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南北統一がすでに米国支配層の政治課題になっている状況で北朝鮮と米国+韓国が戦争に突入する朝鮮半島有事はあり得ないことだが、新安保法制が成立すると、法論理的には韓国政府の意向とは無関係に米国の要請により自衛隊が朝鮮半島に派兵される可能性がある。
日本も韓国も米国が築いた“戦後アジア世界”の桎梏にとらわれており、新安保法制ではなく、桎梏の一つ一つを取り外していくことが東アジアの“安全保障”にとって不可欠の政治課題なのである。
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朴大統領、綱渡りの北朝鮮外交
米中を両にらみ、日本に警戒
今年の韓国映画で「延坪(ヨンピョン)海戦」が観客動員数のトップを走っている。2002年6月、北朝鮮に近い韓国の延坪島周辺海域で起きた韓国、北朝鮮両軍による銃撃戦の実話を基にした映画だ。北朝鮮警備艇の領海侵犯を契機に、韓国で死者6人、負傷者18人を出した。10年3月の韓国海軍哨戒艦「天安」の沈没、同年11月の延坪島砲撃などとともに、北朝鮮が絡んだ近年の事件として韓国国民の記憶に残る。
6月末、朴槿恵(パク・クネ)大統領は青瓦台(大統領府)で全軍主要指揮官会議の昼食会を開き、「いっときも緊張を緩めず徹底した備えを続けてほしい」と万全の対応を指示した。日ごろあまり感情を表に出さず「氷の王女」という異名をもつ朴氏のときに激しい物言いが耳目を集める。5月に北朝鮮が潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)実験に踏みきった際は、外相や国防相らに「北韓(北朝鮮)が挑発してくれば、断固として懲らしめろ」と檄(げき)を飛ばした。
父の金正日(キム・ジョンイル)総書記の挑発や対話に一定のパターンがみられたのに対し、金正恩(キム・ジョンウン)第1書記は「何を考えているのか読めない」(日韓政府関係者)。いつ北朝鮮と衝突しても不思議でない緊張状態が続く韓国で、朝鮮半島危機の導火線になり得る3つのシナリオがささやかれる。
■シナリオA「黄海攻撃」…中国大陸と朝鮮半島の間にある黄海の北方限界線、NLL(韓国が主張する北朝鮮との海上境界線)付近で北朝鮮が韓国艦艇を攻撃するケース。または白翎(ペクリョン)島や延坪島などを砲撃したり、無人島を占領したりするケース
■シナリオB「中部内陸攻撃」…北朝鮮が多連装ロケット砲で韓国の漣川(ヨンチョン)や鉄原(チョルウォン)など軍事境界線付近を砲撃するケース
■シナリオC「東部山岳地域攻撃」…非武装地帯で北朝鮮を見張る韓国軍監視哨所(GP)に奇襲攻撃をしかけるケース
日米韓の北朝鮮政策のキーワードとなるのが「THAAD(サード)」「戦時作戦統制権(指揮権)」「集団的自衛権」だ。
THAADは、米国が在韓米軍への配備を検討しているミサイル防衛システム。敵のミサイルを迎撃するためのレーダーの探知能力は1千〜2千キロに及び、中国内陸部のミサイル基地情報まで捕捉できるとされる。韓国配備構想に、中国は「真の狙いは『中国封じ込め』だ」と反発する。
韓国の専門家は「中国に傾くことはあり得ない」と語る。その根拠が米軍が握る戦時作戦統制権の存在だ。朝鮮戦争を一緒に戦った経緯もあり、米韓両国が朝鮮半島で「重大な緊張状態や軍事介入の可能性がある」と判断すれば、韓国軍約63万人は米韓連合軍司令官を兼ねる在韓米軍司令官(米国人)の指揮下に入る。
韓国は中国との関係も1992年の国交樹立以来「最良」といわれる。最大の貿易相手国で、朴氏が重視する北朝鮮核問題でも協力が欠かせない。韓国がTHAADについて「米国から要請もないし、協議もしていない」とあいまい戦術をとりつづける背景には中国への配慮がにじむ。朴氏に決断の時期が近づく。
戦時作戦統制権の問題は、安倍晋三首相が行使容認を決めた集団的自衛権とも密接にかかわってくる。
韓国憲法は北朝鮮を含む朝鮮半島全体を自国の領土と規定する。このため韓国は集団的自衛権の行使が朝鮮半島に影響を及ぼす場合には「韓国政府の要請や同意なしには認めない」と、日本政府に再三クギを刺す。それでも、米軍が自衛隊の支援を必要だと判断すれば、戦時作戦統制権によって韓国の意向は無視されてしまうのではないか、との不安がひろがる。
延坪島は5年前に韓国で民間人を含む死者4人、負傷者19人を出した砲撃事件の舞台にもなった。当時の李明博(イ・ミョンバク)大統領は後に、北朝鮮空爆を指示したところ、軍が「戦争を拡大させるのはよくない、米国と協議しなければならない」と消極姿勢をみせたと明らかにした。当時、米国防長官だったゲーツ氏は回顧録で、韓国政府は北朝鮮に空爆や砲撃を伴う報復に乗りだそうとしたが、米国が説得したため思いとどまったと証言した。
保守政治家の朴氏は母をテロで失った後、父、朴正熙(パク・チョンヒ)大統領の傍らでファーストレディー役を務め、外交や安全保障に自負がある。父が暗殺されたと聞いて最初に口をついて出た言葉は「前線に異常はありませんか」。混乱に乗じた北朝鮮の侵攻を、まず警戒したのだ。
朝鮮戦争の開戦から6月で65年が経過した。関係国が53年7月に調印したのは「休戦」協定であり、戦争は終結していない。
大統領になった朴槿恵氏は米中の「2強」とのバランスに腐心し、日本との関係改善にも手間取る。それを尻目に金第1書記は着々と兵力増強を進めている。(ソウル支局長 峯岸博)
[日経新聞7月26日朝刊P.15]
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