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サザエさんとTPP
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2015.07.29 きっこのブログ
札幌の大学で寮生活をしていたノリスケ君は、来年の春には大学を卒業して東京の実家に戻ることが決まっていたため、これが最後のチャンスだと思い、以前から片思いをしていたタイ子さんに声を掛け、思いきってデートに誘ってみた。そうしたところ、実はタイ子さんのほうも少なからずノリスケ君に好意を持っていたようで、話はすぐにまとまり、ノリスケ君は週末に2人で羊ヶ丘展望台へ行く約束をすることができた。
待ちに待ったデートの日、ノリスケ君が約束の時間よりも10分ほど早く待ち合わせの場所に行くと、そこには可愛くて清楚なワンピース姿のタイ子さんが笑顔で待っていて、ノリスケ君はメロメロになってしまう。2人は羊ヶ丘展望台へ向かって歩き出したが、ノリスケ君はドキドキしてしまって何を話していいか分からない。タイ子さんのほうも恥ずかしくて、頬を染めて下を向いてばかりいる。もちろん、手をつなぐことなんて、できっこない。
そんな初々しい2人も、羊ヶ丘展望台へ到着すると、少しずつ会話ができるようになってきた。「タイ子さん、今日はいいお天気ですねえ」「ええ」「海からの風が気持ちいいですねえ」「ええ」「向こうの白樺林が美しいですねえ」「ええ」「あちらにヒツジがたくさんいますねえ」「メエ」‥‥なんてのも織り込みつつ、一番見晴らしのいい展望台で、2人は並んでベンチに腰掛けた。
でも、ベンチに並んで腰掛けたことで、ノリスケ君のドキドキはピークに達してしまった。ノリスケ君は自分の心臓の音がタイ子さんにも聞こえているんじゃないかと不安になり、思わずチラリと横を見ると、愛するタイ子さんの美しい横顔が眼の前にあった。それで、ノリスケ君の心臓はさらに高鳴ってしまった。
昨日の夜までは、せめて手をつなぎたい、できれば抱きしめてキスをしたい、そう思ってタイ子さんを抱きしめる自分の姿まで想像していたノリスケ君なのに、実際にこうして会ってみると、とてもそんなことをする勇気が出ない。それよりも、まずは何か話しをして場を持たせなきゃならない。
「タ、タイ子さん‥‥」
「は、はい!」
「今日は本当にいいお天気ですね!」
「え、ええ‥‥」
またさっきと同じようなことを言いながら、ノリスケ君の右腕は、ベンチの背もたれのあたりを上に行ったり下に行ったりしていた。何とかタイ子さんの肩を抱きたいと思う自分と、最初のデートで肩を抱くなんて嫌われてしまうんじゃないだろうかという自分との間で、ノリスケ君の心は揺れ動いていた。でも、頬を染めてうつむいているタイ子さんは、ノリスケ君からのアプローチを待っているようにも見えた。
そして、そんな2人の純情すぎる初デートの様子を、物陰からずっと眺めていたアメリカ人の紳士がいた。立派なヒゲをたくわえたその紳士は、ノリスケ君の顔に見覚えがあったため、彼女らしき女性を連れているノリスケ君の姿を見て、反射的に物陰に隠れ、2人の様子を見守っていたのだった。
と、その時、タイ子さんが座る向きを変えようと少し腰を浮かせたため、上下に動いていたノリスケ君の指先が、タイ子さんの肩にコツンと触れてしまった。「キャッ!」「タ、タ、タイ子さん!す、すみません!」「い、いいえ‥‥突然で驚いただけです‥‥お気になさらずに‥‥」「す、すみません!」
このやり取りを見ていた紳士は、とうとうシビレを切らせて物陰から飛び出した。そして、ベンチの2人の前に仁王立ちになり、右手をまっすぐに伸ばしてノリスケ君の顔を指さし、大きな声でこう言ったのだ。
「青年よ!タイ子を抱(いだ)け!」
多くの人がウスウスとこのオチを予想してたと思うけど、奥手なノリスケ君の様子にシビレを切らせて飛び出してしまったこの紳士こそが、ノリスケ君の大学の教頭、ウィリアム・スミス・クラーク博士だった。クラーク博士は、教頭でありながら教鞭も取っていたので、学生であるノリスケ君の顔に見覚えがあった。それで、とっさに物陰に隠れて2人の様子を見守っていたのだが、ノリスケ君からのアプローチを待っているように見えるタイ子さんに対して、いつまでも行動を起こさないノリスケ君を見ていられなくなり、つい、飛び出してしまったのだ。
しかし、この時のクラーク博士の言葉がキッカケで2人は恋人同士になり、卒業後、結婚して東京で暮らすようになった。つまり、クラーク博士は、ノリスケ君にとって恩師であるだけでなく、タイ子さんと結び付けてくれた恩人でもあったのだ。そして、ノリスケ君とタイ子さんは、結婚して1年目に可愛い男の子を授かったが、2人はこの子に「イクラ」と名づけた。これは、2人が出会った北海道を代表する魚である「サケ」にちなんだもので、もしも女の子が生まれていたら「スジ子」と名づける予定だった。
また、この「イクラ」という名前は、タイ子さんの「イ」と、クラーク博士の「クラ」を合わせたものでもある。ノリスケ君は、愛するタイ子さんの名前から1文字を、そして、そのタイ子さんと自分とを結び付けてくれたクラーク博士の名前から2文字を、それぞれいただいた今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?
‥‥そんなワケで、もちろんこれは、あたしが考えた二次創作(笑)だ。実際の『サザエさん』に登場するノリスケさんとタイ子さんは、今から半世紀以上も前に登場したキャラという時代背景もあり、当時はポピュラーだった「お見合い」で結ばれてる。
で、なんでこんな変なお話をマクラに書いたのかと言うと、今、ハワイで行なわれてるTPP交渉の閣僚会合で、12カ国間の「著作権」に関して、日本の甘利明TPP担当大臣は米国案を丸飲みしちゃう見通しで、そうなった場合、こうした「二次創作」はすべてアウトになっちゃうからだ。昨日28日の新聞報道によると、著作権保護期間は「作者の死後70年」で統一し、著作権侵害の「非親告罪化」で合意する見通しだという。
昨日28日の文化放送「くにまるジャパン」のコメンテーター、エコノミストの吉崎達彦氏によると、今回の会合の場所が「ハワイ」だという点がポイントだそうだ。ハワイはオバマ大統領の出身地なので、この会合で「大筋合意」ということになれば、このTPPは「2015年のハワイ合意」と呼ばれることになり、オバマ大統領の功績の1つとしての名声度が高くなる。
つまり、今回の会合の場所が「ハワイ」に決まった時から、「大筋合意」のシナリオは出来上がっていたということだ。細かい部分では合意に至らない点があったとしても、それは後から何とかスリ合わせるとして、とにかく「大筋合意」で、みんなで拍手をして会合をシメて、めでたし、めでたし‥‥っていうシナリオだ。
で、このまま「大筋合意」になれば、「著作権」に関しては米国案を丸飲みすることになり、著作権侵害は「非親告罪化」になる。これについて、昨日の文化放送「くにまるジャパン」の中で、吉崎達彦氏は次のように私見を述べた。
「TPP交渉で日本政府は著作権問題をそれほど重要視していない。このまま米国案を受け入れることになれば、日本は法整備を余儀なくされ、著作権侵害は「非親告罪」になり、現在は黙認されているコミケなどの二次創作もアウトになる可能性が高い」
「盗作」や「パクリ」が著作権侵害なのは当たり前だけど、著作権のある既存のキャラや設定を元にした「二次創作」も、著作権所有者に無断で製作したり販売しているものは、著作権侵害に当たる。でも、現在の日本の著作権侵害は「親告罪」なので、著作権所有者が訴えない限り、罪にはならない。で、「二次創作」の大半は、原作に対する「愛」があり、一般には流通していない同人誌などを媒体としているため、ファン活動の延長のような位置づけになっていて、ザックリと言えば「黙認」されているのが現状だ。
もちろん、著作権所有者に訴えられたら罪になるワケだから、まったく問題のない行為とは言えないけど、金儲けのために有名作品を丸ごとパクって違法に販売してる「海賊版」などとは、まったく違う。だけど、今回のTPPで著作権侵害が「非親告罪」になれば、たとえ著作権所有者が「黙認」していたとしても、警察の腹ひとつで逮捕することができるようになる。コミケの会場に私服刑事が集団で乗り込んで来て、「二次創作」の同人誌を並べている人たちを一網打尽にすることも可能になる。
ま、誰からの訴えもないのに警察が自発的に同人誌を取り締まるようなことはあまり考えられないけど、誰かから訴えがあれば警察は捜査しなきゃならなくなる。「非親告罪」になれば、著作権所有者ではない一般人でも訴えられるようになるから、たとえば、自分の気に食わない「二次創作」の作者を狙い撃ちで警察に密告するような人が出て来るかもしれないし、それどころか、「二次創作なんてやってる奴らはみんな気に食わない」という人が、誰彼かまわずにカタッパシから警察に訴える可能性もある。
ひとことで「二次創作」と言っても、それこそピンキリで、原作のファンの多くが高く評価している素晴らしい作品もあれば、著作権侵害だけでなく児童ポルノ法にも抵触しているような「おいおい!」なものもある。だから、「二次創作」と言うだけで何から何まですべてを一括りにして論じることはできないけど、あたしの感覚では、すでに「二次創作」は新たなカルチャーとしての世界を構築していると思う。
かつては漫画やアニメがサブカルチャーと呼ばれてたけど、その漫画やアニメが日本を代表するカルチャーの1ジャンルへと格上げされた今、こうした「二次創作」は、漫画やアニメに付随したサブカルチャーという位置づけになっていると思う。海外にも「パロディー」という文化があるし、日本の「二次創作」のように既存の漫画やアニメをベースにして作られた作品もある。でも、日本の「二次創作」は、そうした海外の「パロディー」とは一線を画した独特の世界観があり、日本独自のサブカルチャーと言っても過言ではないと思う。
だから、あたし個人の感覚で言えば、せっかく一定のサブカルチャーにまで成長した日本の「二次創作」を、著作権侵害の「非親告罪化」などで潰してしまうのはホントにもったいないと思うし、日本を代表するカルチャーの1つとして漫画やアニメを世界へ発信して行く「クールジャパン」にも逆行していると感じる。逆に、「黙認」という現在の曖昧な形ではなく、原作の著作権保有者の権利を守りながら「二次創作」の作者の立場も保護できるような、日本独自の法整備こそが必要だと思う。
‥‥そんなワケで、民主党政権下の2012年12月の衆院選で、自民党は全国各地に「TPPへの交渉参加に反対!比例は自民党へ」「ウソつかない。TPP断固反対。ブレない。自民党」というポスターを貼りまくり、各候補者も「TPP断固反対!」と訴え、294議席を獲得して大勝、政権に返り咲いた。この294人の当選議員のうち、3分の2にあたる約200人が「TPP反対」を積極的に個人的な公約に掲げて選挙を戦っていたし、自民党自体の公約にも「聖域なき関税撤廃を前提にする限り交渉参加に反対」と明記してあった。
だけど、皆さんご存知のように、自民党が政権に返り咲いたわずか3カ月後の2013年3月、安倍晋三首相は「TPP交渉への参加」を発表した。ここまでロコツだと、「公約違反」と言うよりも、もはや「公約詐欺」だろう。「日本の農業を守るためにTPPには断固反対!」と連呼して、全国の農家の人たちの票を集めて当選した自民党の200人もの衆議院議員たちが、安倍晋三首相の掲げた「米国主導」の旗のもと、いっせいに有権者を裏切ったのだ。
そして、自民党政権は、当初こそ「コメ、麦、牛肉・豚肉、乳製品、砂糖の重要5品目の聖域は死守する」なんて言ってたけど、今、どうなってるのかは、連日の報道で一目瞭然だろう。日本は米国との2国間協議などという茶番劇で次々と「聖域」に手を突っ込み始めた。多くの有識者が、このまま進めば日本の農業は壊滅すると指摘している。
‥‥そんなワケで、かつて小泉純一郎首相は「公約を守らないことなど大したことじゃない」と国会の答弁で言い放ったけど、その伝統をミゴトに引き継いでいる安倍晋三首相も、まったく同じ考えだ。選挙時の公約など、票を集めるための「絵に描いた餅」であり、馬の前にぶらさげる「ニンジン」だとしか思っていない。だから、「TPP反対」という選挙時の公約を反故にするための言い訳として国民に約束した「聖域」にしても、わずか2年で「なかったこと」にされてしまったワケだし、最初から重要視していなかった「著作権」に至っては、何の抵抗もせずに完全に米国の言いなりというワケだ。官僚の操り人形の甘利大臣は、「著作権」の項目で米国案を丸飲みすることが日本にとってどれほどマイナスなのか、著作権侵害の「非親告罪化」が日本のカルチャーにとってどれほどの弊害を生み出すことになるのか、きっとタラちゃんほども理解していないと思う今日この頃なのだ。
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