毎日新聞が様々な人に新安保法制について考えを聞いている。

　記事の体裁として面白いのは、登場する人の価値観というか政治的スタンスが少しはわかるようにというはからいで、共通の指標として「私の立ち位置」というのが示され、「安倍政権」・「日米同盟」・「村山談話」それぞれに対する評価をたずねていることである。

　現時点で２５人の記事が掲載されているが、興味を引いたのは、「村山談話」が図抜けて高く評価されていることである。
　イコールを含めてだが、３項目のなかで「村山談話」にもっとも高い評価を付けたひとが２５人中２３人に達している。

　そのようななかで「村山談話」にもっとも低い評価を付けた２人が揃って元自衛官（元陸上幕僚長・火箱芳文さんと地雷処理専門家・高山良二さん）だというのも興味深かった。
　これだけのネタで自衛官の方々がすべて同じような考えを持っているとは言わないが、自衛隊内部の教育内容は窺い知れる。

　２５人の「立ち位置」一覧や転載する人たち以外の記事は次のサイトでご覧いただける。

「安保法制　私はこう考える」毎日新聞
http://mainichi.jp/topics/poli_20150527_2138.html

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安保法制・私はこう考える：戦争する覚悟あるのか　漫画家・小林よしのりさん（６１）
毎日新聞　2015年06月18日　東京朝刊

漫画家、小林よしのりさん

　米国に追従して自衛隊が地球の裏側まで行けるようにする安保法制は、いわば「戦争法案」ですよ。わしが嫌いなサヨクみたいな言い方になっちゃうけれど、それが現実。みんな、戦争をする覚悟はできているのか？

　後方支援は、戦争遂行のために兵や物資を運ぶ兵站（へいたん）です。リスクは変わらないと政府は言うが、うそ。真っ先に攻撃される可能性があるし、戦死者が出るかもしれない。そしたらどうやって弔うの？　靖国神社にまつるの？　当然、考えるべきことなのに、政府は考えていない。当事者意識も覚悟も感じられないよ。

　戦死者が出るってこと自体、今の憲法ではあり得ないことで、改正するのが筋でしょ。わしは、日本国憲法は護憲派が言うほど平和な憲法ではないと思っている。「戦力不保持」という建前のせいで、防衛をアメリカに依存せざるを得なくなる。主権を握られているのと同じことで、だから米国の侵略戦争に引きずり込まれてしまう。

　今度の安保法制もその流れにある。自主防衛の体制を整えれば、自立できるのに。現憲法は戦争を助長する憲法ですよ。

　イラク戦争なんて完全に失敗だった。どれだけ中東を混乱させ、罪のない民が殺されたか。そんな戦争を我々が支持してしまったのに、総括をしないばかりか、罪悪感すら感じてない。平和国家なんかじゃないよ、この国は。安保法制でさらに「従米」を強め、同じことを繰り返すの？　わしはもう、うんざりだよ。【聞き手・川崎桂吾】＝随時掲載

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　■人物略歴

　◇こばやし・よしのり

　福岡大在学中に漫画家としてデビュー。代表作に「東大一直線」など。新著は「ゴーマニズム宣言ＳＰＥＣＩＡＬ　新戦争論１」。

http://mainichi.jp/shimen/news/20150618ddm041010057000c.html
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安保法制・私はこう考える：国際的行動、即応可能に　外交評論家・岡本行夫さん（６９）
毎日新聞　2015年07月12日　東京朝刊

外交評論家・岡本行夫さん

　穴だらけだった日本の安全保障体制を正すという点で、今回の法整備はやはり必要だ。恒久法「国際平和支援法案」が成立すれば、国際的な行動にも後手に回らず参加できるようになる。

　２００３年のイラク戦争の際には特措法を作って自衛隊を派遣していた。だが、事態が起こってからの泥縄式の対処だったため国際的な枠組み作りに参加できなかった。

　「日本がテロの対象になる」という議論は的外れだ。既に０３年には、アルカイダは日本も攻撃対象に含めていた。ターゲットになるのは文明国の一つだからだ。また、日本がこれまで他国の攻撃を受けなかったのは日米同盟が抑止力になっていたためで、これからも安保協力はいっそう重要になる。

　一方、安保法制についての政府の説明は分かりづらい。今まで「違憲」だったものが、急に「合憲」になった印象を与える。

　個別的自衛権をハト、集団的自衛権をカラスとしよう。いつまでたってもカラスはカラスだ。その他に別種のハトがいたことが、１９７２年に政府見解を出した時点では見落とされていたのだ。政府はそれを正直に認めるべきだ。

　「別種のハト」とは「他国と一緒になって初めて使える個別的自衛権」のことだ。例えば７９年のイラン革命や８０年代のイラン・イラク戦争のあと危険になった海上での日本船防護。自国船舶も他国船舶も一緒に守りあうのが世界のやり方だ。８０年代から凶悪化したテロから日本人を守るのも同様である。世界は変わったのだ。【聞き手・福富智】＝随時掲載
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　■人物略歴

　◇おかもと・ゆきお

　元外務省安全保障課長。橋本、小泉内閣で首相補佐官を務めた。著書に「砂漠の戦争」「さらば漂流日本」など。

http://mainichi.jp/shimen/news/20150712ddm041010138000c.html
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安保法制・私はこう考える：場当たり的な理屈づけ　作家・佐藤優さん
毎日新聞　2015年05月27日　東京朝刊

作家、佐藤優さん

　安全保障法制を巡る論議に、私は半ば興味を失っている。外務省は法制の課題に一つずつテクニカルな理屈づけをしているが、場当たり的だ。多くの国民はもちろん、防衛や外交を専門に取材する記者たちですら、完全に理解するのは難しいだろう。

　政府は法制整備が必要な理由の一つに「ホルムズ海峡の機雷掃海」を挙げる。だが、米国とイランが接近する中、一体誰が海峡に機雷をばらまくというのか。イスラム過激派組織「イスラム国」（ＩＳ）は海軍を持っていない。

　外務省は米国との約束（自衛隊と米軍の役割分担を定める新しい防衛協力の指針）を最優先に考え、地球の裏まで自衛隊を送れるようにしようと躍起だ。日米同盟は必要だが、客観的、具体的な世界情勢を無視する同省の姿勢は、「自分が見たいと欲するものだけを見る」という反知性主義にほかならない。首相官邸の方は「勇ましく行こう」くらいの感覚でやらせている。

　海外派遣で実際にリスクを負う防衛省が、こうした流れを警戒しているふしもある。派遣の範囲を拡大すれば任官拒否が広がりかねない。違憲訴訟を起こされるかもしれない。具体性を欠く霞が関官僚の「神学論争」に国民がついてきていないのではないか、と不安なはずだ。

　安全保障の議論は本来、単純明快でなければならない。自衛隊は何を守るのか。憲法をどうするのか。斜面に建つ本館の２階と別館の５階を無理につなぐような建築ではなく、建物を支える土台の議論をきちんと積み上げていくべきだ。【聞き手・井上英介】
　　　　◇
　自衛隊の活動範囲を飛躍的に広げる安保法制を、どう考えるか。さまざまな立場から語ってもらう。各回の語り手に、（１）安倍政権（２）日米同盟（３）村山談話（日本の過去の植民地支配と侵略を反省するとした１９９５年８月の村山富市首相公式談話）−−への評価も聞く。（随時掲載します）
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　■人物略歴

　◇さとう・まさる
　元外務省主任分析官。鈴木宗男氏を巡る事件に絡み有罪判決を受ける。著書に「国家の罠」「自壊する帝国」など。

http://mainichi.jp/shimen/news/20150527ddm041010181000c.html

コメント
1. 2015年7月20日 05:21:08 : TuoWck3SVg わたしにはいまだに何が何だかさっぱりわからない。あれよあれよというまに日本が戦争をやれる国になってしまったという感じだ。 わたしらの世代は日本は戦争ができない国だと頭からそう思って生きてきた世代、それが急に何でもできるんだみたいなことになった。 「戦争法案」といえどもまだまだ規制はあるというかもしれないけど、ここまでくれば、あとはどんどん押し切っていくだろう。 これははっきりと憲法違反だ。憲法学者もそういっている。ところがどういうわけか、平気で踏み破っていく人たちがいたのには驚いた。 憲法がこんなかんたんに違反できるものだったとは。だれも止められないとは。 ま、いいでしょう。 この政権を誕生させたのは国民の半分だ。おそらく何不自由なく生きている富裕層に属する人たち、あるいはじぶんでは富裕層だと錯覚している人たちだろう。 痛い目に合わなければ目が覚めない。悲しいかなそこまで日本人は平和飽食に酔ってしまって世界も社会も人間も見えなくなったのだ。
2. 2015年7月20日 06:28:38 : 0owOpScGeU 日米英がイラクにやらかしたことが、この国では「なかったこと」になっている。 イラク国民のために自衛隊を派遣してあげた、みたいになっている。 悪魔の証明がまかりとおる。 他国の戦争に巻き込まれることはない、そりゃそうだ。 法律まで作って武器も持参で、準備万端・喜んではせ参じることを「巻き込まれる」とは言わん。 相手が攻撃の意思を示さなくても「防衛」できるというのは、 イラクにやらかしたことを他でもまたやる、それは防衛だ、と言ってるんだ 先に殴って反撃するとはおそれいる 日本語がグダグダだ。 イラクで大量破壊兵器見つけてこい。 持ってなかったという証拠はない。フセインはとっくに見つかってるぞ。 兵器探しが嫌なら、ごめんなさい　して来い。
3. 2015年7月20日 08:05:42 : N4qwxcBMP6 村山は自社さ政権時の首相所信演説で自衛隊合憲と日米安保堅持と発言した地位に目がくらんだ嘘つきでしょ。 首相になるまでの社会党で当選して自衛隊違憲と叫んできた４０年間は何だったんでしょう。 今、拡大安保反対、原発反対と叫んでる奴らも同じ穴のむじなじゃないのかな。
4. 2015年7月20日 08:17:01 : OGCCgWlEHA この法律を、村山談話の村山氏が出してきたのなら戦争法案ではないのだろうとみんなが思う。また、その内容も違っているだろう。 今回は、戦争が好きそうな安倍氏が出して来たので戦争法案だと言われるのである。また、実際そうとしか思えないような内容である。 お仲間の橋下氏が出してきても同じじゃないか。 戦争を煽る政治家は沢山いたし、煽られる国民も沢山いた。 戦争は、政治家の政治下手で起こるのである。
5. 2015年7月20日 08:38:17 : bB5iqqPqkg 山谷大臣を見ても喧嘩犬に調教されたものはあほばかりか。やはり厳しい文民統制が必要だ。石原莞爾も板垣もアレダッタだったのか。
6. 2015年7月20日 09:07:07 : LW7R783KGs 岡本行男ってのは詭弁だね。本人も薄々わかっていて、言ってるからたちが悪い。
7. 2015年7月20日 09:40:34 : wuTgFF1a8H この安保法制で自衛隊は米軍の傭兵になったということ 日本人がアメリカの資本家のために血を流す
8. 2015年7月20日 12:19:24 : w3M1BHSquE 安倍政権と馬鹿ウヨどもが、躍起になればなるほど 護憲派は逆に増えている動かざる現実 そして馬鹿ウヨどもと 歴史修正主義者たちが それこそ必死になって否定する村山談話は ますますもって存在感を増すと言う 痛烈なる皮肉　村山さんは もはや神話とも言える存在 中国韓国からは 英雄扱いされるようになったのは周知の事実　村山さんは 今が一番の絶頂期だろう （村山談話が出された当時は 内外から ほとんど評価などされなかったのに） だから、こういう連中を【馬鹿ウヨ】と呼ばせて貰うのです 「はだしのゲン」 を 弊課措置にした騒動も、名作としての評価を再認識させただけだった 「アンネの日記」 が、破損させられた騒動も　逆にそれは宣伝する効果しか無かった 「村山談話」 を、クソミソに扱き下ろす ネトウヨの戯言も 文字通りの逆効果 村山さんはホクホク顔 ホントにこやつ等 ウヨという人種は、世の中の事がまったく見えていない 自己満足のオナニー集団 逆効果ばっかり生み出している うすらトンカチばっかりですな。
9. 2015年7月20日 12:34:48 : B3lwd2IL6U 今、この戦争法案を支持すると、普通の国民から蔑みの目で見られる。 人相が極端に悪い在特会系のおっさんのみになってしまった。すでに確認済である。当方、この法案に反対するデモ、集会にすでに３回参加した。 在日の西欧人は、彼をファシストと呼んでいた。外国人の方が日本人より正しい情報に接している。
10. 2015年7月20日 12:47:08 : w3M1BHSquE 「憲法九条は戦争を放棄していない」 などと、トンデモウヨと 妄想カルトのやりとりが面白いですぜ ↓↓↓　今時、こんな基地外ウヨが いるんですなあ＾＾； http://www.asyura2.com/09/kenpo3/msg/442.html 笑ってやって下さいな＾＾

11. 2015年7月20日 15:02:51 : QmyrjoZuIs アメリカに『憲法改正』ダメ、『村山談話見直し』ダメと言われた。 アベにその後の知恵があるわけでは無い。 厄人には悪慈恵が働くのがいる。 こうすればアメリカが反対できませんよ。 『機密保護法』『戦争法案」 『アメリカがこれに反対すれば内政干渉になる。アメリカといえども反対はでき無い、どうだ参ったか。』 と厄人は鼻高々だ。 だから衆議院での答弁はどいつもこいつもシドロモドロ。
12. 2015年7月22日 13:32:17 : ZGpxYO3B7k だから内田樹さんもいってたけどこの属国状態をどうするかという問題が先にあるのよ。 改憲もそれとセットでなきゃ意味ないし、有害なだけなのに、政府も役所もポチだらけときている。
13. 2015年7月26日 10:56:48 : ciSUjq9CRE 村山談話とは「村山内閣が発行した政府見解」という意味であり、村山1人の妄言ではない
14. 2015年7月26日 10:58:35 : ciSUjq9CRE 村山内閣には、森喜朗や橋本龍太郎など、自民党派閥の全ての代表が名を連ねていて、意味合い としては、日本の政党の公式見解ということである
15. 2015年7月26日 11:00:19 : ciSUjq9CRE ちなみに村山談話の後発である小泉談話も、村山談話を踏襲しており、村山談話に不参加である 公明党も、この時点で村山談話を肯定した形になっている
16. 2015年7月26日 11:02:25 : ciSUjq9CRE 談話に無関係なのは、今や共産党と小沢一味だけという状況であるが、共産党や小沢一味は 村山談話の肯定派であるため、韓国発信の歴史捏造の事実は、日本の政党で否定している政党が 不在であるというのが実情だ
17. 2015年7月26日 11:05:01 : ciSUjq9CRE この日本に在日が永遠に寄生する目的で発行された村山談話は、日本の全政治家に支持されており 在日犯罪を告発しようとする日本人の行動に対し、在日が「元々在日が被害者」という口実を 与えるため、日本での在日犯罪に日本国民は抵抗できない
18. 2015年7月26日 11:07:17 : ciSUjq9CRE 村山談話の大きな過ちは、日本の統治政策について「施行当時、その政策は、施工前より、格段に 労働条件の向上をもたらした」という、日本統治前の朝鮮治世の酷さを比較対象として出さない 事にある
19. 2015年7月26日 11:10:33 : ciSUjq9CRE この指摘は、日本よりもASEAN諸国や、アメリカの研究家などの方が、先行して資料の発掘や 現代訳により指摘され始めているため、日本は、日本が主導して偽りの歴史を正すより、ASEAN 諸国やアメリカ研究家に依存しながら、事実を公表し、韓国国民の待遇改善の姿としての公娼や 炭鉱労働の実態を提示していくべきである
20. 2015年7月26日 11:11:48 : ciSUjq9CRE 日本国民にとって、最悪の敵とは、日本の政治家であるのだ

21. 2015年7月27日 20:46:36 : 5zcZLh3Gm2 調布で起きた小型機墜落、丸一日以上たっても阿修羅投稿がない不思議。 新幹線放火事件の時もそうだったがウラがありそうだ。情報あったら 事件板に誰か投稿してほしい。ＴＶニュースが各社一斉横ならびで報じて いるのがオカシイ。以前に暴走車が人の列に突っ込む事件が同時多発して いつの間にかなくなったが似てなくもない。事件なのか事故なのかタブー なのか。安保審議とは関係ないと思うが。火消しバイトは遠慮してくれ。

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