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安全保障戦略の見直しをめぐる議論で突然、守勢に立たされ始めた安倍晋三首相 kazuhiro nogi/Agence France-Presse/Getty Images
【寄稿】守勢に回る安倍首相、安全保障議論で=カーティス氏
http://jp.wsj.com/articles/SB11807971170009143901604581099461443749364
2015 年 7 月 10 日 17:06 JST ウォール・ストリート・ジャーナル日本版
安倍晋三首相は2カ月前に米議会の上下両院合同会議で演説した際、自信満々だった。彼は米国の議員を前に、安全保障に関する新しい法案をこの夏までに国会を通過させる決意だと語った。だが、今はそれほど自信がなさそうだ。
特集:安倍首相訪米
安倍氏は約束した夏までに一連の法案審議をまとめ上げることができなかった。今、彼は9月末までの法案通過を目指している。
たとえ安倍氏が最終的に成功を収め、自民党と連立パートナーが法案を可決したとしても、自衛隊の役割と任務を再定義するという安倍氏の取り組みに対する国民の懐疑心――全面的な反発ではないにしても――はますます強くなると思われる。
日本の安全保障をめぐる重大な環境の変化を考えると、安全保障戦略の見直しは不可欠である。中国の台頭や北朝鮮による核兵器と弾道ミサイルの獲得は、劇的な変化のほんの一例にすぎない。
安倍首相が提案する法案が通過すれば、日本自体が攻撃を受けていなくても、一定の条件下で米国への軍事協力が可能になる。例えば、朝鮮半島で戦争が勃発すれば、日本そのものが直接、存続の危機にさらされることになる。
日本が直接脅威を受けていない場合でも、紛争下にある米軍支援のためロジスティクスの提供や国連平和維持活動への協力を自衛隊に命じることができるようになる。基本的に、これらは日本の防衛政策の限定的で賢明、かつ必要な変化だ。
だが、悪魔は細部に宿るものだ。安倍氏の法案の悪魔はその曖昧さに宿っている。日本政府は「日本の存立が脅かされる」事態になれば集団的自衛権の行使を容認できるとしている。また、日本に「大きな影響が及ぶ場合」は米軍の後方支援が可能だとしている。だが、安倍氏はその具体的な中身について国民にほとんど説明していない。
安倍氏はワシントンで、この安全保障の枠組みが「あらゆるレベルの危機に対する途切れない対応を提供するより大きな能力を」日本に与えると強調した。安倍氏は日本の安全保障政策の大改革だと表現。それに対し、米国の政府関係者はかなり前向きな反応を示した。第2次世界大戦後の日本でこうした動きは初めてだ。
安倍氏は帰国後、国民に対して別のメッセージを送った。安全保障関連法案を審議している特別委員会で安倍氏は、武力の行使は自衛手段に厳しく限定され、他の国を防衛するためではないとし、新たな法制によって日本の「専守防衛」の原則が変更されるものではないと述べた。
また、議員らは自衛隊の活動範囲や内容の拡大によって自衛隊のリスクが高まることを中谷元・防衛相に認めさせた。中谷防衛相は、自衛隊のリスクが高まることは国に対するリスクを軽減させることの代償だとあからさまに表明する代わりに、隊員へのリスクが高まることはないと強調した。だが、この主張はあまりに信じがたいものであり、防衛相自身が最終的に発言を改めざるを得なくなった。
首相と防衛相の議会答弁は物事を不明瞭にする訓練のようだった。政府は誠実ではないという印象を一段と強く国民に植え付けただけだった。
安倍氏の形勢がさらに不利に傾いたのは先月、衆院憲法審査会に3人の憲法学者が招かれた時だ。自民党が自ら推薦した学者も含めて3人全員が集団自衛権の行使は憲法違反だとの見解を示したのだ。これが安倍氏を守勢に追い込み、最も権威ある憲法学者たちを向こうに回して自身の法案の合法性を擁護せざるを得なくなった。
その数週間後、自民党若手議員が安倍氏と親しい右派の人気作家を招いて「勉強会」を開催した。その際、一部議員が安倍政権に批判的なマスコミを懲らしめると発言した。
報道の自由に対するこの攻撃は、単発で起きたことであればここまでの騒動にはならなかっただろう。だが、その後も政府関係者や自民党議員、首相の友人らによる一連の発言が続き、政府は批判的なジャーナリストの口封じに躍起になっているとの懸念をかき立てることになった。
安倍政権は前例のないほど盤石な体制にある。自民党と連立パートナーは衆議院の3分の2、参議院の過半数の議席を確保。野党は混乱状態にあり、目下、安倍首相の挑戦者になりそうな人物はいない。
だが、自信は危険にもなり得る。国家の安全保障に対する懸念があったために、国民は安倍氏が主導する取り組みを大目に見てきた。だが今、新たな心配が浮上している。それは安倍政権が憲法を完全に無視し、報道の自由を傷つけ、必要性に対する総意が得られる前に防衛政策のための新たな法的根拠を急いで整えているのではないかという心配だ。
(ジェラルド・カーティス氏はコロンビア大学政治学教授)
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