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安倍首相への怒りをあらわにする赤川次郎(ミステリー総合ポータルサイト「ミステリーワールド」より)
あの赤川次郎までが怒っている!「安倍首相に日本が壊されていくのを見てイライラ」と
http://lite-ra.com/2015/07/post-1282.html
2015.07.14. リテラ
ついに明日15日、安保法制が国会で採決される見込みとなった。「戦争法案だ」という多くの声に「レッテル貼りだ」の決まり文句を繰り返し、武力を行使するのに「積極的平和主義」などという正反対の言葉で誤魔化そうとする……。このような安倍晋三という人間の知性のなさ、そして危険さに、あの有名ベストセラー作家も声をあげた。
「「積極的平和主義」って何ですか。言葉をそこまでばかにしていいのかと腹が立ちますね」
「彼らが気楽に使う平和という言葉一つとっても、本質を隠すために使っているわけで、それは絶対許されないことだと思うんです。特に言葉を商売にしている我々からすると、ほんとうに腹が立ちますよね」
「なぜ言葉を変えようとするのかといえば、何かを隠そうとしているからですよ。本質をどう隠すかということに苦労した挙句、戦争を平和と言いかえて、平和のために戦争に参加するんだと言う」
こう話しているのは、「三毛猫ホームズ」シリーズや「三姉妹探偵団」シリーズでおなじみの推理作家・赤川次郎氏。ヒット作『セーラー服と機関銃』(角川文庫)の続編は来年、橋本環奈主演で映画化される予定で、いまも数多くの愛読者をもつ人気作家だ。
そんな赤川氏が、さっき紹介したように安倍首相に言及したのは、現在発売中の「すばる」(小学館)8月号に掲載されている高橋源一郎との対談でのことだ。高橋氏も先日『ぼくらの民主主義なんだぜ』(朝日新聞出版)を刊行し、現在の民主主義のあり方に再考を促しているが、その高橋氏さえ「僕は直接的な政府批判はしないけど、赤川さんはしていますからね」と言う。
作家に対し、政治的発言はするべきじゃない、という人もいる。思いは作品に託せばいい──実際、赤川氏も「僕も昔はそう思っていたんですよ」と述べている。しかし、「あまりにも状況がひどすぎるので、黙っていられなくなった」のだ。
事実、今年1月に発売された雑誌「図書」での連載エッセイをまとめた『三毛猫ホームズの遠眼鏡』(岩波書店)では、赤川氏は安倍首相への強い批判を寄せている。
〈安倍首相は尖閣やアルジェリアの人質殺害など、あらゆる機会を利用して、自衛隊を軍隊にしたいのだろう。政権への冷静な批判を今のジャーナリズムに期待できない以上、私たち一人一人が、「戦争をしない」という意志を強く持つしかない〉
〈安倍晋三首相が「従軍慰安婦問題」で相変らず「強制はなかった」と言い続けることで、日本は人権問題の後進国として世界から孤立しようとしているのだ。銃を突きつけて連行されたのでなければ強制ではない、などと言う人には、想像力のかけらもないのだろう〉
〈安倍政権にすり寄って「愛国」を叫ぶ人々は、自分が年老いて、誰も支えてくれる者のない生活をしているところを想像してみるといい。それは必ずやって来る「現実」なのである〉
また、赤川氏は同書に収められている講演会録で、同業者である百田尚樹氏のような人物に対しても苦言を呈している。
「書き手として独立した精神をもっているということより、逆に、大きな権力にすり寄って、権力のなかに入りたいというような作家が目立つようになってきました。作家だからといって反体制であるべきとは思いません。しかし、権力から独立していることは、ものを表現する人間としては最低限のモラルです。
ものを書くということは、ある意味で人に対する挑戦です。意見を表明することは、おおやけの場での反駁を覚悟していることでもあります。上からの目線で発言するのではなくて、下の目線に立って、上に向かってものをいう、ということが、かつては作家というものの当然のあり方でした」
作家として、いま何を書き、ものを言うべきなのか。そうした意識と覚悟をもって、赤川氏は安倍首相批判を行っているのだ。それは、「安倍政権になってから、日本が壊れていくのをただ手をこまねいて見ているような、イライラする気持」からであり、また「軍備をもつということに抵抗のない表現者が出てきた」ということに「この世代の者として、たいへん心配であり、不安な部分であると感じて」いるためでもある。
立場の弱い人々へ保障を行うことを軽んじ、ただ強い国を目指し、国民の声も無視して強引に法案を押し進めていく安倍首相。いまのこの日本の状況を、赤川氏は高橋氏との対談でこのように言葉にしている。
「今の日本はある意味、戦争状態にあると僕も思います。生活保護を削ったり、打ち切ったりね。そんなもん削るなら防衛費削れよと僕は思うけど、今の若い人はいやおうなくそういう世界に生きている」
安倍首相の思惑は、「そういう世界」だから仕方がない、と、国民から思考を奪うことにある。ならばいま、できることは、一人ひとりが声をあげるのを止めないことしかない。戦争ができる国なんて嫌だ。赤川氏のように、そう言い続けることが、わたしたちはできる。
(水井多賀子)
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