに沿わない安倍首相を敵視する「反安倍キャンペーン」だと言ってもよいもので、国の針路を誤らせかねない。中国の脅威にいま対処して抑止力を高めなければ、それこそ逆に「戦争への道」に追い込まれる危険が増大するのではないか。 そして、2015年7月22日、政府が15点の写真と共に、中国の東シナ海でのガス田開発情報を公開した。2015年7月23日付「産経新聞」も「読売新聞」も1面トップ扱いである。「朝日新聞」も遂に報道したが、1面の左カタと2面を割いての報道である。政府の情報公開は遅きに失しているが、公開自体は評価したい。朝日新聞の読者もようやくこれで中国の蛮行について知ることができたと言える。 2015.7.22 19:25 急増中の中国・東シナ海ガス田施設、写真公開 新設12基、うち5基はこの1年で 菅長官「極めて遺憾」 http://www.sankei.com/politics/news/150722/plt1507220030-n1.html 中国ガス田新たに12施設、東シナ海中間線 2015年7月23日 http://www.yomiuri.co.jp/kyushu/news/20150723-OYS1T50000.html 外務省 中国による東シナ海での一方的資源開発の現状 平成27年7月22日 http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/china/higashi_shina/tachiba.html 日本と安倍政権の使命 中国は、アメリカが内向き思考のオバマ政権下にある間に、中国式の世界秩序を作ろうとしているのではないか。かなりの部分、それが成功しつつあると思われる。軍事しかり、アジアインフラ投資銀行(AIIB)に象徴される金融しかり、中国語教育機関を名乗る思想宣伝機関の孔子学院の世界展開しかり、である。 2015年7月1日には中国の全国人民代表大会が「国家安全法」を採択し、即日施行された。領土と海洋権益の防衛、テロや暴動、少数民族などの国内治安維持に加えて、宇宙やサイバー空間での安全保障、資源確保などが担保されなければならないとする内容だ。その上で、国家主権と領土保全の維持は「香港、マカオ、台湾の住民を含む中国人民の共同義務」とされた。 2015.7.3 21:52 中国、治安強化の法整備 「国家安全法」「反テロ法」「NGO管理法」 民主派への弾圧懸念高まる http://www.sankei.com/world/news/150703/wor1507030048-n1.html 共産党批判や民主派の活動を封じ込める狙いがあるとみられるが、その対象になんと台湾人も含めたのである。反中国デモに参加したことのある台湾人が、その後に旅行や仕事などで中国を訪れるだけで、逮捕または拘留されることもあり得るのだ。中国が横暴な拡張主義を法律面でも強めている具体例である。 こうした中国の強硬策を見て、アメリカの対中姿勢が硬化しつつある。長くアメリカの外交政策をリードし、親中路線の旗振り役でもあった有力研究所「外交問題評議会」(CFR)は今年(2015年)3月の特別報告書で、「現在の最大かつ最も深刻なアメリカへの戦略的挑戦は中国の強大化である」として「国防予算の削減を止めて軍備を増強し、中国包囲網を構築すべき」と提言した。国務省でさえ南シナ海の人工島を認めないとし、ハリー・ハリス太平洋軍司令官は「砂の万里の長城である」と非難した。極めつけは、統合参謀本部が2015年7月1日に公表した「国家軍事戦略」である。中国をロシア、北朝鮮、そしてイランと並ぶ「潜在的な敵性国家」に初めて位置づけ、国際秩序を脅かす「リビジョニスト国家」とも呼んだのである。 ただ、肝心のホワイトハウスは中国の脅威を正面から受け止めかねているかのようだ。世界は今、そのことを半ば恐怖の目で見ている。アメリカの内向き姿勢はオバマ政権だけのものではなく、国民意識の変化の表れで、今後も続くのではないかという懸念も捨てきれない。国際情勢がアメリカを中心軸とする秩序から中国の覇権を中心軸とする体制へと移行しつつあるのかもしれないとの見方が広がっている。 そんな中で、中国の脅威をリアルに実感している国際社会、特にアジア諸国の、日本への期待感が強まっている。日本の憲法改正を求め、軍事的プレゼンスも求める声は少なくない。中国の横暴に対するカウンターバランスとしての日本の存在への期待といってよい。 日本の力は、アメリカの軍事力とは比べるべくもないが、日本は自由、法の支配、人権といった善き価値観を多くの国々と共有する。加えて民族の宗教、文化、言語を大事にする非常に穏やかな文明を有する。各民族がお互いを尊重しながら共存する国際社会の実現を目指している。こうした価値観や文明は中国とは対極にある。 また一方で、日本は高水準の産業・科学技術を有する。中国や韓国はもちろん、アメリカでさえ、様々な分野で日本の技術に支えられている面は少なくない。優れた技術、穏やかな文明と価値観を前面に掲げ、軍事的力も強化できれば日本の強さはよりよい世界の構築に貢献するはずだ。 戦後の呪縛を解き、自立国家として再生し、中国の脅威に抑止力を発揮していくのが、現在の日本国の責務であろう。その意思と能力を期待できるのが安倍首相ではないか。 にも拘わらず、東シナ海のガス田の開発を隠し続けてきた。安保法制に関連して、北朝鮮の脅威には言及しながら、中国の脅威にはほとんど触れない。なぜだろう。安倍首相には大局的な観点から、その考えを示してほしい。 安保法制 首相、中国名指しに転換 「脅威」強調、理解促す 産経新聞 2015/07/29 http://www.msn.com/ja-jp/news/other/%E5%AE%89%E4%BF%9D%E6%B3%95%E5%88%B6-%E9%A6%96%E7%9B%B8%E3%80%81%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E5%90%8D%E6%8C%87%E3%81%97%E3%81%AB%E8%BB%A2%E6%8F%9B-%E3%80%8C%E8%84%85%E5%A8%81%E3%80%8D%E5%BC%B7%E8%AA%BF%E3%80%81%E7%90%86%E8%A7%A3%E4%BF%83%E3%81%99/ar-AAdGGlo 終戦70年の節目に、国際情勢は大きく変化しつつある。私たちはその変化を適切に認識し、偏ったメディアや政治勢力の主張に惑わされることなく、国家の針路を考えていかねばならない。
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