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新国立競技場 コスト確認せず決定か[NHK]
7月10日 15時14分
改築費が2520億円に膨らんだ国立競技場について、デザインを決める最初の審査の過程で、技術的に建設が可能かどうかチェックされたものの、設定したコストに収まるのかどうかの確認は、事実上行われずに決まった可能性が高いことが関係者への取材で分かりました。
新国立競技場のデザインは2020年東京オリンピック・パラリンピックの招致活動が行われていた3年前の7月、競技場を運営するJSC=日本スポーツ振興センターが、「総工事費は1300億円程度を見込む」と設定して募集し、応募した人たちもこの金額に収まることを示していたということです。
このあと、建築家の安藤忠雄さんを委員長とする審査委員会が3回開かれ、46の応募作品からイラク人女性建築家のデザインに決まりました。
この過程では、1回目の審査委員会のあとに委員会のメンバーとは別の専門家たちによる「技術調査」が行われました。この際に、それぞれのデザインで技術的に建設が可能かどうかのチェックはされましたが、設定したコストに収まるかどうか確認していなかったことが、関係者への取材や当時の資料から新たに分かりました。
さらに、委員会の議事録や当時の審査委員への取材によりますと、その後の審査では一部の委員からコストを懸念する声があったものの、複数の審査委員が「技術調査」でコストの確認も同時に行われていたと思ったということで、最後は、オリンピック招致のためのインパクトを優先して今回のデザインが選ばれたと見られています。1300億円と設定されたコストの確認が事実上されないまま、デザインが決まった可能性が高く、その後金額が二転三転した要因になったとみられます。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150710/k10010146211000.html
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2015年06月30日 (火) 午前0:00〜[NHK総合]
時論公論 「新国立競技場"世界に誇れる施設になるのか"」
刈屋 富士雄 解説委員 / 中村 幸司 解説委員
本当に2520億円もかかるのでしょうか。
新国立競技場の建設は、過去のオリンピックのメイン会場と比べても、けた違いの多額の予算を投入する方針が、2020東京大会の調整会議で示されました。なぜ、これほど多額の予算が必要なのか、そして新国立競技場に必要なものとはなにか、考えます。
今の計画では、どのような競技場になるのでしょうか。
陸上競技やサッカー、ラグビー、それにコンサートなどにも利用できる「多目的スタジアム」として計画されています。総工費は、2520億円。2本の巨大なアーチのデザインは残しますが、屋根のうち「開閉式」部分は、工事が間に合わないので、オリンピック後につくるということです。8万人収容で、使う用途に応じて自動で動く「可動式観客席」にするとしていた 1万5000席は、経費削減のため、着脱可能な「仮設」にするといったものです。
それにしても、なぜ2520億円もかかるのでしょうか。
最近の夏のオリンピックの2大会のメイン会場と比べてみます。2012年のロンドン大会のメイン会場がおよそ600億円、そしてあの巨大なイメージだった2008年の北京大会でさえ、およそ500億円です。過去の大会で1000億円を超えるメイン会場はありません。
新国立競技場の総工費が、いくらかかるかは大きく変動しました。
そもそもデザインを決めた国際コンクールのとき、総工費は1300億円という前提でした。すでに初めの段階で1000億円を超えていたのです。
これは、開閉式屋根や観客席を可動式にする費用のほか、採算をとるためとしてボックスシートのような特別席や、博物館などスポーツ振興施設も併設する計画で、そうしたものを積み上げて、1300億円になりました。
このデザインを忠実に再現すると3000億円かかると、その後、試算されました。規模を縮小した結果、試算額は、いったん1625億円まで下がりましたが、これを施工する建設会社が試算すると3000億円を超すということになりました。屋根や観客席の計画を変更することなどで、工費を抑えようとしましたが、それでも1625億円から900億円増えて、2520億円という方針が、2015年6月29日に示されました。
費用は基本的には、国がもちますが、一部は東京都に負担を求めることになっています。
これほど高額な理由は何なのでしょうか。
最大の理由として指摘されているのが、2本のアーチです。微妙に傾いた角度をつけ、端から端までの距離が370メートルあります。難しい工事が予想されるため、費用を押し上げています。
建築の専門家の中からは、アーチがなければ費用を1000億円ほど抑えることができるという指摘も出ています。
そして、建設資材や人件費の高騰もあります。当初の試算では、比較的安い海外の資材を使うということも考えられていましたが、工事期間が足りず、そうしたことは難しいということで費用がなかなか抑えられないということです。
当初は、1300億円でできるものという条件で募集したわけですから、そもそも予算と合わないデザインを選んだということにならないのかという声も聞かれます。2本のアーチを外すといったデザインの変更はできないのでしょうか。
関係者には、「斬新なデザインを実現する日本の技術力」、それを世界にアピールしたいというこだわりがあります。そして、このデザインはオリンピックの招致活動の時に発表しています。インパクトのあるデザインが、東京オリンピック実現を引き寄せた一因だったということはできると思います。国際的に約束したデザインを大きく変更することは、簡単には、できないという判断です。
では、国際的なメンツは別にして、アーチをやめることはできないのでしょうか。
もっと早い段階でしたら、それもできたかもしれませんが、今から大幅な設計変更は、2019年のラグビーのワールドカップに間に合わないとしています。
さて、ここからは、オリンピック・パラリンピックのメイン会場のあり方と今後の課題について考えてみます。
メイン会場は、最も世界に向けて報道されるいわゆる「大会の顔」ともいえる存在です。
北京オリンピックのメイン会場、通称「鳥の巣」は、大会前からそのデザインが世界の注目を集め、大会後の2〜3年は観光地として機能しました。しかし、その後はあまり使われず、アメリカのマスコミは「巨大な廃墟」と報道しました。
本来、陸上競技場は、稼働率の低い施設です。稼働率を50%に乗せるのは大変な努力が必要だと言われています。
その中で2002年のサッカーワールドカップの決勝の舞台となった横浜国際競技場・日産スタジアムは、コンサートや結婚式などスポーツイベント以外も積極的に取り入れ、稼働率は80%に迫り、採算も新横浜公園全体でとれています。
スポーツイベントのメイン会場は、大会の顔であると同時に、大会後の存在が問われる時代に入っていると言えます。
そのメイン会場の完成予想図を見せながら、招致のプレゼンテーションで東京は未来の姿を見せると約束しました。
スポーツの取材をしてきて、最も未来を感じたスポーツ施設がパリにあるベルシー体育館です。再開発の象徴として公園を兼ねた古墳のような外観に、あらゆる室内スポーツが開催可能な多機能性と、体育館自体が国際映像を配信できるハイテク機能、そしてフランスでもっともメジャーなライブ会場でもあります。
その屋外版ともいえる競技場が、2020年東京大会のメイン会場であれば、新時代のメイン会場として未来を見せることができるのかもしれません。
問題はデザインではなく、多機能性だということを強調しておきたいと思います。常識外れの予算を投入しながら開閉式の屋根もなく、可動式の観客席でもないのが今の方針です。外観に予算が取られ、機能が制約されては本末転倒です。大会後の稼働率を上げるためにより多くの機能を確保するデザイン変更が本当に不可能なのか。不可能であるなら、このデザインの中でより多くの機能をどう持たせていくのか、十分に検討して説明してほしいと思います。
今後の課題はどういった点なのでしょうか。
それは、これまでの反省にたって、進めてほしいということだと思います。
特に、2014年に計画の縮小を発表して以降の1年間について、「時間がもったいなかった」という声を聞きます。1625億円の発表のあとは、計画を加速させるべき時期にあたりますが、明らかになったのは、費用の大幅な増額や工事が間に合わないといった、あまりに大きな問題だったからです。
建設費の高騰は、2014年の時点では、すでに指摘されていたもので、試算や見通しが甘かったといわざるを得ません。完成に向けて時間がない中、今後、同じようなことは許されません。
そのために、いつまでに何を決めるのかを明確にして、節目節目に判断の根拠をきちんと説明することが重要です。これまで、そうしたことが不十分だったと思います。
2520億円のメインスタジアムを、果たして国民はどう思っているのか。
費用を負担する国民の理解は大前提で、それがなければ、オールジャパンで実現させる「オリンピックの成功」という目標に影を落とすことになりかねません。
前の国立競技場は、半世紀にわたり日本のスポーツの中心であり、前回の東京オリンピックの遺産としてその役割を十分に果たし、世界に誇れるものでした。それを壊してまで作るものが、50年後「誰がこんなものを作ったのか」と言われないように、2020年以降、日本のスポーツと文化の中心であるために何を目指して作るのかを明確に説明できなれれば、世界に誇れるどころか、国民の理解も得られません。
(刈屋富士雄解説委員、中村幸司解説委員)
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/221906.html
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