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安全保障関連法案の採決前に退席する民主党議員ら=16日、衆院本会議場(斎藤良雄撮影)
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150723/plt1507230800002-n1.htm
2015.07.23
安全保障関連法案は16日の衆院本会議で、自民、公明両党の強行採決で可決され、衆院を通過した。民主党を含む野党各党は反対討論には出席し、「同法案は憲法違反の疑いが強い」「基本的論点すら、政府の答弁が極めて曖昧」などといった反対理由を明確にしたうえで、強行採決への抗議の意を表明するため、採決時に退席した。
衆院通過を受けた報道各社の世論調査で、安倍晋三内閣の支持率が大幅に下落し、支持と不支持が逆転した。国民の方々の「安保法案に反対」という明確な意思を示しているといえる。
安倍首相は国会答弁などで「国民の理解が広がっていない」ことを認めたが、実はまったく逆で、国民の理解は深まっていると思う。つまり、「安保法案は問題が多々ある」という認識だ。
その証拠に、私は三連休で、仙台や京都で街頭演説を行ったが、想像を超える多くの方々が関心を持って集まってくれた。「あれは戦争法案だ」と断言する方から、「もう少し、丁寧に議論すべきだ」という方まで、考え方はさまざまだが、強行採決への反対では一致していた。
今後、議論の舞台は参院に移る。
民主党としては、周辺事態法やPKO法の対案ならば、いつでも出せる。ただ、早く提出すれば、政府案の追及に時間を確保できない。結果的に、政府案の問題点がうやむやになってしまう。
加えて、10本の法案を一括した法案なので修正もできない。憲法違反の疑いが強い集団的自衛権行使を可能とする法案が含まれているからだ。政府が本気で修正を望むなら、法案をバラして、提出し直すべきだ。
同法案については、この連載でも以前から「安全保障政策の大転換であり、国のかたちを大きく変えかねない」として何度も警告してきた。安倍首相が本気で日本を取りまく安保環境の変化に危機感を覚え、法改正の必要性を感じているなら、昨年7月、安保法制の与党協議がまとまった後、集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を行う前に、野党に協議を呼びかけるべきだった。
だが、安倍政権が与野党協議を呼びかけることはなく、こともあろうに、法案提出前に米議会上下両院合同会議で法案成立を約束してしまった。そして、国会ではまともに答弁すらできない。野党とも話し合い、国民に広く合意を得ようという姿勢が全く感じられない。心から反省してもらいたい。
さて、2020年東京五輪のメーン会場となる新国立競技場の建設計画が、安保法案の衆院採決翌日、白紙撤回された。国民の方々も、常に内閣支持率を意識して意思決定する、安倍政権のあざとさを感じているのではないか。
遅きに失したとはいえ、見直しの判断自体は是とするが、総工費が当初予算の1300億円から2倍近く(2520億円)に膨らみながら、問題が放置され続けてきたことが異常だ。
新国立競技場の建設を東京五輪に間に合わせるだけでなく、判断が遅れた理由、安倍首相や下村博文文科相の過去の発言との整合性など、しっかりと検証してほしい。意思決定と責任のあり方を見直さないと、同じ愚を繰り返しかねない。 (民主党代表)
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