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平和安全法制特別委での安倍首相(C)日刊ゲンダイ
安倍政権はすでに末期に差し掛かっている 永田町の裏を読む/高野孟
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/161543
2015年7月9日 日刊ゲンダイ
6日付毎日新聞の世論調査で、内閣支持42%に対し不支持43%と、同紙の調査としては第2次安倍内閣が発足してから初めて、逆転した。女性の回答だけ見れば36対43と、すでに大逆転である。
理由ははっきりしていて、第1に安保法制に反対が5月調査と比べて5ポイント増の58%、今国会で成立させることに反対が61%、国民への説明が不十分だと思うが81%に達していることである。今国会で成立反対の61%の内訳を見ると、内閣支持はわずか24%、不支持は63%である。第2に、自民党勉強会での「マスコミ懲らしめ」発言で、これを問題だとする人が76%、問題にしない人は15%しかいない。
自民党大物秘書が感想を漏らした。
「勉強会事件の前には、各社調査で内閣支持率はほぼ40〜45%あった。官邸と党執行部の腹づもりでは、衆院での強行採決で5%減、さらに参院で強行採決するにしても『60日ルール』を適用するにしても、5%減で、それでも支持率は30%を割って危険水域に突入することは辛うじて避けられるだろう、という計算だった。ところが、勉強会事件のせいですでに最初の『5%減』を無駄遣いしてしまった。これで無理押しを重ねれば確実に30%ラインを割る」
それで何とか維新を採決に応じさせようと?
「あんなものは、与党のみの裸の採決にイチジクの葉っぱを飾るだけだと、国民に見抜かれているので、維新がどうであれ強行採決と受け取られる。そうすると、まず公明党に安倍と心中していいのかという動揺が出てくるし、自民党内でもこれまで抑えられていた安倍独善への不満が表面化する」
加えて、8月から9月秋口にかけては、アベノミクスの破綻がいよいよもって誰の目にも明らかになる可能性がある。金融緩和で円安と株高を演出して国民を目くらましにかけ、その幻想が破れないうちに実体経済を上向きにしてインフレ目標2%を達成するという「日銀マジック」は、すでに完全に行き詰まっていて、新規発行国債の9割を日銀が買い上げている現状で「追加緩和策」はあり得ないし、かといってインフレ2%目標を取り下げるのはアベノミクスの理論的な間違いを認めることになる、というジレンマに直面している。
それでも何とか体面を繕ってきたのは株高だが、それもギリシャ国民投票の結果や中国株価の不調という外からの横波で日経平均の大乱高下に遭っている。さらにTPPが決着すれば、これまた自民党内の大騒動の引き金になる。こういうふうに、悪いことが重なって止めようがなくなるのが政権末期というもので、すでに安倍はその入り口に差し掛かった。
▽たかの・はじめ 1944年生まれ。「インサイダー」「THE JOURNAL」などを主宰。「沖縄に海兵隊はいらない!」ほか著書多数。
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