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フリーランス表現者43人が提起した秘密保護法違憲訴訟の原告本人尋問終了後の報告会。左から原告代理人・堀敏明弁護士、原告・寺澤有氏、原告・林克明(筆者)、原告代理人・山下幸夫弁護士。6月3日、弁護士会館
日本、戦争開始が容易に 開戦理由は秘密、秘密情報取得した人は逮捕起訴
http://biz-journal.jp/2015/07/post_10813.html
2015.07.22 文=林克明/ジャーナリスト Business Journal
自民・公明両党が7月15〜16日、「戦争法案」と揶揄される安全保障関連法案を衆議院特別委員会、衆院本会議で立て続けに強行採決した。今後、参議院で60日間経ても採決できなければ衆院に戻し、議員の3分の2以上の賛成で法律を成立させるという与党側の目算だ。
圧倒的大多数の憲法学者や歴代の内閣法制局長官が、安保法案を違憲と指摘している。憲法98条は違憲立法を禁止しているにもかかわらず、その違憲立法ともいえる法案の採決を強行したのだから、独裁政治の始まりとの指摘が多いのも当然だろう。
まさに民主主義の危機だが、その危機を拡大させるのが「特定秘密の保護に関する法律」(特定秘密保護法)の存在だ。防衛やテロ情報などを行政庁の長が特定秘密に指定し、国民への公開義務がなくなる。何が秘密かは秘密なので、ごく一部の人しか内容は知らされない。
したがって意図しなくても、特定秘密を取得したとして突然逮捕起訴され、重罰に処せられる可能性のある法律なのだ。
以前から、「安保関連法を実際に運用させるためには、秘密保護法は不可欠な存在」と指摘されていたが、ここにきてその姿をはっきりと現し始めた。
7月1日、中谷元・防衛大臣は、衆院特別委員会において重大発言をした。集団的自衛権を行使するか否かを判断する情報について、(1)特定秘密保護法の適用される情報が含まれる場合もある、(2)情報源や具体的な数値は明示しない、という趣旨である。
つまり、根拠となる情報や情報源を秘密にでき、なおかつ政治家や官僚が責任追及されないのだから、安心して開戦を決定できる。秘密保護法は、戦争を実行可能にするために利用できることが明確になった。
■フリーランスの報道の自由は確保されるのか
このような状況は当初から予想されていたため、フリーランス表現者(ジャーナリスト、編集者、映画監督、写真家など)43人が2014年3月、秘密保護法は報道の自由、言論表現の自由を保障した憲法に違反するとして国を相手取り訴訟を起こした。筆者も原告の一人である。
裁判の論点の一つは、フリーランスの取材報道の自由が確保されるかどうかだ。秘密保護法22条には「国民の知る権利の保障に資する報道又は取材の自由に十分に配慮しなければならない」とあり、出版または報道の業務に従事する者の取材行為は、正当な業務による行為とされている。
果たして、フリーランスは報道従事者と認められるのか?
法律制定時の森まさこ担当大臣は、「フリーランスも報道従事者とみなす」と発言したが、現在進行中の裁判で、その発言が真っ赤な嘘だとわかった。
当然のことながら原告は、自らが報道従事者と認められ、秘密保護法によってその活動が妨害されることがないか被告の国に確認している。
例えば、被告・国に対して次のような「求釈明書」を送った。
「被告は、特定秘密保護法22条2項の『出版又は報道に従事する者』には、『フリーのジャーナリスト』を含むとの森まさこ国務大臣による国会答弁を引用しているが、(1)『フリーのジャーナリスト』とは何を指すのか、その定義を明らかにされたい。(2)原告らの中には、ルポライター(原告明石昇二郎、原告姫野琢己)、インディペンデント・ウェブ・ジャーナル(IWJ)のスタッフ(原告原佑介)、映画監督(原告早川由美子)、編集者(原告大森真実、原告中川亮)、ライター兼編集者(原告丸田潔、原告山岡俊介、原告藤野光太郎)、ノンフィクションライター(原告木元英策)がいるが、これらの者も『フリーのジャーナリスト』に含まれるという趣旨か」
ところが国は、一向に答えようとしなかった。そこで3月12日に行われた第5回口頭弁論では、原告代理人の山下幸夫弁護士が、口頭で上記のフリーランスの人々は報道の自由が確保されている「フリーのジャーナリスト」に当たるのか追及した。
法廷では、またしても国は明確な答えを避けた。
■隅から隅まで情報統制される
それからしばらくたった6月3日付で、国は「求釈明書に対する回答書」を出してきた。その内容は、次のとおりである。
「ルポライター、インターネット報道関係者、映画監督、編集者、ライター兼編集者、ノンフィクションライターといった名称・肩書のみから、『出版又は報道の業務に従事する者』、すなわち『不特定かつ多数の者に対して客観的事実として知らせることや、これに基づいて意見又は見解を述べることを職業その他社会生活上の地位に基づき継続して行う者』に当たるか否かを判断することができない」
極めて重大な回答だ。なぜなら、権力の恣意的判断により、原告の大半が「報道の業務に携わる者」と認められないこともある、と明言したからである。
7月現在の全体状況を整理すると、こうなる。
中谷防衛大臣の発言にもあるように、集団的自衛権行使(武力行使)の決定の基になる情報は、国権の最高機関である国会にも伝えられず、新聞・テレビなどの記者クラブメディアも報道できず、その隙間をフォローするべきフリーランスの取材・報道・表現の自由まで侵される。もとより、ブロガーや市民団体などの情報アクセス権と言論表現の自由は確保されていない。
つまり、上から下まで、隅々にまで情報統制と言論統制がまかりとおるわけで、まさに独裁政治を進める強力な武器として秘密保護法が位置づけられるのだ。これは是が非でも廃止させなければならない。
(文=林克明/ジャーナリスト)
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