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北原みのり「騒ぎ続けなくては」〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150804-00000000-sasahi-pol
週刊朝日　2015年8月7日号

　作家・北原みのり氏の週刊朝日連載「ニッポンスッポンポンNEO」。北原氏は、安全保障関連法案が強行採決された日に国会の前にいたという。

＊　　＊　　＊
　久々に実家に帰ったら玄関の靴箱の上に「戦争させない」と書かれた真っ赤なポスターが飾ってあった。あまりに目立つので、「宅配業者の人とかびっくりしない？」と母に聞くと、「いいの、驚かれても」と言った。母は特に政治的な人ではないので、意外に思っていたら、「国会前に行きたい」と言いだした。安保法案の強行採決の日だった。足の悪い82歳の大叔母が一緒だったので、「どうする？」と大叔母に聞くと「せっかくだから、行きたい」と言う。何がせっかくなのかはよく分からないけど、じゃあ！　とタクシーで国会前に向かった。大叔母にとって、国会前で政府に抗議するために立つなんて、人生で初めてだ。タクシーの運転手さんもよく分かっていて、国会前のベストポジションに止めてくれた。降りると辻元清美さんが「終わりの始まりにしましょう」と演説し、おーっ！という声と拍手が響いた。

　この日、NHKは国会中継しなかった。だから私たちの多くは、国会がどんな雰囲気だったかを知らない。後になって野党の議員が必死な顔で「アベ政治を許さない」「戦争させない」というプラカードを掲げ、委員長に詰め寄っていた写真を見て、胸が詰まった。

　2011年の原発事故の後から、私は国会前に立ち抗議活動をする機会が増えた。正直、立つだけで何になるのだろう、と思うことがないわけではなかった。結局は数の論理で物事が決まっていってしまう。それでも母や大叔母と国会前に立ち、感じられるものは大きかった。やむにやまれぬ気持ちで集まる人達の熱気、必死な顔でプラカードを掲げる議員、叫ぶ若者たち。まだ諦めなくていいのだ、と思えてくる。「せっかくだから」と足を運ぶような、そんな軽さであっても、やった方がずっといい。玄関の小さな主張だって、やらないよりはきっといい。本当にやばくなった時は、何もできなくなる。そうなる前に、騒ぎ続けなくてはいけないのだと、思えた。

　法案を通したい人たちは、安保法案を「国民を守るために必要な法案だ」と繰り返し語る。友が傷ついてたら助けるのが正義というものだろう！？　と何だかいい話のように、語る人もいる。政治家が言うならまだしも、戦争を友だちどうしの争いに例えて、安保法制に理解を示す一般人のブログなど目にすると、国家暴力のすさまじさを知らない平和ボケ野郎！　と、ここぞとばかりに私は逮捕経験を活かし、毒づきたくなる。

　82歳の大叔母は戦争を知っている、とは言えない。母も私も全く知らない。だから想像するしかない。過去に起きた破滅を。そして未来に起きるかもしれないことに対する恐怖を、想像するしかない。戦後70年の夏、「戦争反対」なんてことを国会前で叫ぶような時代、社会にしてしまったことを、今から後悔し、軌道修正していくことだって、きっと遅くはないはずだ。

　それにしても、警察を見ると、まだ吐き気がする。私の体における正しい反応かもしれないけど、デモに行くとき、困ります。

コメント
1. 2015年8月04日 07:52:19 : DZza21uypA 　「集団的自衛権」という言葉が多くの誤解を生んでいるのではないか？　 　だから、北原さんが書くように「法案を通したい人たちは、安保法案を『国民を守るために必要な法案だ』と繰り返し語る」という状況を産む。アメリカも一緒になって、日本を守るために、アメリカと一緒になって戦う。これの何が悪いと勘違いしているひとたちがわたしの周りにも結構いる。 　つまり彼らは「自衛権」と謳っているから、文字通り「自衛」のための法律と考え違いしている。アメリカの戦っているところに自衛隊も参戦し、一緒に戦うという現実が「自衛権」という言葉でごまかされている。 　「集団的自衛権」という言葉を「集団的攻撃権」に置き換えたら、安倍たち（インチキ公明も一緒）が進めるいまの安保法案に対する反発が強まるのではないか。 　「自衛権」の言葉のマジックに騙されてはいけない。
2. 日高見連邦共和国 2015年8月04日 08:29:43 : ZtjAE5Qu8buIw : mFuG9qQlTk 『集団的自衛権』とは、国連の取り組みという枠組のなかで、国連が“必要な措置”を取るまでの間、 極めて限定的にその行使を許されている、（国連憲章において）主権国家が発動できる唯一の武力行使の形です。 では、アメリカと一緒になって『国連の枠組み』を逸脱する、“自衛権”という名の戦闘行為をなんと呼ぶか？ 『自衛権を騙った他衛権』とでも呼ぶのが正しいでしょう。
3. 2015年8月04日 10:15:18 : 1LqIGVSvNs 強盗に行くことを誘われて、今までは憲法が言っちゃいけないって言っているから行けないよと断れたものを、しぶしぶでも一緒に行って、強盗に加担することができる法案なんていらない。 強盗に行くというやつを、事前に叩きのめして止めさせるための９条改憲は必要だと思うが。まずは、強盗テロ国家との安全保障条約を止めることだ。当然、国防軍は必要になるが、個別防衛権で足りる。あとは、軍人が防衛大臣でなければ内閣が成立しないという事が許されてはいけない。歴史に学ぶべきである。シビリアンコントロールの必要条件である。シビリアンコントロールとは単に防衛省に背広組がいるという事ではない。
4. 木曽の山猿 2015年8月04日 12:24:52 : YnLQsTybFStJg : ZLqYwwjz1c いま、堤未果著「政府は必ず嘘をつく」を読んでます。 「平和安保法制」を文字の通りに「平和」のための法制だとか、 「集団的自衛権」は日本が外国から侵略さたときアメリカと協力する自衛権だとか、 国際環境が変わって日本領土が今にも中国や北朝鮮に侵略されるかもしれないとか、 ホルムズ海峡が機雷封鎖されると石油の輸入のストップでたちまち日本は存立危機とか、 政権が言うことを素直に信ずる前に読むとよい。 本当のことを知れば国民の支持が得られないことを知っている政権は、 国民が真実に気がつかないうちに、 国民を嘘で欺いて、 政権に都合がよい政策を通すものです。 代議制の議会制民主主義を補うためには、 個々の政策については国民市民の直接的な意見表明が不可欠なのです。 国会前で、全国で繰り広げられるデモンストレーションは、 民主主義の安全弁です。
5. 2015年8月04日 12:51:46 : TF11GXF11k >正直、立つだけで何になるのだろう、と思うことがないわけではなかった。 これは、国会前に立ったことのある人なら、感じることだろう。 だが、今この時期には、行ければ行ったほうがいいと思う。 野党は「国民運動の盛り上がりがまだ足りない」と思っているようだ。 積極的に街で活動している人に聞くと、駅頭などでチラシを渡そうとしても、興味を示さない人多数だそうで。ではあっても、みんな、やっぱりおかしい、と思っているのだ。 ８月３０日（日）１４時から、に「本気で１０万人集める」国会包囲行動（民主・共産・生活・社民が協力）があるそうなので、正念場になりそう。 今、国会で抗議する人たちのあいだでは、「アベ政治を許さない」の5cm×10cmくらいのコピーをパウチして、紐のついたタグが流行っているみたい。 カンパ100円ごとに1枚くれる場合もあれば、自腹で作って無償で配る人もいるよう。これなら、バッグにつけやすい。 >>2 日高見さん 遅くなりましたが、http://www.asyura2.com/15/senkyo189/msg/878.html こちらのスレッドに返信しておきました。
6. 2015年8月04日 12:56:53 : GeeXtTQITg 騒ぎ続けるって言っても、プロの運動家以外はいつまでやれるかな。 ♪就職が決まって　髪を切ってきた時 もう若くはないさと　君に言い訳したね♪ なんて言う歌がむかしあったな・・・
7. 日高見連邦共和国 2015年8月04日 13:31:32 : ZtjAE5Qu8buIw : mFuG9qQlTk >>05 ドモです。レス入れときました。また！
8. 2015年8月05日 08:49:11 : 6TI6ki9iro 辻元清美さんは毀誉褒貶あるが、 今度の安保法制では「廃案」めざして必死だ。 その涙ぐむ姿に、感動し「共感」した。 。がんばれ！
9. 2015年8月05日 10:39:47 : YylixLkL5Y そのとおり、廃案になるまでずっと騒ぎ続けなければいけない。 やがて次の選挙が来る。この戦争法案に賛成した議員は全員落とそう。 騒ぎ続ければそれができる。騒ぎ続けているから磯崎や武藤のような本音を吐く議員が出てくる。自民党安倍政権の正体がわかってくる。その正体を知った有権者はもう二度と自民党を支持することはない。 当方、毎週どこかで騒ぎ続けている。
10. 2015年8月07日 09:23:08 : GeeXtTQITg 8氏みたいな人も居るから、カメラ目線で泣いて見せるのも、有効なのか。

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