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2015-08-02 12:06:17
思いもかけず、TPP(環太平洋経済連携協定)の合意がならず、少しの期間先延ばしになりました。参加12か国の閣僚会合は昨日7月31日、「大筋合意」ができず閉幕しました。ただ、議長国のアメリカは何とか早急に合意に持ち込もうと決意しているため、今月内に再度会合を開く考えであり、安倍政権もアメリカと同じ早期合意の方針です。だから、先に延びたといっても、ほんの短い猶予期間にすぎません。
TPPは、単なる経済問題ではありませんよね。TPPの本当の問題は、グローバル企業の法律的地位が、日本国という国家よりも上に位置づけられるという前代未聞の問題です。一企業が国家よりも上に立つというとんでもないことを裏付けるのが、「ISD条項」です。
これは、たとえばモンサントというグローバル企業が、「日本で遺伝子組み換え食品を規制しているためにわが社の提供する食物が売れなかった」と提訴すれば、法外な賠償金をせしめることができる制度です。すでにほかの地域で、訴えられた国が巨額の賠償金を支払わされた例が実際にあります。訴える場所は、自分たちの仲間のIMF(国際通貨基金)内に設けられた最低機関で、わずか3名の委員が裁定を下します。これまでの裁定では、すべてグローバル企業側の“勝訴”となり、うまい汁をたっぷり吸っています。「食の安全」がおびやかされます。
TPPが締結されると、日本の優れた医療保険制度が破壊されるのも確実です。「いつでも、だれでも、どこでも」良質の医療を受けられる制度が、グローバル企業には邪魔なので、ISD条項を活用して、日本攻撃を仕掛けてくるのは目に見えています。
手っ取り早く言えば、日本の国柄が著しく変更させられるのです。日本に根付いているすばらしい生活文化が、ぼろぼろにいじられて、いわばアメリカ型に変えられるのです。
残念なのは、日本の大手メディアにはそうした問題意識が極めて希薄なことです。たとえば、本日の朝日新聞の社説は、「TPP交渉 合意へ全力をあげよ」という見出しです。「全力でTPP推進」の紙面です。朝日の論説委員は、TPPの本質が全く理解できていないといわざるを得ません。日本の国柄に関わる重大事態にもかかわらず、なんとすっとぼけた社説であることか。安倍首相から、夜の宴席でアルコールを振る舞われたりして、頭が酔い酔いの状態になってしまったか。
安倍政権の広報機関である読売新聞の社説は、例にたがわず、「漂流回避へ交渉再開を急げ」と、TPP推進キャンペーンです。
朝日も読売も、安倍政権と一緒になって、日本という国を壊すことに躊躇がありません。アメリカに売り渡そうとしているともいえます。
TPPは漂い始めました。年明けまでこの漂流状態を維持できれば、TPP崩壊へ明るい展望が出てきます。とりあえず年末まで漂流状態を続けさせましょう。
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