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2015年07月14日
本日も多忙のため、人の褌で相撲を取らせていただく。2014年の日刊ゲンダイの記事と、現代ビジネス・魚住氏の渾身のコラムを連続で参考掲載させていただく。魚住氏の方は、前篇と云うことなので、後篇も貴重な意見を読むことが出来るのだろう。日刊ゲンダイの記事も、魚住氏のコラムも、現在、海外で「日本異質論」と云うジャパン・ウォッチャー間で評判の(悪評だが)「日本会議」と云う団体をテーマにした話だ。
筆者も、日本会議に相通ずる部分も多々あるのだが、本質的に第二次大戦の敗戦を潔しとしない点では、俄然、距離感を感じる。この距離感は反発に繋がるし、日本の歴史的ボタンの掛け違いが、明治維新そのものである事を考えている筆者と、日本会議の人々は、大日本帝国憲法への郷愁に拘泥し、負けを負けと認めない女々しさがある(女性蔑視な漢字だが、日本語なのだから敢えて使用)。相撲や柔道じゃないのだから、「頼もう!もう一丁」は男らしいがアホじゃろう(笑)。
世が世であれば、と言いたいのだろうが、欧米価値観と云う土俵に乗って、ルールは何でもありのプロレスだと云うのに、“礼!無制限一本勝負”等と口走っている間に、穴の毛まで抜かれるのがオチである。儒教や武士の魂なんて言っていた日本人が、魑魅魍魎なユダヤ教やキリスト教徒対峙できると思いこんでいるところが、大変な蛮勇だったのだ。「遠からん者は音にも聞け,近くば寄って目にも見よ」(戦場で,武士が名乗りをあげるときの言葉)この潔さを「徳」と見做すのであれば、欧米文化の普遍的価値には、そのような形の「徳」はない。
明治の権力者(特に長州下級武士)は、その日本の「徳」が西洋にも通ずるものだと感じたことが仇なのだ。安倍ら日本会議の連中は、その仇を、繰り返そうと云のだから、どうにも理解しがたい。ひとつだけ、魚住氏が時代的に見誤っている部分があるとすれば、“日本会議が天皇制の復活を目指しているようだが、そんなことを望む国民はいない”の部分は、解説が必要だろう。
日本会議の連中が考える天皇制は、その制度を、中国共産党独裁と同じように、思い通りの為政と云うか、利権構造を作るには、その権力的スピード感がないと、グローバル世界を泳ぎ切れない、と云う既得権者らの、ご都合主義的天皇制と云う事だ。天皇や皇太子が自分の意見(政治的意味合いも含め)を、ストレートに語る形の天皇制であれば、おそらく多くの国民は異存がないだろう。ただ、日本会議の人々が考えている天皇制は、天皇をお飾りとする私利私欲な天皇制であると、但し書きをつけて欲しかった(笑)。筆者の知る限り、今上天皇は、現時点で日本の「徳」を代弁していると考える。世襲なので、次の天皇が誰で、どのような行動をとるかは、現時点で、現皇太子に、すんなり行かない雲行きを感じている。
≪ 19閣僚中15人がメンバー 最大右翼組織「日本会議」の危険度
改造内閣の発足でガ然、注目を集めている団体がある。日本最大の右翼組織「日本会議」だ。
日本会議のHPを見ると、「私たちは、美しい日本の再建と誇りある国づくりのために、政策提言と国民運動を推進する」と書かれている。どこかで聞いたような言葉だが、憲法改正、愛国心教育、“自虐的”な歴史教育の是正、戦後レジームからの脱却──これらはすべて日本会議が提言してきたものだ。安倍政権の政策と見事に重なっている。
それもそのはずで、政界には日本会議を支持する「日本会議国会議員懇談会(日本会議議連)」があるが、そこには安倍政権の主要メンバーがズラリなのだ。
特別顧問は安倍首相と麻生財務相で、会長は次世代の党の平沼代表。石破地方創生相が相談役を務め、副会長には菅官房長官、下村文科相、高市総務相が並ぶ。幹事長は衛藤首相補佐官、副幹事長は加藤官房副長官、萩生田総裁特別補佐は政策審議副会長だ。
留任した甘利経済再生相と岸田外相も日本会議議連のメンバー。新入閣組の江渡防衛・安保相も竹下復興相、望月環 境相、山口沖縄・北方担当相もそうだし、女性閣僚の山谷拉致担当相は政策審議会長、有村女性活躍相もこの議連の会員である。改造内閣では、安倍首相を含め て19人の閣僚のうち、実に15人が日本会議議連に名を連ねているのだ。
党役員の顔ぶれを見ても、谷垣幹事長は日本会議議連の顧問で、稲田政調会長は政策審議副会長。茂木選対委員長も会員だ。
改造内閣で日本会議議連に所属していないのは太田国交相、小渕経産相、松島法相、西川農相の4人。もっとも、西川農相と二階総務会長は「みんなで靖国神 社に参拝する国会議員の会」には名を連ねている。どちらにも所属していないのは、公明党の太田国交相はまぁ当然として、小渕経産相と松島法相だけというこ とになる。
「そういうウルトラ右翼の内閣が誕生したわけです。大メディアは『安定感のある内閣』だとか『重厚布陣』だとか報じていますが、とんでもない。こんなアブない内閣はありません」(政治評論家・森田実氏)
■海外メディアも「ナショナリスト組織」と報道
日本会議は、国際社会でも危険視されていて、海外メディアでは「ナショナリスト組織」(米ニューヨーク・タイムズ)や「ナショナリスト・シンクタンク」 (英エコノミスト)などと報じられている。米議会調査局が今年2月にまとめた議会報告書にも、日本会議の名前が出てくる。昨年12月に安倍首相が靖国参拝 を強行した背景には、日本会議の後押しがあったと分析しているのだ。
「日本会議が安倍政権を裏で操るというより、もはや一体化しているとみるべきです。内閣に15人も入ったのは、自民党が右翼政党に変質したことの証左でも ある。安倍首相をはじめとする日本会議系の右翼議員に党が乗っ取られ、内閣も官邸も占拠された。このままでは国が乗っ取られてしまいます」(元法大教授・ 五十嵐仁氏)
集団的自衛権の行使を容認し、自衛隊法の改正など有事法制を整備して、軍備強化で世界平和に貢献するという方針も、日本会議が目指す「誇りある国づくり」の一環だ。
それを着実に進めてきたのが安倍政権であり、改造によって、ますます日本会議が掲げる政策を「実行実現」する内閣になったのである。 ≫(日刊ゲンダイ−2014年9月6日)
≪ 日本最大の右派団体「日本会議」と安倍政権のただならぬ関係
みんな、そこでつながっている
■安倍政権の"黒幕“!?
ちょっと前の話になるが、6月15日、日本外国特派員協会での記者会見で面白いやりとりがあった。質問者はエコノミスト誌のマクニール記者。答えたのは慶応大名誉教授の小林節さん(憲法学)である。
小林さんは例の憲法審査会で安保法制を「違憲」と言い切った3学者の1人だ。もともとは憲法学会で改憲派を代表する存在だったが、今回の安倍政権の解釈改憲については、立憲主義の根幹を揺るがすものだとして真っ向から反対している。
マクニール記者「集団的自衛権行使を合憲としている憲法学者が3人いて、彼らはみんな、日本会議に属している。それは何を意味しているのか?」 日本会議は安倍政権の”黒幕”とも噂される日本最大規模の右派団体だ。そしてマクニール記者の言う3人とは、菅官房長官が安保法制を支持する憲法学者として名を挙げた西修・駒沢大名誉教授ら3氏を指す。
つまりマクニール記者はこう訊いたのである。日本の憲法学会に数えるほどしかいない”合憲派”の顔ぶれを見ると、そろいもそろって日本会議の関係者だ。これはどういうことか。単なる偶然とは思えない、と。
小林名誉教授「私は日本会議にはたくさん知人がいる。彼らに共通する思いは、第二次大戦での敗戦を受け入れがたい、だからその前の日本に戻したいと いうこと。日本が明治憲法下で軍事5大国だったときのように、米国とともに世界に進軍したいという思いの人が集まっている。よく見ると、明治憲法下でエスタブリッシュメントだった人の子孫が多い。そう考えるとメイク・センス(理解できる)でしょ」
これは、なかなか意味深な答えである。いやそれどころか安倍首相と、彼の仲間の心情を的確に捉えた言葉だと私は思う。
■国会議員の4割、閣僚ポストの8割を占める
そう言っても、日本会議と安倍政権のただならぬ関係をご存じない読者には、すんなり了解してもらえないだろうから補足説明させていただきたい。
日本会議には国会議員懇談会という超党派の集まりがある。現在そこに属する国会議員は自民党を中心に約280人。衆参両院をあわせた定数は717人だから4割ほどが日本会議の構成メンバーという計算になる。
驚くべきは日本会議の構成員が閣僚に占める割合である。第一次安倍内閣では首相をはじめ12人、麻生内閣では9人だった。それが改造前の第二次安倍 内閣で13人になり、現内閣では19人中15人に増えた。公明党枠の1人を除く閣僚ポストの8割強を日本会議に関係する議員が占めている。
もし小林名誉教授が言うように、日本会議に属する人たちの「共通する思い」が、70年前の敗戦を受け入れがたく、明治憲法下の「日本に戻したい」ということだとするなら、現閣僚の大半が戦前の大日本帝国の再来を望んでいることになる。
まさか、そこまで非常識な政治家はいないはず。と思われる読者も多いだろうから、日本会議とはそもそもどんな団体かということについて語りたい。
■日本会議が目指すものは何か
日本会議の特色は何と言っても、そのネットワークの全国的広がりと構成メンバーの多彩さにある。会員は全国に約3万5000人。日本会議の地方議員連盟に属する議員は約1700人と言われる。
HPの役員名簿を見ると、石井公一郎・ブリヂストンサイクル元社長、小田村四郎・元拓殖大総長、三好達・元最高裁長官、作家の石原慎太郎氏、外交評論家の田久保忠衛氏ら各方面の著名人がずらりと並んでいる。
加えてさまざまな宗教団体のトップたちが名を連ねる。神社本庁、靖国神社、崇教真光、霊友会、天台宗など数え上げるときりがない。新宗教から伝統仏教・神道まで多種多様な宗教の結集軸になっている団体、それが日本会議と言ってもいい。
では、その日本会議が目指すものは何か。HPには〈私たちは、美しい日本の再建と誇りある国づくりのために、政策提言と国民運動を推進する民間団体です〉と記されている。
〈美しい日本の再建〉という言葉に注目してほしい。再建と言うからには〈美しい日本〉が過去にあったということだ。それがいつの時代を指すか、明記はされてないが察しはつく。戦前の天皇主権下の日本だろう。
■それを裏付けるようにHPにこう書かれている。
〈125代という悠久の歴史を重ねられる連綿とした皇室のご存在は、世界に類例をみないわが国の誇るべき宝〉であり〈皇室を中心に、同じ歴史、文化、伝統を共有しているという歴史認識こそが、(中略)国の力を大きくする原動力になると信じています〉
言っちゃ悪いが、これはアナクロニズム(時代錯誤)だ。国民の大多数は戦前の天皇制の復活なんか望んでいない。にもかかわらず、日本会議が国会議員の4割弱と閣僚の8割を占める勢力になったのは、なぜか。
ここが思案のしどころだ。私の考えをまず言わせてもらいたい。こんな異様な現象は一朝一夕には起こらない。相当な時間と労力と金をかけた、何らかの仕掛けがなくてはならない。
ちなみに私が日本会議に注目しだしたのは10年ほど前のことだ。従軍慰安婦、国旗・国歌法、教科書検定、外国人地方参政権、教育基本法や憲法の改正などの問題を取材すると、必ずと言っていいほど、背後に日本会議の勢力が蠢いていた。
どうやら日本の右傾化を演出しているのは日本会議らしい。誰がどんな経緯でこの組織を作ったのか。それを調べていくと奇妙な事実に突き当たった。
日本会議を仕切る事務総長や関連団体の責任者、安倍首相の側近議員、学者などの経歴に意外な共通点があった。
彼らは青年時代、ある教団の信者だった。その教団の創始者は熱烈な天皇主義者で「敗戦した日本などない」と唱えた。敗れたのは「偽の日本」で、天皇 中心の真の日本ではない。我々の使命は明治憲法を復元することだ。その言葉が青年らの心を捉えた。日本会議の歴史はそこから始まる。 以下、次回へつづく(次回は2015年7月19日公開予定です)
*参考:『増補 戦後の右翼勢力』(堀幸雄著・勁草書房刊)
≫(現代ビジネス:“わき道をゆく〜魚住昭の誌上デモ”『週刊現代』2015年7月11日号より)
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