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田原総一朗(撮影/写真部・堀内慶太郎)
田原×鳥越対談「総裁選で石破立候補、進次郎の加勢で互角」(田原)〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150723-00000004-sasahi-pol
週刊朝日 2015年7月31日号より抜粋
“独裁”状態だった安倍政権に今後、「乱」は起こるのか。かつて「首相でいる間は趣味の右翼をやめてほしい」と安倍氏に警告したジャーナリストの田原総一朗氏。中東特派員経験から「日本でもテロが起こる」と予言する鳥越俊太郎氏。2人のジャーナリストが徹底討論した。
* * *
田原:安保法制で紛糾する国会で、気になる動きが出てきました。今まで安倍晋三首相を批判してこなかった石破茂地方創生相が、強行採決直前の7月14日の会見で「国民の理解が進んだと言い切る自信はない」と発言した。僕はこれ、もしかすると石破氏が9月の自民党総裁選に出る可能性が出てきたと思う。
鳥越:石破さんがあそこまで言い切ったのは、ちょっと大きいですね。半ば公然と発言したわけですから。
田原:あの発言を受けて、自民党の何人かの幹部が「重大な失言だ」とコメントしていました。それだけショックなんですよ。
鳥越:今後、法案を強行採決すると、支持率はおそらくさらに下がる。30%まで落ちるかもしれない。株価もギリシャとか中国の問題で乱高下していますが、今後、上がっていく目はなく、アベノミクスも落ち目になる。そういう条件がいろいろ重なると、地方の党員が石破さんを支持する可能性がある。
田原:石破氏は今秋の総裁選で勝てるとは思っていないかもしれない。下手をすると、来夏の参院選で自民党が負けるという展開を読んでいるんじゃないかな。そうすると、今秋の総裁選に出ておく必要がある。
鳥越:そこは石破さんの読みですよね。もう諦めて出ないか、最後にもう一回チャレンジするか。「男だろ、体張れよ」と言いたいな。
田原:二階俊博総務会長も新国立競技場などで安倍さんにくぎを刺している。大物が声を上げだして、雰囲気が変わってきたんじゃないか。もう一つのポイントは、石破氏が総裁選に出るとき、小泉進次郎氏がどう動くか。2012年の総裁選でも、進次郎氏は最後まで石破氏支持でした。今回も強行採決後、「これだけ、法案に理解が得られていない原因の一端は自民党にある」と、党の方針を批判した。
鳥越:進次郎氏もついたら、地方の党員票ではおそらく前回の総裁選と同じく石破氏が勝つでしょう。問題は永田町の国会議員票です。石破さんは永田町にいまひとつお友達が少ない。永田町に「安倍さんじゃダメだ、参院選は危ない」という空気が出てこないと難しいでしょう。それは、今国会の結末がどうなるかにもかかってますね。
田原:実は、軍事問題に詳しい自民党のある幹部は「安倍さんの安保政策はおかしい」と言っている。集団的自衛権でアメリカが危機のときに日本が助けるようになったら、日米安保のあり方そのものが変わる。そこまでやるなら、沖縄の米軍基地をもっと減らせと言うべきではないかと。辺野古移転などではなく、普天間基地は国外へ出ていけということです。
鳥越:安倍さんは沖縄についてまるで関心がなさそうですね。現実には米国防総省の一部に、沖縄に海兵隊を置く必然性はないと言っている人もいる。ちゃんと交渉すれば、可能性はあるんですよ。
田原:なんでやらないんだろう。橋本龍太郎首相、小渕恵三首相の時代には、野中広務さんや梶山静六さんが沖縄に行って必死に説得して、一時的に沖縄は辺野古移転をOKするんですよね。そういうことを、今の自民党はまったくやっていない。
鳥越:やはり、今の国会議員に戦争を知る世代がいなくなったからでしょう。僕は福岡の田舎のほうで生まれたんですが、幼稚園のころ空襲警報のサイレンが鳴ると、先生が「家に帰りなさい」と言って、防空頭巾をかぶって駆けて帰って、家の中につくった防空壕に飛び込んで潜んでいた。時々間に合わなくて頭上に米軍の飛行機が飛んでくると、田舎だから爆弾も銃弾も落ちてこないけれど、道沿いの小川に飛び込んでじっとしていた。
(構成 本誌・小泉耕平)
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