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フジテレビ『みんなのニュース』Facebookより
離れ、振り込め詐欺、生肉…安倍首相の説明がワケわからなさすぎで支持者も困惑! 安保法制PRのつもりでフジに生出演したのに
http://lite-ra.com/2015/07/post-1307.html
2015.07.20. リテラ
本日、安倍晋三首相が、フジテレビの夕方の報道番組『みんなのニュース』に生出演した。番組出演の意図は〈「国民の理解が進んでいない」と認める安全保障関連法案に関し、自ら国民への説明に乗り出す〉(産経ニュース)ということだったが、蓋を開けてみれば、集団的自衛権を“強盗に入られたスガくん、ケンカに強いアソウくん”というニコニコ生放送でのたとえ話につづき、安倍首相はまたしても“ご近所さんの火事”という設定に置き換えて展開した。
しかし、司会の伊藤利尋アナウンサーいわく「総理肝いりの」模型まで使って安倍首相は火事の説明をはじめたのが、その説明がわけがわからない。
「アメリカの家が燃えて、横にある離れにも火が燃え移っても、日本は何もしない。でも、離れの火がぎゅーときて、日本の家が燃えたら日本の消防士がはじめて出てくるけど、これからは風向きでアメリカの離れの火が日本の家まで来そうなら、日本の消防士は道の上から離れの消火活動ができる。でも、アメリカの家までは行かない」
アメリカの家の離れ? 家までは行かず道の上? 生肉にしか見えない炎の模型もさることながら、たとえ話なのにもはや何を何にたとえているかさえわからない状態。これにはコメンテーターの津田大介も「消防士が出なくても、隣人の誘導とか子どもの安全を確保するとか、後ろからできることもあるのでは?」と疑問を投げかけたが、安倍首相はいつもの「日米同盟の絆」をもちだして正当化するだけだった。
また、「どうしてこんなに焦っているのか?」という疑問には、戸締まり論をもちだし、「かつては雨戸だけを閉めておけば泥棒を防いで、家の財産は守れた。でも、いまはどうでしょう。たとえば振り込み詐欺なんて、電話がかかってきますね。それへの対応もありますし」と回答。それもう、戸締まりの話ですらないんですけど……とつっこまずにはいられなかった。
同じくコメンテーターの犬山紙子が「日本でテロが起きる可能性もあるのでは?」と尋ねたときも同様だった。安倍首相は「まったくないですね」と言い、犬山は日本でテロが起きる可能性を指摘しているのに、「海外で日本人がテロに巻きこまれたら」と、なぜか海外の話にすり替えて説明しはじめたのだ。
……とまあ、一事が万事この調子で、対話による回答にはまったくなっていなかった。
だが、そうした一般視聴者の感想とは別に、この放送に怒りをたぎらせているのは、安倍首相を神と崇めるネトウヨたちだ。彼らは一様に「伊藤アナは安倍さんに失礼すぎ」「犬山紙子?なんだこいつ。バカ国民の代表みたいな質問するな」「あー。クソみたいな番組作りに、くそコメンテーターで、安倍さん可哀想」「フジじゃなく日テレに出れば良かったのに」などと立腹。フジテレビや伊藤アナ、犬山、同じくコメンテーターとして出演していたやくみつるらが炎上状態に陥っている。
しかし、このネトウヨの怒りはお門違いというものだ。そもそも、今回、安倍首相は「自分の言い分をそのまま垂れ流してくれるだろう」という目論見で、わざわざフジテレビを選んだのである。
実際、フジはこれまで、一貫して安保法制について擁護的な態度を取り続けてきた。15日の衆院特別委員会での強行採決時も、フジは「ホウドウキョク24」が生配信を行っていたが、そのときも辻元清美議員が「やめて!」と懇願する様子をフジの西山喜久恵アナウンサーは「(強引に採決されちゃったと)印象付ける方法ですかね」などと実況。事実、強引に採決されようとしていたのだから、この実況こそが“強行採決ではないと印象付ける”ものだった。
さらに、今回、安倍首相が生出演した『みんなのニュース』は、4月の放送でも、米議員のマイク・ホンダ議員を「日系なのに反日」だと報じている。「反日」などというヘイト用語を平気で使う時点で報道番組としてのあり方を疑問視せざるを得ないが、とにかくフジは安倍首相のお仲間スタンスが露骨なメディアだった。
しかも、今回のフジテレビ出演は、安倍─日枝久・フジテレビ会長のトップ同士の談合で決まったものらしい。
安倍首相は今月6日に「本当はテレビ番組に出たいのだが、どこも呼んでくれない」などとぼやいていたが、これは真っ赤な嘘。少なくとも、テレビ朝日やTBSは、安倍首相が番組に出演したいと言えば、応じるつもりがあったという。
ところが、安倍首相はTBSやテレ朝では批判にさらされると怖じ気づき、盟友の日枝に泣きついて「PRの場を」と要請したらしいのだ。
たしかに番組を観ても、犬山、やく、津田らは決して安倍首相に厳しかったわけではかった。一応、ツッコむポーズはとるものの、安倍がトンデモ回答してもさらに追及するわけでもなく、そのまま言わせっぱなし。
さらに、伊藤アナにいたっては、新国立競技場の問題にも「民主党政権時代に決まったなどいろんな背景があるようですが」などと虚偽(決まったのは自民党政権下のこと)のフォローを入れていたし、安保法制についても、安倍首相が火事のたとえ話を行う前から伊藤アナは何度も“疑問を出すのは首相が説明してからで”と念を押していた。
また、ネットでは伊藤アナが安倍首相に安保法制が「中国を想定している」ことを言わせようとしたと批判されているが、むしろ、これは表立っては口にできない安倍首相をアシストしようとしたと考えるべきだろう。
いずれにしても、この日の『みんなのニュース』の進行は明らかに安倍の言い分を語らせてあげようという配慮の行き届いたものだった。それでもこんなことになってしまうくらい、安倍首相の説明がひどかったということである。
しかし考えてみれば、それも当然だろう。犬山も指摘していたが、集団的自衛権は隣人の火事などではなく、人と人が武器を持って衝突するという話。このリアリティをごまかそうとするから、どんな説明を行っても説得力がないのだ。
しかも、国民は安倍首相の本音に少しずつ気がついてきている。本サイトでも何度も指摘してきたように、安倍首相はかつて「日本人も血を流す」「日本人も命をかける」などと、日米同盟をつくると宣言してきた。そして、いまも内輪の講演や懇談でははっきりと「中国との戦争」を意識した発言をしている。
安倍首相の主張は、応援団のメディアすら正当化しようがないくらい、破綻しているのだ。これで、まだ安保法制を強行しようというなら、それはもう「狂気」と呼ぶしかない。
(野尻民夫)
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