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小沢一郎氏(C)日刊ゲンダイ
安保法案を潰す秘策を話そう/小沢一郎 <第4回>理念や原則論を問い質せば安倍首相はほころびが出る
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/162067
2015年7月27日 日刊ゲンダイ
強行採決後に安倍政権の不支持率が支持率を大きく上回ったという。世論調査はあてにはできないと思っているけれど、各社がすべてそういう傾向だということは、安倍政権のやっていることはおかしいというのが、国民の意識の大勢なんだと思う。
安保法案は憲法に違反し、憲法をないがしろにして、事実上、内閣主導で海外派兵をできるようにするものだ。ところが、安倍首相は衣の下の鎧を隠すために、相変わらず意味不明の言葉遊びをしている。国民は本能的に、怪しい、うさんくさいという気持ちを持つようになっているのだろう。安倍首相はテレビに出演した際、集団的自衛権の説明を「火事」に例えたが、全く次元の違う話で、頭がどうかしている。本音を隠そうとするから、余計へんちくりんな例えになってしまうんだ。
しかし、そんな例え、官僚が考えたのだろうか? とにかく、この間の官僚の劣化は深刻だ。安保法案は、内閣法制局を筆頭に、外務省、防衛省の役人が認めた結果なんだろうけれど、鎧を隠すための衣の作り方までがあまりにも稚拙だ。官僚機構というのは、どうしようもなく無駄が多くて、のろまで、威張り散らして、よくないところばかりだが、それでもやっぱり優秀だというのが取りえ。ところがこの始末だ。私は日本の官僚機構そのものの劣化を大変憂えている。
これから参院での審議になる。安倍首相は参院で野党の一部を引っ張り込みたいと考えているようだが、極めて姑息な話だ。自分のやっていることに自信がないことの裏返し。野党は絶対、やすやすと乗ってはいけない。
そもそも今回の法案は違憲だから、修正して成立させるという類いのものじゃない。対案を出して、談合して、文言だけいじくって厚化粧してやろうなんてことは絶対ダメ。この問題はもっと深刻に考えないといけない。一部が「なぜ対案を出さないのか」という世論の批判を恐れているのだとしたら、全く気にすることはない。どだい違憲の法律に対案を出すなんてことはあり得ない。また、仮に、いま憲法の理念と原則にのっとった法案を出しても国会は通らない。政権を取ったら、我々が憲法にのっとったきちんとした法案を出す。だから選挙で我々に多数を与え、政権を与えてくれ、と言えばいいんだ。
参院の審議では、衆院でやれなかった理念や原則論を議論すべきだと思う。ポツダム宣言、極東軍事裁判、サンフランシスコ講和条約、日本国憲法のそれぞれについて、安倍首相にどう考えているのかを問い質す。憲法9条を否定するのか、そうじゃないなら、9条をどう思っているのか。衆院では共産党の志位委員長がそうした原則論でいい追及をしたが、時間が短かった。参院ではもっと時間をかけて、徹底的にやるべきだ。法案の根源はそこにあるのだから。そうすれば安倍首相は間違いなく答弁に窮し、ほころびが出るだろう。安倍首相の言葉遊びに引きずられてはダメ。良識の府に期待している。
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