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2015-08-01 09:45:14
「礒崎氏 与党から進退論」という見出しで、朝日新聞が本日8月1日の朝刊4面に礒崎陽輔・首相補佐官に辞任を迫る意図をにじませた3段記事を掲載しました。「政治的中立」を旨とする日本の大手紙としては、比較的目立つ3段扱いが精いっぱいだったでしょう。
与党といっても、自民党内からの進退論ではなく、公明党の井上義久幹事長の「法的安定性を最重視することは与党で合意している。それを軽視するかのような発言は看過できない」という批判です。井上幹事長は、「進退は自ら判断するのが政治家の基本だ」と発言しました。この「政治家が自ら判断せよ」というのは、永田町では「辞めろ」という意味です。
安倍政権のちょうちん持ち新聞、読売は同じく4面で取り上げましたが、最も目立ちにくい隅っこにベタ記事で、そっと滑り込ませました。それも、見出しは「首相補佐官発言 官房副長官陳謝」と、別の話をメインにし、その後ろに井上幹事長発言をわずか8行つけ足しにするという「進退論」隠しのテクニックを使っていました。「政治的中立」を守らなければならない大手紙の矜持はどこへやら、いまや政権翼賛新聞としての正体をあからさまにする読売新聞の政治的偏向は目に余るものがあります。
それはともかく、読売すらも「首相補佐官の罷免」につながる記事を掲載せざるを得なくなっています。世の中の民主主義に基づく政治を求める力が、徐々に高まっている証左と言えます。
残念なのは、野党第一党がいかにもだらしなさすぎることです。国民の間から澎湃(ほうはい)として沸き起こってきた民主主義政治を求める声に応じるパワーが、民主党には決定的に欠けていることです。民主党の主流派は、岡田代表をはじめ枝野幹事長はもちろん、最近では細野豪志氏もへなちょこです。真に日本をどうするか、その根本がしっかり定まっていません。
だから、強行採決される時点でも、特別委の議長に対し、あるいは衆院議長に対し、不信任決議すら提出しませんでした。「なんとしても安保法案を阻止する」という迫力に懸けました。安倍首相から「民主党なんて、ちょろいもんだ」となめられても仕方がない。
民主主義を求める力は、確かに盛り上がってきました。しかし、安倍政権はしたたかです。沖縄では、辺野古基地建設に関し県民挙げての強い反対運動で、「反対派の知事」を誕生させ、政府に圧力をかけてきました。「辺野古に基地は造らせない」と、しばしば繰り返す翁長知事のもとで、さすがの安倍政権もてこずるかに見られていました。
ところが、どうやら奇妙なトリックで、辺野古基地は順調に建設されそうな雲行きです。阻止するための決め手は、「埋め立て承認の取り消し」です。しかし、翁長知事はぐずぐずと引き延ばし、国側が本体工事に着工するまで待っているフシが日ましに強くなってきました。
不思議なのは、県民が翁長知事に「埋め立て承認を早く撤回せよ」と迫らないことです。知事が動き出すのをただじっと待っているようなのです。
民主主義は次第に盛り上がってきましたが、まだ限界があります。まだ闘い方が下手といわざるを得ない。民主主義を成功させる闘い方に成熟するには、まだ時間がかかりそうです。
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