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憲法学者122人へのアンケート調査の結果(朝日新聞)
池田信夫氏の論考を紹介させていただくが、結論は、「国民の安全を守ることが目的で、憲法はその手段に過ぎないのだから、憲法が現実に合わなくなったら憲法を改正するのが立憲主義である」というものである。
最後まで読んでも、憲法第九条を「現代の禁酒法」と表現したタイトルの意味がわからない。(むろん、気持ちはわかるが...)
社民党の「自衛隊合憲」論への転向で護憲主義者が絶滅してしまった今となっては護憲主義者に転向しようかなと思ってしまうが(笑)、改憲派として、池田氏の論理は危ういと思う。
(現行の「非戦主義(不戦主義)憲法」を“非現実”的なものとは考えていない)
まず、「憲法が現実に合わなくなったら憲法を改正する」という表現は、アプリオリに“現実”という言葉を持ち出すことで“錯誤”を誘導しかねないもので、「憲法が主権者多数派の価値観に合わなくなったら憲法を改正する」というような表現を使うべきである。
そして、立憲主義は、憲法が多数派の価値観に合わなくとも、立法及び行政は憲法に則って行われるべきというのが基本で、主権者の多数派の考え方が変わったときは憲法を改正していくというのが立憲主義の上手な適用である。
池田氏は、なんとかなく「そうかも」と思わせる書き方をするので、
「A. 憲法は正しい
B. 自衛隊は憲法違反だ
という2つの命題から導かれる結論は、三段論法で考えると
C. 自衛隊は廃止すべきだ
ということしかない。」
といった論理を提示する。
言いたいのは、「A. 憲法は正しい」という命題が奇妙だということである。
立憲主義や法治主義に立つのなら、憲法や法律は、超越的な意味で正しいかどうかが問題なのではなく、手続き論や立憲主義に照らして誤りがあるかないかが問題となる。
そのような考え方からまとめると、A.の命題は不要で、現在の自衛隊は憲法第九条に反するので、自衛隊は廃止するか改組するしかないという論理になる。
警察や海上保安庁そしてPKO派遣要員などは憲法第九条に抵触しない可能性が高いのだから、自衛隊については、廃止だけではなく改組という対応も可能である。
リベラル的な人々のおかしさを突くのが好きな池田氏らしく、「少なくとも「憲法違反(可能性も含む)」とした77人のうち「改正が必要」と答えた6人以外の71人は、自衛隊はないほうがいいと考えているはずだ。これは回答者の58%である。それなら憲法学者は「自衛隊を解散せよ」という論文を書くべきだが、私の知る限りそういう学術論文は見たことがない。彼らの主張は、明白に矛盾しているのだ。そもそも憲法学者の過半数が非合法と考えるような軍隊が24万人もいる国が、法治国家と言えるのだろうか」と批判している。
憲法違反状態を是正するのは国会や政府の役割であり、廃止するのか、改組するのか、憲法改正をするのか様々な対応策がある問題なのだから、法律学者は、憲法違反であるという事実を論理的に説明するだけで十分である。
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憲法第9条は「現代の禁酒法」なのか
国会で改正の議論を始めるべきだ
2015.7.28(火) 池田 信夫
日本の国会で建設的な政策論争が行われることは少ないが、今度ほどひどい国会も珍しい。2014年7月の閣議決定の段階で解釈を変更した安保法案を、野党が「憲法違反だ」とか「解釈改憲は許さない」などと騒いだからだ。
このきっかけは、国会審議が終盤になってから与党側の参考人として招いた長谷部恭男氏(早大法学部教授)が「安保法案は憲法違反だ」と述べたことだが、これは一研究者の意見にすぎない。野党が「強行採決反対」のプラカードを振り回した国会は、とても見るに耐えないものだった。
論理的に矛盾している憲法学者
長谷部氏の事件をきっかけに、マスコミはいろいろな憲法学者の意見を紹介し、朝日新聞は次のようなアンケートを掲載した。この記事について「不都合な結果を隠している」と批判があったため、同社はその詳しい内容を実名入りで掲載した。
安保法案については、122人中119人が「憲法違反(可能性も含む)」としているが、興味あるのは自衛隊についての回答だ。自衛隊が「憲法違反」とする人が50人、その「可能性がある」とする人が27人いるのに対して、それ以外の答は45人である。
常識的には、自衛隊は憲法第9条第2項で禁じる「戦力」にあたるので、それが憲法違反(の可能性がある)と答えた77人は「憲法9条を改正する必要がある」と答えると思われるが、そういう答は6人しかない。このうち「憲法違反の可能性がある」と実名で回答した17人の中で「改正が必要」と答えたのは2人だけで、「憲法違反」と実名で断定した42人のうち「改正が必要」とは答えた人は1人もいない。これはどういうことだろうか。
A. 憲法は正しい
B. 自衛隊は憲法違反だ
という2つの命題から導かれる結論は、三段論法で考えると
C. 自衛隊は廃止すべきだ
ということしかない。
残念ながら朝日新聞のアンケートにはそういう質問がないので、彼らがそう答えるかどうかは不明だが、少なくとも「憲法違反(可能性も含む)」とした77人のうち「改正が必要」と答えた6人以外の71人は、自衛隊はないほうがいいと考えているはずだ。これは回答者の58%である。
それなら憲法学者は「自衛隊を解散せよ」という論文を書くべきだが、私の知る限りそういう学術論文は見たことがない。彼らの主張は、明白に矛盾しているのだ。そもそも憲法学者の過半数が非合法と考えるような軍隊が24万人もいる国が、法治国家と言えるのだろうか。
偽善的な「平和憲法」擁護論
実際には、自衛隊を解散すべきだと考えている憲法学者はいないだろう。それなら残る答は、自衛隊を認めるように憲法を改正することしかないが、そう答えた人は6人しかいない。彼らの頭の中は、どうなっているのだろうか。
このような憲法学者の矛盾を、井上達夫氏(東大法学部教授)は「原理主義的に護憲を世間に主張しながら、実際には自衛隊と安保を認めていることを、みずから世間にバラしている」と批判する。「非武装中立を言い続けるほうが自衛隊と安保を現状のまま維持するのに有効だから」である(『リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください』50〜51ページ、強調は引用者)。
いわゆる「歯止め論」だが、こんな論理は法律にはない。合憲でなければ違憲であり、その中間はないのだ。長谷部氏は「表現の自由を定めた憲法にも刑法のわいせつ罪のような例外がある」というが、軍隊とわいせつ罪を同列に論じるのは非常識だ。
要するに憲法学者も野党も、自衛隊が国民の安全を守っている現状を認識しながら「平和憲法を守れ」というきれいごとを言っているのだ。こういう日本人の法律についての曖昧な態度について、かつて川島武宜は次のように批判した。
いやしくも法律が有効に存在すると認められるかぎり、人は法律をもって現実に対しはたらきかけなければならないのであり、そのあいだに妥協は許されない、というのが法の二元主義の基本原則である。その典型的な例証の一つは、アメリカの1919年の禁酒法である(『日本人の法意識』44ページ、強調は引用者)。
禁酒法は極めて非現実的な法だったが、アメリカ政府はその醸造を摘発し、1933年に廃止されるまで公の場では販売が許されなかった。いかに非現実的な法であっても、それを守るのが法治国家というものだ。国民の安全を守ることが目的で、憲法はその手段に過ぎないのだから、憲法が現実に合わなくなったら憲法を改正するのが立憲主義である。
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