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15日午前、衆院平和安全法制特別委員会に向かう安倍首相(C)日刊ゲンダイ
安倍政権の対中戦略は経済・軍事両面で錯乱している 永田町の裏を読む/高野孟
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/161792
2015年7月16日 日刊ゲンダイ
上海の株価が暴落すると日本の株価も暴落し、上海が持ち直すと日本も一息ついて2万円台回復というこの1週間ほどの市場の展開は、ほとんどお笑い草である。
金融大緩和で円安と株高を人工的につくりだして、景気が上向いているかのように錯覚させるアベノミクスの魔法は、本質的・理論的にはとっくに行き詰まっているのだが、それでも株価がつり上がっている間は何とかその幻想を維持することができた。ところが、そういう安倍政権=黒田日銀の狭隘な一国資本主義的な政策発想は、ギリシャの財政破綻とか、中国の株価暴落とかの外的な要因が1つか2つ押し寄せればたちまち破綻してしまう。
そもそも、15年2月末現在の世界主要証券取引所の株式時価総額は約66兆ドル(約8000兆円)で、そのシェア第1位がニューヨーク証取とナスダックを合わせた米国の27兆ドル(ダントツ1位=シェア41%)なのは当たり前として、第2位は上海と深圳と香港を合わせた広義の中国で10兆ドル(15%)に上る。第3位の日本は4.6兆ドル(7%)で中国の半分にも満たない。昔は米国経済が風邪をひくと日本は肺炎になるといわれたが、今や中国次第でもそうなるのが日本なのである。
今回の経緯を通じて注目すべきことは2つ。1つは、中国の「管理された市場経済」の下での迅速かつ強力なPKO(株価維持策)の発動である。習近平体制は「新常態」と称してバブル崩壊を避けながら低成長路線に軟着陸することを目指している。いずれ株価も調整されることは目に見えていた。その実相を見ずして、「中国の金持ちが爆買いしなくなったら日本経済はピンチ」などと慌てふためくのは滑稽で、日本の「消費回復」の底の浅さを告白しているようなものである。
もう1つは、表では市場を権力的に管理しながら、裏では世界の電子的金融空間へのサイバー攻撃をちらつかせるという中国の戦略である。“中国の脅威”と言うなら、これこそがすでに眼前にある現実的な脅威であり、今の日本は表でも裏でもそれにほとんど無策である。それでいて安倍政権は、中国が、太平洋戦争での米軍と同様、尖閣を手始めに島伝いに日本を攻撃してくるなどという、ありもしない全く非現実的な“中国の脅威”を想定して安保法制や島嶼防衛の整備、辺野古基地の建設に血道をあげている。
安倍の対中国戦略は時代錯誤であるばかりでなく経済・軍事両面で二重に錯乱していて、それが日本を「存立危機事態」に陥れるのである。
▽たかの・はじめ 1944年生まれ。「インサイダー」「THE JOURNAL」などを主宰。「沖縄に海兵隊はいらない!」ほか著書多数。
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