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達人政治家の処世の極意 第十回「小沢一郎」
http://wjn.jp/article/detail/4703886/
週刊実話 2015年7月30日 特大号
■手紙の効用は抜群だ。直筆の礼状が書けるか。その律義さが支持をつくる
長く永田町取材をしている中で、小沢一郎(現「生活の党」代表)ほど毀誉褒貶の多い実力政治家を知らない。「傲慢」「不遜」「壊し屋」「ワガママ」「敵味方を峻別する」「惻隠の情がない」「側近政治」等々が厳しい見方で、ホメ言葉は、比べれば少なく「剛腕」「勝負師」といった具合。主に政局の際の強引ながら強力なリーダーシップに限定されることが多い。
なるほど、最近は政局表舞台への出番を欠いて無聊をかこつ体だが、民主党政権樹立までの約20年間は小沢ひとりで政局を引っ掻き回し、逆に言えば小沢ひとりに引っ掻き回された政局であった。
平成4年12月に自民党竹下(登)派を割って一派を築いたうえで、新生党を立ち上げて自民党を離脱したのが“事始め”。やがて「非自民」の8党派をまとめ上げて細川(護熙)連立内閣を誕生させ、それまで38年間続いた自民党を政権から引きずり降ろした。同時に、この連立政権を軸に新進党として大団結政党を構築、しかしその新進党も解散、自らは自由党を設立した。その後はこの自由党を操って「自自」さらには「自自公」連立政権をつくったがやがてこれも解消。次いでは民主党政権を樹立させてまたまた自民党を政権の座から引き降ろしてしまったといった具合。まさに「壊し屋」の“面目躍如”全開である。
さて、こうした小沢と筆者の付き合いは、今年でじつに46年の長きになる。小沢が、田中角栄が自民党幹事長として指揮を執った昭和44年12月の総選挙で初当選を飾った直後、まだ永田町取材ヨチヨチ歩きの筆者が取材で会ったのが出会いである。以後、取材で会い、時に酒を飲んで小沢の“本音”を窺うこともある。そうした中で発見したのは、世評が小沢という人物の本質を「傲慢」「不遜」という見方で括ってしまうのは、ちょっと違うのではということだった。そうした背景は、物事を相手が納得するまで意を尽くさぬ説明不足から来ており、神経は細かく、書生的な愚直さが側面にあると見抜いた。要は、世渡りが“ぶきっちょ”ということである。
そのうえで、律義な側面も垣い間見ている。律義さの欠けた人物が、まがりなりにも支持を集め、多数の政治家を引っ張っていくことは不可能である。小沢は筆者にポロリと言ったことがある。「僕は世話になった人には、きっちり礼状を書くんだ」と。筆者もかつて、小沢が主宰する「政治塾」で講師として話をしたあとなど、必ず礼状をもらったものである。かつて自民党で小沢と行動を共にした議員が、こんな証言を残している。
「ワガママなところはあるが、物事のメリハリには厳しい男だ。選挙で企業や団体に票の依頼に行ったあとは、必ず直筆の丁寧な礼状を出していた。これは、政治の師である田中角栄元首相から学んだともっぱらだ。角さんは世話になった人には、時には巻き紙に直筆の長文の礼状を書いていた。頭だけ下げてハイそれまでよではなく、なかなかフォローが利いているのが小沢だ。相手は、この律気さに参ってしまうということになる。なるほど、“選挙のプロ”の極意を見た思いで、多くの支持を背景に政局に影響力を持つゆえんだ」と。それが、表題の言葉として要約される。読者諸賢は、小沢のこうした礼状による律義さの効用を学べということである。
しかし、礼状というものは通り一遍のものを出せばいいというものではない。心がこもっていなければ相手には有難味がない。筆者が敬愛するある長老弁護士も、仕事によっては礼状を、また弁護依頼者への激励の手紙をよく書く“筆まめ”な人だが、筆者が若い頃、礼状のポイントを教えてもらったことがある。彼は言った。
「文章は人柄が表れる。うまく書こうとするから失敗する。稚拙でもかまわない、自分の思いをありのままに書けばいい。自信を持って等身大の自分を見せる中で、心からのお礼の意を伝えればいいということだ。そうすることで必ず“次”につながる。人間関係を、広めて支持を得る結果になる」と。
要諦が一つある。礼状は、必ず“書く”ことだ。メールでのそれは最悪だ。容易に済ませれば礼意は軽くなり、むしろ相手方の反発を招きかねない。FAXもやや軽い。直筆に限るということである。小沢という「異端児」のこうした律義さの側面は、見習って損はない。
=敬称略=
■小沢一郎=自治大臣(第34代)、国家公安委員会委員長(第44代)、自由民主党幹事長(第26代)、新生党代表幹事(初代)、自由党党首(初代)、民主党代表(第6代)、民主党幹事長(第9代)、国民の生活が第一代表(初代)などを歴任。
小林吉弥(こばやしきちや)
永田町取材歴46年のベテラン政治評論家。この間、佐藤栄作内閣以降の大物議員に多数接触する一方、抜群の政局・選挙分析で定評がある。著書多数。
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