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TPP交渉決裂に見る米国の凋落と日本の対米従属外交の破綻
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2015年8月2日 天木直人のブログ 新党憲法9条
正直言ってここまで見事にTPP交渉が決裂するとは思わなかった。
日本のメディアが楽観的な報道ばかりしていたからだ。
いかに日本の報道が無能で政府の御用聞きメディアになりさがっているかだ。
それは、そのまま決裂報道にもあらわれている。
いきなりニュージーランドが悪者になっている。
すなわち酪農王国のニュージーランドが乳製品の関税引き下げに最後まで抵抗したからまとまらなかったのだ、と。
甘利大臣も記者会見で、一部の国は頭を冷やしてほしいなどと八つ当たりしている。
外交的には考えられない非礼さだ。
それほど決裂の衝撃が大きいということだ。
その一方で、メディアは新薬保護や著作権保護、訴訟条項など、より深刻な利害対立は他にも多く残っていると報道している。
こんな支離滅裂な報道があるだろうか。
これを要するにAPP交渉はこれまで何もまとまっていなかったということだ。
それを政府の流すウソ情報を書き続けて、今度こそ最後だと囃し立てたから決裂の衝撃は大きいのだ。
メディアはご丁寧にまだ8月末の閣僚会議が残ってる、それが本当の最後だ、と書いている。
完全な失敗に終わっては米国の面目丸つぶれだから、なんらかの見せかけ合意はできるかもしれない。
しかし、実質的にはTPP交渉は終わったのである。
残るとすれば日米経済交渉の結果の日本の対米全面譲歩だけである。
なぜこんな事になってしまったのか。
米国が自らの内政の都合に合わせて無理をして合意を急いだからだ。
すべては米国の強引さに由来する。
考えても見るがいい。
そもそもTPPはニュージーランド、シンガポール、チリ、ブルネイという弱小国の4カ国が締結した自由貿易協定が出発点だった。
そこに米国が目をつけて日本を誘い込んで出来たものだ。
いまでも12カ国の参加国は日米を除けば弱小国ばかりだ。
米国の傲慢ぶりはカナダでさえ文句があるなら参加しなくてもいいと脅かす始末だ。
そんな交渉があるか。
これを要するにTPP交渉は米国による、米国のための、米国の交渉であり、それに対米従属の日本が追従しただけの交渉だったということだ。
その米国がもはや指導力を失って迷走を続けた末の破綻だ。
その米国の破綻に日本政府は、民主党政権も自民党政権も、国民の声を無視して最後まで加担した。
今度のTPP交渉の失敗は、もうひとつの対米従属外交の破綻である(了)
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