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(回答先: 「安倍さんは戦争をやりたがっている」というのは間違いだ! 山口一臣(ジャーナリスト) 投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 7 月 31 日 23:41:05)
山口一臣氏のアジア国際関係観や安倍首相論にほとんど異議はないが、二つほど問題を提起したい。
一つは、軍事的抑止論に立たず政治経済論で戦争は起こす意味がないとする山口一臣氏のアジア国際関係観に即せば、日米安保条約は不要という判断につながるはず。
もう一つは、安倍首相がホルムズ海峡の機雷掃海にこだわったことでわかるように、「新安保法制」=米国の戦争への協力の眼目は、東アジアにおける戦争ではなく、西アジアからアフリカにかけてのイスラム圏で起きる(起きている)係争について、日本がどこまで関わるかということである。
そのようにはとうてい見えない稚拙で愚劣な外交と国民向け説明を行っている安倍首相だが、彼が戦争を望んでいないことは、「新安保法制」に違憲論を唱える歴代の法制局長官がメディアに露出することを認めたり、NHKに“米国の戦争に巻き込まれないというのは総理(佐藤栄作)のウソ”だったとする番組を「新安保法制」上程の直前に放送させたり、輪をかけて(わざと)稚拙な対応と説明を行っている「新安保法制」の取り扱いぶりを冷静に考えればわかる。
(安倍首相が仮に愚鈍だとしても、安倍首相の周りにはそれなりの知性(判断力)をもった人たちがいる。もっとましな説明や成立促進手法は簡単に編み出せる)
昨年春から本格的に始まった「集団的自衛権」をめぐる説明や論議を見聞きしていると、安倍首相というか日本の政治的支配層の哀れな“SOS”を感じてしまう。
米国支配層は、2000年以降の「アーミテージ−ナイレポート」を通じて、日本に「集団的自衛権」を行使するよう何度も執拗に迫ってきた。
米国が望む「集団的自衛権」の行使がどのようなものか端的に言えば、兵站(後方支援)部門でいいから自衛隊が米国の軍事力行使(戦争)に参加することであり、戦闘終結後は復興支援だけでなく“治安維持活動”をも担うことである。
(戦争には様々な“裏”があるから、できるできないは別として日本が直接の戦闘活動に参加して“秩序”や“裏約束”を壊すような動きは望んでいない)
日本の政治的支配層が、米国の属国として、しつこく求められてきた「集団的自衛権」の行使をぎりぎりのところまで受け容れようとしたのが今回の「新安保法制」である。
そして、法律の実際の適用(発動)ができるだけ回避できるよう、「違憲」や「圧倒的多数の反対」を“演出”(反応するように稚拙な策)してきた。
そのおかげというのは妙だが、国民のなかに憲法第九条を考える機会が増え、戦争や武力の行使についてより多く考えるようになったことは何よりだと思っている。
「新安保法制」が仮に成立したとしても、実際に適用して自衛隊を派遣できる政権は「自民党主体」以外ない。
政権に近づく可能性がある野党の民主党や維新は、今回の法制を「違憲」と公言し反対したのだから、違憲の法律を根拠に自衛隊を動かすことはできない(だろう)。
(民主党・維新さらには共産党までが「自民党+公明党」と出来レースで「新安保法制」に対応している可能性もある)
自民党政権が続くことが問題になるが、理念主義的な民主党よりはヌエ的(老獪な)自民党のほうが対米面従腹背は得意だろう。そうであれば、「違憲」と断定され「圧倒的多数の反対」を押し切って無理矢理成立させたことで、米国からの派兵協力の申し出を断りやすくなった。
何度か「国際平和支援法」だけでも廃案にして欲しいと書いたが、今回の「新安保法制」のなかでもっとも危険なのは、その「国際平和支援法」だと考えている。
「新三要件」適用法案で話題になる朝鮮半島有事や対中牽制といった話は、「国際平和支援法」から目をそらすための陽動だと思っている。
よく似た名称で混同しやすいが、「国際平和協力(PKO)法」は、国連安保理議決を条件とするものであり、日本政府が案件を吟味してときに協力することもやむをえないと考えている。(違憲の自衛隊を派遣することはできないが...)
「国際平和支援法」がどういうものかと言えば、「テロ特措法」や「イラク特措法」の恒久法化と考えるとわかりやすい。
多国籍軍なのか有志連合なのかは別として、国連安保理の(軍事力行使)決議を経ないまま米国が中心となって行う軍事活動への協力である。
「国際平和支援法」の適用については、日本の存立危機を主とした「新三要件」の歯止めはなく、「国際平和共同対処事態」に協力するというのが名分や大義になる。
中東とアフリカを見ればわかるが、内戦とテロで殺戮と混迷が続いている。米英仏が仕掛けている紛争だとしても、現在のような状態をこれから10年も20年も継続させるわけにはいかないだろう。
米英仏はすでに有志連合というかたちでイラクやシリアの内戦に介入しているが、なんらかの落ち着きを見せ始めたら、日本はこの後始末の“治安維持活動”に協力するよう要請される可能性が高いと思う。
シリア・イラク・イエメン・リビア・マリ・ナイジェリアなど国の数や広大な面積を考えると、イラクやアフガニスタンとは比べものにならない数の治安維持部隊が必要になる。そして、ちょっと考えればわかるように、合意した停戦がきちんと維持できる可能性は低く、新たな“テロ組織”が出現する可能性が高い。
米英主体で軍事的に制圧した後のアフガニスタンやイラクを思い出してみれば、そこでの“治安維持活動”がどれほど過酷なものかわかる。
「安倍さんは戦争をやりたがっている」というのは山口氏が言うように間違いかもしれないが、安倍首相(支配層)は、宗主国である米国の協力要請をどうしても拒絶できない場合は自衛隊の派遣もやむなし、もっと露骨に言えばドイツ連邦軍の同レベルの犠牲者が自衛隊から出ることも覚悟して「新安保法制」を上程したのである。
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