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威勢だけはいい〔PHOTO〕gettyimages
長谷川幸洋「ニュースの深層」
2015年07月17日(金)
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/44226
「採決拒否」に国会議員の資格なし
安全保障関連法案の採決で議会制民主主義を踏みにじったのは、だれなのか。左派系マスコミは政府与党であるかのように報じているが、そうではない。採決を欠席した野党である。お粗末な野党のおかげで、政局の潮目はまた変わった。
7月15日の衆院特別委員会室は、まるで街頭デモのようだった。民主党議員はプラカードを掲げて委員長席を取り囲み「反対、反対」と大声を張り上げた。維新の党の議員は自分たちが提出した対案を否決されると、さっさと退席した。
翌16日の本会議では民主、維新、共産、生活、社民の野党5党がそろって採決を欠席した。ここに野党の未熟さが如実に表れている。彼らは「採決を拒否する」という行為が、いったい何を意味しているか、分かっているのだろうか。
議会制民主主義の下で、国民が国会議員を選ぶのは自分たちに代わって国会で法案を審議し、最終的に採決してもらうためだ。なかでも採決はもっとも重要な国会議員の仕事である。それをサボタージュするのは、自分を選んでくれた「国民に対する裏切り」にほかならない。
野党議員たちは「自分が議員でいられるのは、国民が自分に1票を投じてくれたからだ」という議会制民主主義の根本原理を無視している。自分の選挙では国民に投票を呼びかけながら、いざ国会で国民に代わって投票しなければならないときに、投票するのを拒否したのである。
国民はそんな議員に仕事を続けてもらいたいと思うだろうか。私はまったく思わない。ずばり言えば、採決を拒否した野党議員は国会議員である資格がない。採決に応じないなら、辞職すべきである。もっとも肝心なときに、国民の代理人たる役割を果たしていないからだ。
なぜ「議員辞職」をしなかったのか
野党議員は採決拒否戦術ではなく、潔くそろって全員が「国会議員を辞職する」という戦術を考えなかったのか。野党がそこまで腹をくくって抵抗したなら、もしかすると局面は変わったかもしれない。採決に応じない代わりに、国会議員を辞職する。それは議会制民主主義の原理に沿った最大限の抵抗である。
だが、野党は腹を決めるどころか、そんな抵抗戦術などチラとも頭をかすめなかったに違いない。彼らは自分たちの議員バッジと既得権益は絶対に守ろうとする。それでいながら、仕事は放棄したのだ。所詮は事前に決められた役割分担に応じて、国会で安っぽい三文芝居を演じただけだ。
ある女性の野党議員は「私の祖父は戦争で死んだ」と涙混じりにカメラの前で訴えてみせた。テレビドラマさながらのお涙ちょうだい芝居を見せられた国民はシラケかえったに違いない。
今回の出来事は民主主義原理の根本を問うている。そんな本質を見極めないで「強行採決の暴挙」などと報じている左派系マスコミも、まったくトンチンカンとしか言いようがない。記者や論説委員は、採決欠席こそが民主主義に対する最大の暴挙だったと思わないのか。
採決欠席を批判しないのは、国民が選挙で棄権するのを容認するのと同じである。選挙で国民に投票を呼びかけておきながら、国会採決で議員が投票を拒否しても批判しないマスコミは、二重基準どころか完全に思考が停止している。
そういえば、同じ左派系マスコミは昨年の解散総選挙でも「解散に大義はない」と批判していた。国民に選択権が委ねられた選挙こそが民主主義の根幹と理解していなかった。今回も頭の中身、発想はまったく同じである。
彼らも野党と同じく先に反対ありきで「どうせ負けるなら選挙や採決などどうでもいい」と本心で思っているのだ。左派系マスコミとは、その程度なのである。
維新の党にもがっかり
民主党や共産党には最初から期待していないが、がっかりさせられたのは維新の党だ。彼らは自分たちの対案が否決されると、そそくさと委員会室から出て行ってしまった。いったい何なのか、その態度は。
まるで自分の言い分が通らなくて、床にひっくり返っている子供である。維新の党には多少、期待もしていたが、今回の対応は情けないというほかない。
民主党は「次は徴兵制だ」と煽った。集団的自衛権を容認した日米安保条約の下、有事で米軍の支援をあてにできるからこそ、日本は軽武装の自衛隊で済んでいる。もしも個別的自衛権だけで国を守ろうとすれば、米軍は頼りにできないのだから、はるかに重武装の軍事国家にならざるをえない。その先にあるのが、徴兵制である。
スイスはどの国とも同盟を結ばず、自前の軍事力に頼っているからこそ徴兵制なのだ。自分たちのロジックこそが徴兵制につながるのに、ねじ曲げた空想論を展開するだけの民主党に明日はない。
まともな政策論を展開できずに「徴兵制の復活」とか「戦争法案」とレッテルを貼る民主、共産、生活、社民の議論と行動は、いまや国民感覚から離れて完全に上滑り状態に陥ってしまった。この調子だと、参院審議も衆院以上に空虚なカブキ化が進むだろう。
本当の政策論議がなく、同じ三文芝居のやりとりが繰り返されるだけだから、やがてテレビも視聴率がとれずに注目しなくなる。加えて、本会議採決と同じ日に新国立競技場の計画見直しが明らかになった。遅きに失したとはいえ、これも政権にはプラス材料である。
あえて政府与党に注文をつけるなら、年金情報漏洩問題のケリをさっさとつけてもらいたい。日本年金機構と厚生労働省担当者に対する厳重処分を急ぐべきだ。真相解明はそれからである。
私はつい2週間前のコラム(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/44000)で「安倍政権の危機」を指摘したばかりだ。ところが、民主主義の原理原則を踏まえない野党戦術の誤りと、新国立競技場問題をめぐる政府与党の方針転換をきっかけに、また流れは変わってしまった。
目先の内閣支持率が多少、下がることはあっても、たいしたことはない。こんな野党に支持が集まるはずはないからだ。国民は賢明である。
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